INTERVIEW
ロボットデザインの第一人者が語る
ヴェラールの衝撃
デザイナーの思い そのままに


コンセプトカーの鮮度が失われていない
そして高橋さんは、「屋根の感じも古いアメ車のチョップドルーフみたいですね」という感想を述べた。
チョップドルーフとは、車高を低くするためにピラーの一部を切り取って、屋根を溶接するカスタマイズの手法だ。言われてみると確かに、ルーフのラインも個性的で、デザインした人のこだわりが伝わってくる。

「ヴェラールを見て思うのは、コンセプトカーってこういう風にこだわってデザインしてモーターショーに出展するよな、ということです。でもクルマでも家電でもロボットでも同じですが、市販に近づくにつれてカッコよかったデザインがだんだんとカッコ悪くなってしまう。いろんな人がよかれと思ってブラッシュアップするために口を出すんだけど、次第に初期のコンセプトやデザインの鮮度が失われていく。でもヴェラールの場合は鮮度を保ったままプロダクトまで持ってきているので、そこに感心します」
高橋さんは、自身でロボットを開発する時には、基本的にはひとりで手を動かしてプロトタイプを完成させ、量産化も自身でコントロールする。製造・営業・経営それぞれの部門の意見を、言われたままに反映すると、こぢんまりと退屈な製品になってしまうのだという。

「メーカーと仕事をする時も、僕はしつこく最後まで口を出します。パッケージングからプロモーションのビデオまで、とにかくうるさく関与します。それはかなり難しい仕事です。だからランドローバーという大きな組織の中で、多くの部門が関わりながらもヴェラールがこの形を維持できたのはすごいことなんです。社内の体制がどうなっているのか、そこにもとても興味があります」





