「オートモデラーの集い in 横浜 2016」出展作品
2016.02.10 画像・写真2016年2月6日、神奈川県横浜市にある日産自動車 横浜工場ゲストホールで、「オートモデラーの集い in 横浜 2016」が開かれた。日産グループの車両開発会社である日産テクノの社内同好会「日産テクノモデラーズクラブ」が、モデルカー愛好家同士の交流を深めることを目的に始めたこのイベントも、今回で5回目。作品持参で集まった参加者は351名(前回240名)、出展台数は935台(同880台)で、いずれも過去最高を数えた。小学生から著名なプロモデラーの手になるものまでが横並びに、びっしりと展示された中から、リポーターが悩みに悩んで選んだ作品を紹介しよう。(文と写真=沼田 亨)
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1/25ハセガワの1/24「日産サニートラック」をベースにしたサファリラリー仕様。1983年のサファリで9位に入ったマシンを再現したもので、ロングボディーを切り詰めて標準ボディーとし、車高を上げてラリー仕様に仕立て上げた。本来は可動部分のないプロポーションキットだが、開けられたボンネットの下におさまる、ソレックスキャブなどでチューンされたA12型エンジンや補機類の表現も見事だ。
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2/25プロポーションキットであるアリイ製1/32「トヨタ・パブリカ」のボンネット、トランク、ドアをフル開閉式とし、エンジンルーム内もスクラッチビルド(プラ板などの素材から自作すること)した力作。
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3/25フジミ製1/24「いすゞ・ベレット1600GTR」をベースとした「ビッグベン・ベレット」。いすゞワークスのベレGとしては最後期モデルとなる、1971年日本グランプリ仕様を再現した超マニアックな作品。なぜユニオンジャック模様なのかといえば、スポンサーだったカネボウが当時発売していた、“ビッグベン”という名のアイスクリームのパッケージに倣ったためである。
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4/25手前はタミヤ製1/24「日産フェアレディZ(Z33)」。奥も色違いのZ33……ではなく、同キットをベースにキャビンを前寄りにしてミドシップ化しているのだ。製作者はプロのミニカー原型師というだけに、もともとこういうキットがあったかのように、まったく違和感のない仕上がりとなっている。
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5/25フジミ製1/24「日産スカイライン・ハードトップ2000GT-R」をベースとする2台の空想ハコスカ。奥は製作者が実車でいつか実現したい仕様だそうで、“R”ではない2000GTのL型エンジンをLYヘッド(日産ワークスがS30Zに使っていたクロスフローのヘッド)などでチューン、見えないが内装もマッハのステアリングホイールやロンサムカーボーイ(カーコンポ)でキメている。手前は切り詰めたノーズに直4 DOHC 16バルブのFJ20型エンジンを積んだ「ハードトップ1800GL改」。ハコスカ世代に「2000RS」があったら、というモデルだが、個人的にはこちらのほうに興味がある。
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6/25国産プラモデル黎明(れいめい)期の製品であるマルサン1/25「ダットサン・フェアレディ(SPL212)」をベースに、プロモデラーがスクラッチビルドに近いほど手を加えてディテールアップした作品。
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7/25“トラッド・サニー”のキットなんてあったのか!? と思いつつ解説プレートを見たところ、なんとベースはアオシマ製1/24「トヨタ・カローラセダン(KE70)」。それをライバルであるサニーに変身させてしまったのだ。
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8/25アオシマ製1/24「日産セドリック・ハードトップ・グランツーリスモSV(Y31)」を、Y31セダン(セドリック営業車)に改造してタクシー仕様に。製作者は本職のタクシードライバーで、モデルは“自分が乗っているクルマ”とのこと。
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9/25ハセガワ製1/24「マツダ・コスモスポーツ」を使った、ジオラマの定番ともいえる廃車のある風景。
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10/25レベル/ユニオン製1/25「ダットサン510」(「ブルーバード」2ドアセダン)を使ったガレージ(ショップ)のジオラマ。壁に貼られた色あせたポスター、スタンドに並べられた新品タイヤ、棚に載せられた、ホコリの積もったダンボール箱など、ものすごく凝っていた。
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11/25タミヤ製1/24「ダットサン・ブルーバード・ターボSSS-S」をベースにした架空のラリー仕様。張り出した前後フェンダーとカラーリングが「フィアット131アバルト・ラリー」風である。
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12/25先日開かれた東京オートサロンにリメイク版が出展されていた、「雨宮シャンテ」のフルスクラッチモデル。お見事!
