INTERVIEW
末續慎吾が語るレンジローバー スポーツの魅力
どこまでも走り続けるために
走ることで自分を表現したい
「え、ウソでしょう! これがディーゼルエンジンなんですか? まったく振動を感じないんですが……」
わからなかったのも無理はない。搭載されている3リッターV6ディーゼルエンジンは、アイドリング状態でも静粛そのもの。アクセルを踏めば最高出力258ps、最大トルク600Nmという強力なパワーユニットが、オールアルミニウムの軽量ボディーを加速させていく。その気になれば、わずか7.6秒で100km/hに達する。
「驚きましたねぇ。ディーゼルに対する認識を変えなければいけません。こんなにスポーティーな走りができるんですね。パワーに余裕があるから、せかせかした気持ちにならないんです」
レンジローバー スポーツの動力性能が気に入ったようだが、末續さんは必要以上にスピードを出すことはなかった。自分の足で速く走れるからこそ、無謀な運転はしない。
「僕らは無茶な走りをするとケガするのを知っています。人間がいくら速く走っても、せいぜい40km/h。クルマなら100km/hだって簡単に出てしまいますが、人間には本来出せないスピードです。あり得ない状況に対して、絶対的な恐怖があります。だから、あまりスピードを出さない。クルマにはちゃんと乗りたいんです。もちろん、40km/h以上で走りますが(笑)」
競技においても、今は速さだけを求めてはいない。走ることに、若い頃とは違う価値を見いだしている。
「37歳で陸上を続けている人はほとんどいません。記録が伸びないから、勝てないからということだけでやめてしまう。僕だって、勝てるかどうかはわからないけれど、好きなんですよ、走るのが」
気持ちは少年の頃のままなのだ。トラックを走っているときの表情は屈託がなく、突き抜けるような喜びにあふれている。
「この前は9年ぶりに日本選手権の舞台に立ちました。終わって記者会見場に行くと、いつ引退するんですか、と聞かれたんです。でも、何から引退するんでしょう? 小さい頃からずっと“かけっこ”をしていて、勝ったり負けたりするのが好きだったんです。今も同じですよ。年齢は“かけっこ”をやめる理由になりませんよね。負けたら引退というのではなく、本来はその先に走り続ける道があると思うんです。そろそろ、自分の走りで世界観を表現する時期なのでしょう」

