Interview 新型アウトランダーPHEVはこうして生まれた

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パワーフローのバランスを取るのが難しかった

アウトランダーPHEVは、運転者に意識させることなく、高い燃費性能を発揮する。EVを基本とした成り立ちながら、一方で内燃機関たるエンジンも上手に活用して、クルマ全体の環境性能を底上げ。走行モード間の、シームレスな移行が自慢だ。

パワートレインを担当した半田和功氏が説明してくれる。
「『大きなクルマをEVで走らせる』というベースがまずあって、それを実現するためにエンジンを活用しました。アウトランダーPHEVには、3つの走行モードがあります。駆動用バッテリーから電気を取り出し、モーターで走る『EV走行』。エンジンで発電機を回して充電しながらモーターで走行する『シリーズ走行』。そして強い加速時や、内燃機関の効率が高い高速巡航では、エンジンを主体にする『パラレル走行』。3つの走行モードを、いかにスムーズに切り替え、EVらしさを出しながら走らせるかに苦心しました」

「PHEVのシステムを、効率よく収めるのにも工夫が必要でした」とは、EVシステムを担当した大久保博生氏。
「ここでも軽自動車i-MiEVでの経験が役に立ちました。キーとなるのはモーターの小型化。アウトランダーPHEVの後輪を駆動するのに使われるモーターは、実はi-MiEVと基本的に同じものなんです。一方、エンジンとペアを組むフロントのモーターは、例えば遮熱をしっかりしないといけなかった。モーター特性も、エンジンとモーター間で駆動力を融通するハイブリッドシステムに合わせて、より瞬発的にトルクを発生するようになっています」

アウトランダーPHEVに搭載されるエンジンは、2リッター直4。もっと小さな排気量にして、発電専用に使う手はなかったのか?

服部プロジェクトマネージャーが応える。
「考え方としてはありました。でも、モーター、エンジン、それぞれにある程度負荷がかかっていて、一番効率がいい状態がある。そこを使えるように制御する。例えば高速巡航ではエンジンの効率が高いので、パラレル走行すると燃費がいい。すると、エンジンを発電機用として使うだけでは得られなかった燃費の良さが出てくるんです」

「とはいえ、そのための制御が難しかった」と、半田氏が言葉を受ける。
「バッテリーの減り方によって、エンジンの使い方を変えないといけない。どの段階で発電するのか? 電気を使ってバッテリーが減っていけば、発電量を増やす必要がある。エンジンで発電機を回しながらEV走行していれば、充電と同時に電気を消費するわけです。逐次パワーフローが変わるなか、うまくバランスを取るのが難しかったですね」

半田 和功
開発本部 EV・パワートレインシステム技術部
エキスパート(EVパワートレインシステム設計担当)

大久保 博生
開発本部 EV・パワートレインシステム技術部 エキスパート(EVシステム設計担当)

服部 光善
商品戦略本部 C & D-seg商品開発プロジェクト プロジェクトマネージャー