DRIVING IMPRESSION
こころ躍るSUV


いつでも洗練されている
文=ピーター・ナン
ジャガー・ランドローバーは、なにか特別なことをやろうとしているのではないか……。「レンジローバー ヴェラール」は、カタログを見ただけでもそう感じさせる。
最新のランドローバーやレンジローバーは、上流階級だけでなく、多くの英国人から好ましい乗り物としてスムーズに受け入れられた。もっとも、レンジローバーは1970年の発売時からずっとそうだったのだが。
同社は今日、切れ目のないラインナップの流れを構成し、上級車指向を持つ市場で成功をおさめている。設計と仕上げの巧みさ、洗練された品質などがソリハルの老舗ブランドにかつてない高収益をもたらしているのだ。そして今回、信じられないことに、「イヴォーク」と「レンジローバー スポーツ」の狭い隙間にヴェラールというニューモデルが“差し込まれた”のである。

ヴェラールは、内外装ともに美しい。オーナーは所有することに喜びを感じるはずだ。ステアリングを握る前から特別な存在に思え、気分を高揚させるクルマに仕上がっている。
既存のラインナップが多いため、あなたは、さらにヴェラールが必要なのかと考えるかもしれない。ヴェラールがほかのモデルから顧客を奪ってしまうのではないか、そう思っても不思議ではない。
ランドローバーのブランドマネジメントは正しかったのだろうか? 今回私は、ノルウェーの雄大な道路(時に危険をはらむ状況下)で、3リッターV6のガソリンとディーゼルの2車種に、2日間試乗した。その間、常に「洗練されている」という印象に終始した。ヴェラールは高級感にあふれている。SUVが絶え間なく進化している状況の中で、まさに最高のクルマが最適の時期に登場したといえるだろう。

そのインテリアにはデンマークのデザインテイストが含まれているが、英国人たちはこれをどう感じるだろうか。いまでは英国の道路、街、そして校門の前ではたくさんのランドローバーとレンジローバーが見られる。すでにどちらも、人々が望むイメージと社会的な地位は確立され、ランドローバーが築き上げた歴史と“英国流の工作としつらえ”が、魅力的なアピールの鍵になっているのだ。
そうした環境を考慮しても、英国人はヴェラールを歓迎すると私は考える。有名な高級ブランドの手になる内装が、新しく、クールに感じられるからだ。ユーザーにとっては、価格やランニングコストなどの問題はそれほど重要ではないだろう。
試乗したノルウェーは美しく素晴らしい場所だったが、スピードのリミットは低いので、ヴェラールが本領を発揮して駆け抜けることはできなかった。しかしながら、室内は、そこにいるだけで喜びを感じさせる美しいデザインで、新たに導入された最先端のTouch Pro Duoインフォテインメントシステムは、センターコンソールのデザインと機能を際立たせている。

エアサスペンション付きのシャシーは、ノルウェーのスローな流れの中で、時にわずかな浮遊感をもたらすことがあったが、その卓越したオフロードの走破性にはなんら不足はなく、ハイテクの4WD機構は、急勾配の坂を難なく昇降してみせた。
今回テストした2つの仕様のうち、3リッターのスーパーチャージドV6(最高出力380ps)は、パワフルで速いことを証明した。700Nmもの大きなトルクが魅力の3リッターディーゼルターボ(同300ps)は、燃費が44.1mpg(約15.6km/リッター)と経済的であり、現在のディーゼルに対する逆境の中でも、英国ではよく売れると思える。
レンジローバー ヴェラールは今まで存在しなかった種類のSUVだ。英国では、依然としてSUVの独特な雰囲気が苦手だと言う人は少なくない。だが、ヴェラールは洗練された見た目、新しさ、プレミアムな印象、そしてレンジローバーの高い名声を持ち合わせている。英国はもちろん、日本でも成功するに違いない。

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