【F1 2016 続報】第11戦ハンガリーGP「ハミルトン、首位に立つ」
2016.07.25
自動車ニュース
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2016年7月24日にハンガロリンク・サーキットで行われたF1世界選手権第11戦ハンガリーGP。得意のコースでルイス・ハミルトンが3連勝し、ついにチャンピオンシップで首位に躍り出た。最長シーズンの折り返しにきて、ハミルトンとニコ・ロズベルグによるタイトル争いは、ハミルトン優勢の流れに変わった。
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■シルバーアローを打ち負かせ
史上最多21戦で争われる2016年のF1シーズンはようやく折り返し地点までやってきた。メルセデス9勝、レッドブル1勝と相変わらずチャンピオンチームの独壇場が続いているかに見えるが、新しい機運の胎動も感じられた前半10戦だった。
前半のトピックの筆頭は、レッドブルとマックス・フェルスタッペンの台頭だろう。第5戦スペインGP、このレースからトロロッソを“卒業”しレッドブルに昇格した18歳のフェルスタッペンは劇的な初勝利を飾り、最年少ウィナー記録を更新、一気にスターダムへとのし上がった。続くモナコGPでこそ若さゆえかミスを連発したものの、第9戦オーストリア、そして前戦イギリスと連続して2位を獲得。直近6戦で集めたポイントは77点と、全ドライバー中2番目に多いという好成績を残している。このヤングスターの躍進もあり、レッドブルはコンストラクターズチャンピオンシップ2位のフェラーリに6点差と迫ることとなった(首位メルセデスとの開きは137点もある)。
迎えた第11戦ハンガリーGPの舞台は、ダウンフォースが重視されるハンガロリンク。空力性能に定評のあるレッドブルのシャシーと、順調にパフォーマンスを上げてきている(タグ・ホイヤーのバッジを付けた)ルノーのパワーユニットが強力な武器になり得るコースだ。モナコではピットストップの混乱で惜しくも勝利を逃したダニエル・リカルドを含め、レッドブルは自力でシルバーアローを打ち負かせる(数少ない)場所で勝負を挑んだ。
一方、受けて立つメルセデスにもシーズン前半で変化が見られた。開幕から4連勝し43点ものポイントリードを築いたニコ・ロズベルグ。過去2年、宿敵ルイス・ハミルトンに敗れ続けて染み付いた「万年2位」の汚名をようやく返上できるかと思われたが、その後瞬く間に貯金を使い果たし、ランキング2位ハミルトンとの差はわずか1点となってしまった。母国イギリスで完勝し波に乗るハミルトンと、メルセデスとの契約を2018年まで延長することが決まったロズベルグ。2人のトップドライバーによる3年目のタイトル争奪戦は、シーズン半ばで振り出しに戻り、新たな局面に突入していった。
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■雨で混乱の予選、ポールポジションはロズベルグ
4.3kmという短めのコースに14ものコーナーを配したハンガロリンクは「壁のないモナコ」といわれるほど追い抜きが難しく、グリッド順がとても重要なコースである。
予選はセッション開始前のバケツをひっくり返したかのような大雨の影響で混乱。スピンやクラッシュなどにより4度もの中断を余儀なくされたが、やがて雨はやみ、後半になると日も差すドライコンディションとなった。
予選Q3の冒頭でトップだったのは、ハンガロリンクで過去4勝しているハミルトン。しかし2度目のアタックに入った直後にフェルナンド・アロンソがスピン、該当区間にイエローフラッグが出てハミルトンら数台はタイムアップを諦めなければならなかった。だがアロンソが速やかにコースに戻りイエローは降ろされたため、後ろにいたドライバーはフライングラップを続行。運不運が分かれた今回、運を拾ったのはロズベルグで、今季4回目、通算26回目のポールポジションを獲得した。
アンラッキーなハミルトンは0.143秒遅れの2位。メルセデスのフロントロー独占は今年6度目となる。リカルド3位、フェルスタッペン4位と2列目はレッドブル勢が占めた。続いてフェラーリのセバスチャン・ベッテル、トロロッソのカルロス・サインツJr.と来て、アロンソ7位、ジェンソン・バトン8位と、2014年ブラジルGP以来となる2台そろってのQ3進出を決めたマクラーレンが並んだ。フォースインディアのニコ・ヒュルケンベルグ9番グリッド、ウィリアムズのバルテリ・ボッタスは10番グリッドに収まった。
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■スタートでハミルトンがトップ
快晴の決勝日、70周レースのスタートでは、セカンドローのレッドブルが前のメルセデスに襲いかかるも、ライン取りの妙でハミルトンが首位奪取に成功、ポールシッターのロズベルグは一瞬リカルドに先行を許したがなんとか2位に踏みとどまった。3位リカルド、4位フェルスタッペン、5位ベッテルと続き、アロンソが1つ順位を上げ6位でオープニングラップを終えた。
しばし順位が膠着(こうちゃく)した後、15周目に5位ベッテルが前のレッドブルをアンダーカットすべくピットイン。これに呼応するかのように翌周3位リカルドもタイヤ交換に入り、スーパーソフトからソフトに履き替えた。1周先にニュータイヤで飛ばしていたベッテルはコースに戻ったリカルドの真後ろに。17周目にトップのハミルトンとフェルスタッペン、次の周にロズベルグがピットへ入ると、1位ハミルトン、2位ロズベルグ、3位リカルド、4位ベッテル、5位にピットストップがまだのキミ・ライコネン、そして6位フェルスタッペンとなった。
20周を過ぎ、優勝を争うメルセデスの2台が1秒以下で接近するも、ここはハンガロリンク、なかなか抜けるものではない。程なくして1秒台後半のギャップが保たれるようになり、その他各車のポジションにも大きな変動はなかった。
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■ハミルトン優勢、レッドブルはフェラーリと比肩
2度目のタイヤ交換の口火を切ったのは3位リカルド。レース半ばの34周目に再びソフトタイヤを装着し、ロズベルグから2位の座を奪おうと陽動作戦に出たかに見えた。しかしメルセデス勢はこれに惑わされず、42周目になってハミルトン、続いてロズベルグがスケジュール通りのピットストップを行い、メルセデス1-2は盤石となった。
トップ2台のギャップは、周回遅れの処理などで1秒以下に縮まることはあったが、ハミルトンがレースをコントロールしていたことに変わりはなかった。
ハミルトンはハンガリーで最多となる5勝目を記録、第9戦オーストリアGPから3連勝を飾り、ついにポイントリーダーにまで上り詰めた。一方レースを2位で終えたロズベルグは6点差でランキング2位に。シーズン半ばにきてハミルトン優勢の流れがいよいよはっきりしてきた。
そして、レッドブルがフェラーリと肩を並べた事実も鮮明となった。3位リカルド対4位ベッテル、5位フェルスタッペン対6位ライコネンの攻防戦は白熱し、それぞれ1秒以下の接戦でゴールを迎えた。コンストラクターズランキングでもレッドブルは2位フェラーリに1点差と迫っている。ハンガリーGPは、後半戦の勢力図が見て取れるような結果となった。
夏休み前の最後のレースは2年ぶりに開かれるドイツGP。決勝日は7月31日となる。
(文=bg)