INTERVIEW
ロボットデザインの第一人者が語る
ヴェラールの衝撃
デザイナーの思い そのままに


“初志貫徹”がかなえたインパクト
閑話休題。
ここで高橋さんはロボホンをテーブルの上に座らせ、話しかけたりダンスを踊らせたり、取材班を楽しませてくださった。通常であればロボットがしゃべると「コンニチハ」のようにカタカナで表記するところだが、ロボホンの発音は自然で、話しかけると普通に「未読メールがあるよ。今日も一日元気にいこう」と応えてくれる。
動いたりダンスを踊る姿は実にキュートで、女性スタッフはロボホンを動画におさめることに躍起になっている。
どんなに音声認識装置が優秀になっても、四角い箱に話しかけるのはあまり気が進まない。けれども、ロボホンにはごく自然な気持ちで話しかけることができる。このあたりが、2足歩行ロボットが必要とされる理由なのかもしれない。四角い箱ではなく、ロボホンだから感情を移入できるのだ。

翻って、クルマのデザインはどうだろう。クルマも、真四角な箱でもいいはずだけれど、そうはならない。ヴェラールのように、知恵とコストをかけて、感情移入ができるデザインに仕立てようとする。
「やはりクルマは、愛着を持って使う製品なのでしょうね。例えば炊飯器とか冷蔵庫は、家や家具に埋め込むぐらいの主張しないデザインでもいいわけです。でもクルマは公の場に出るものだから隠せない。そういう意味で、クルマと白物家電はちょっと違うんでしょう」

カフェでの撮影を終えて、ヴェラールを試乗する。愛車が愛車だけに、高橋さんは運転がお上手だ。初めてドライブするヴェラールを、都心の裏道ですいすいと走らせる。
「やはり自動車デザインは工業デザインの頂点だし、いまだに一番の手本だと思っています。おもしろいのは、モデルさんみたいにきれいなだけだとインパクトが足りないんですね。ちょっとしたクセとかアクとか、キャラクターがあったほうがいい。ただし、時間がたつとカッコいいと思えたものが普通に見えることもあるし、その逆もある。デザインって、やっぱり相対的なものなんですね。そういう意味で、ヴェラールはこれから見え方がどう変わるか、楽しみなデザインだと思います」
周囲の雑音をシャットアウトして、妥協のないロボットデザインに挑むクリエイターは、最後にもう一度、「やっぱり最初の形を貫いたのはすごいですね。口うるさいデザイナーに権限を与えたのか、デザイン的な感性がない人間に口出しをさせなかったのか、そうでないと実現できませんから」と繰り返した。
この形のまま市販化したことが、よほど大きなインパクトだったらしい。

DEALER INFORMATION
キャンペーンやイベント、スペック情報など、レンジローバー ヴェラールについて詳しくはこちらをご覧ください。