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13/25フジミ製1/24「マツダ・サバンナGT」(2ドアクーペ)を4ドア化。これも最初から“サバンナ・セダン”のキットが存在していたかのような出来栄えである。
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14/25前出の“サバンナ・セダン”がけん引するトレーラーに載せられていた謎のマシン。キャビンまわりは「コスモスポーツ」のようだが……。ハセガワ製1/24「マツダ・コスモスポーツ」とフジミ製1/24「BMW Z4 GT3」を上下方向に合体し、仕上げたというアイデア賞ものだった。
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15/25「フィアット600」をチューンした「フィアット・アバルト750」。マニアックなキットがあるんだなあと思いきや、グンゼ製1/24「フィアット500D」をベースに改造したものという。セイチェント(600)とチンクエチェント(500)は、パッと見は似ているものの、実際はけっこう違うので、作業は大変だったはず。
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16/25アレザン製1/43「アルファ・ロメオ164プロカー」。「姿は164だが中身は3.5リッターV10エンジンをミドシップしたモンスター」の小スケールモデルだが、キットには肝心のメカニズムが搭載されていなかった。そこで同スケールのフォードDFV(V8)に2気筒を加えV10化したエンジンを搭載、ギアボックスとサスペンションは「アルファ・ロメオ185」(F1)のキットから流用したという。
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17/25スクラッチビルドで製作途中の「アウトビアンキ・ラナバウト」。1969年のトリノショーでベルトーネがお披露目した、「フィアットX1/9」の原形といわれるコンセプトモデルである。スタイリストはガンディーニで、「アウトビアンキA112」用のパワートレインをミドシップしていた。
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18/25左はモデルファクトリー・ヒロ製、右はハセガワ製の1/24「ランチア・ラリー037」。どちらも見る者をうならせる作り込みだった。
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19/25ジェームズ・ディーンのフィギュアが乗ったフジミ製1/24「ポルシェ356Aスピードスター」。彼が「ポルシェ550スパイダー」で事故死したのはよく知られているが、その前に愛用していたスピードスターをモデル化したものという。
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20/25フロントカウルを外したドイツレベル製1/24「BMW M3 DTM 2012」。左下の素組(キットをストレートに組んだもの)と比べると、作り込み具合がおわかりいただけるだろう。
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21/251/24スケールで決定版のないスーパーカーをレジンでガレージキット化するSupercar Modeling Project 24の「フェラーリ365GT4 2+2」。ほかに「マセラティ・ギブリ」や「ランチア・ベータ・モンテカルロ」も展示されていた。
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22/25Supercar Modeling Project 24と並行して活動する予定という、1/24スケールの360cc軽自動車シリーズ“さぶろく模型化計画二四”の「スズキ・フロンテクーペ」。
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23/25先のSupercar Modeling Project 24製の、1969年トリノショーでピニンファリーナが発表したコンセプトカーである「フェラーリ512S ベルリネッタ・スペチアーレ」に、タミヤ製「ラ・フェラーリ」のエンジンと内装をドッキング。製作者が描いたストーリーによれば、「エリック・クラプトンのためにフェラーリがワンオフ製作したSP12EPC(約4億円といわれている)の色違いをオーダーしようとしたが断られた富豪が、だったらこの仕様で、と6億円払ってフェラーリに作らせたモデル」なのだという。
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24/25イマイ製1/24「マツダ・ファミリアXG」を、“30年乗り続けている陸(おか)サーファーの赤いファミリア”をテーマにディテールアップ。ツヤを失いところどころサビたボディー、文字がかすれた相模ナンバー、白ちゃけたウレタンバンパー、黒塗装がはげて地金が露出しつつあるウィンドウサッシュやワイパー、ドアミラーに替えてシールで埋めたフェンダーミラーの取り付け孔、はげかけたステッカーなどなど、実に芸が細かい。室内にはお約束であるダッシュボード上のヤシの置物をはじめ、ジュース缶ホルダー、サーフボード型のルームミラーカバーなどを自作、シートのバックレストにはもちろんTシャツが着せてある。
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25/25「冬の朝、毎日いっしょに通学している友人と前日にケンカしてしまった女子高生が、いつもの待ち合わせ場所に行ってみると、霜が降りたプラッツのフロントウィンドウに……」というストーリー仕立てのジオラマ。製作者いわく、フジミ製1/24「トヨタ・プラッツ」のオーナーは高齢ドライバーという設定のため、レースのシートカバーや木玉ビーズのシートクッションまで自作したそうだが、クリアとパールのスプレーで表現した霜のためまったく見えず(笑)。作品もすごいが、エンスーの極北に位置するモデルといえるプラッツがキット化されていたことに、筆者はまず衝撃を受けた。