スズキが新型電気自動車「eビターラ」を発表 価格は399万3000円から492万8000円
2025.09.16 自動車ニュース![]() |
スズキは2025年9月16日、新型電気自動車(BEV)「eビターラ」を2026年1月16日に発売すると発表した。
BEV世界戦略車の第1弾
スズキeビターラは、2024年11月にイタリア・ミラノで世界初公開されたコンパクトSUVタイプのBEVである。スズキのBEV世界戦略車の第1弾、およびSDV(ソフトウエアディファインドビークル)の第1弾とされており、2025年夏からの順次市場投入をアナウンス。日本でも同年7月に、発売へ向け先行情報の発信が開始されていた(参照)。
商品コンセプトは「Emotional Versatile Cruiser」というもので、BEVの先進感とSUVの力強さを併せ持つデザインや、キビキビとしたシャープな走りを実現するBEVパワートレイン、悪路での走破性のみならず、よりパワフルな走りを実現する電動4WD「ALLGRIP(オールグリップ)-e」、BEV専用に新開発したプラットフォーム「HEARTECT(ハーテクト)-e」の採用などが特徴として挙げられている。
ラインナップは全3種類。下位グレードの「X」は総電力量49kWhの2WD車となるいっぽうで、61kWhのバッテリーを搭載する上級グレード「Z」には、2WDと4WDの両方が用意される。
SUVの力強さとBEVの先進性に加え、上質感も追求
エクステリアは「ハイテク&アドベンチャー」をテーマにデザインされており、多角形および多面体構造の採用によりBEVの先進感とSUVの力強さを表現。冒険心を刺激するイメージを意図したとしている。
押し出し感の強いフロントマスクや、BEVならではのロングホイールベース、四隅に配された大径タイヤなども特徴で、サイドスラッシュガードなどで力強い走破性を表現。同時にフロントのLEDデイタイムランニングランプやリアのLEDコンビネーションランプに、3ポイントが特徴的なシグネチャーランプを採用することで、先進感を演出しているという。また18インチアルミホイールには、優れた空力性能と軽量さを両立させた樹脂製ガーニッシュを採用。細部までつくり込んだデザインとしている。
ボディーカラーは「ランドブリーズグリーンパールメタリック ブラック2トーンルーフ」「スプレンディッドシルバーパールメタリック ブラック2トーンルーフ」「オピュレントレッドパールメタリック ブラック2トーンルーフ」「アークティックホワイトパール ブラック2トーンルーフ」「ブルーイッシュブラックパール4」の5種類で、このうちアークティックホワイトパール ブラック2トーンルーフは8万8000円の、ほかのブラック2トーンルーフ仕様は5万5000円の有償色となる。
いっぽうインテリアでは、SUVらしい力強い造形と高い機能性を同時に追求。ブラックとブラウンを基調とした内装色により上質感も付与している。
先進的な機能・装備も特徴で、インストゥルメントパネルには10.1インチのセンターディスプレイと10.25インチのメーターディスプレイを統合し、同一平面上に配置した「インテグレーテッドディスプレイシステム」を採用。メーターの表示デザインは3種類から選択可能で、ナビゲーションシステムの地図画面も表示できる。いっぽうセンターディスプレイでは、オーディオやナビゲーション、エアコンの操作、車両情報の確認などが可能。各機能の操作は、音声認識でも可能だ。
また、同ディスプレイのつなぎ目のない一枚ガラスは、BEVならではの先進感も表現。フローティング式のセンターコンソールや、フロントドアとセンターコンソールミドルトレイに配したアンビエントライトも、ハイテク感を演出しているという。さらにデザイン面ではディテールの上質さにも留意しており、インパネやフロントドアトリムにはブラウンのソフトパッドを、エアコンルーバーの周辺にはダークシルバーガーニッシュやピアノブラック調の加飾を施し、タフでありながら洗練されたイメージを付与しているという。
BEVならではの走りや機能性にも注目
トヨタと共同開発した新プラットフォーム「ハーテクトe」は、エンジンを搭載する既存のスズキ車とは全く異なるもので、軽量な構造と高電圧保護に加え、前後のオーバーハングを切り詰めることで、広い室内スペースを実現しているという。とくに構造に関しては、メインフロア下のメンバーを廃止することでバッテリー容量を最大化。また従来のプラットフォームより高ハイテン材の使用率を上げたことも重量低減に寄与しているという。取り回しのしやすさにも留意しており、タイヤの切れ角を大きくすることで、最小回転半径を5.2mに抑えている。
いっぽう、電動パワートレインには中国FinDreams Battery製のバッテリーとブルーネクサス(アイシンとデンソーの合弁会社)の手になる駆動ユニットを採用。前者は安全性とバッテリー寿命を重視したリン酸鉄リチウムイオン電池となっている。いっぽう後者は、モーター、インバーター、トランスアクスルをひとつにまとめた“eアクスル”となっており、構成部品の一体化によりエネルギー効率の向上とコンパクトな設計を実現しているという。
ドライブモードは「ノーマル」「エコ」「スポーツ」の3種類で、アクセルペダルの操作のみで加減速をコントロールできる「イージードライブペダル」機能も採用。前後に2基のモーターを備えたオールグリップe仕様には、路面状況に合わせての使い分けを想定した「オートモード」「トレイルモード」も備わっておいる。このうち、オートモードは路面状況に応じて各制御を最適化し、優れた操縦安定性と悪路走破性を実現。前後駆動力配分を緻密に制御し、さまざまな道で安定した走りを可能にするという。いっぽうトレイルモードでは、タイヤが浮くような路面でも空転したタイヤにブレーキをかけ、反対側のタイヤに駆動力を配分。悪路からのスムーズな脱出をサポートする。
BEVならではの機能性・利便性も重視しており、携帯端末を用いて車載機器の操作や車両の状態確認が可能なコネクテッドシステム/サービスの「スズキコネクト」には、「タイマー充電」や「バッテリーウォーマー」などの機能を追加。衝突被害軽減ブレーキ「デュアルセンサーブレーキサポートII」を採用するなど、予防安全・運転支援システムも充実している。
スズキeビターラの、各グレードの主な仕様と価格は以下のとおり。
【X】
- 総電力量:49kWh
- 一充電走行距離(WLTCモード):433km
- 交流電力量消費率(WLTCモード):124Wh/km
- 価格:399万3000円
【Z】(2WD)
- 総電力量:61kWh
- 一充電走行距離(WLTCモード):520km
- 交流電力量消費率(WLTCモード):131Wh/km
- 価格:448万8000円
【Z】(4WD)
- 総電力量:61kWh
- 一充電走行距離(WLTCモード):472km
- 交流電力量消費率(WLTCモード):144Wh/km
- 価格:492万8000円
eビターラは令和6年度補正予算「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」の対象となっており、補助交付金額は全グレード共通で87万円となっている。
(webCG)
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