Interview 新型アウトランダーPHEVはこうして生まれた

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非常用のバッテリーにもなる

アウトランダーPHEVの独創的な動力システム。次元の違う燃費性能。さらにユーザーに具体的なメリットを感じさせるのが、4WDの駆動方式だろう。ラリーフィールドで鍛えた四輪駆動技術を持ち、先進技術を組み合わせた制御方法にも親しんでいる三菱自動車だが、アウトランダーPHEVのそれは、ちょっと様子が違ったようだ。

「駆動力を前後輪に配分するセンターデフはおろか、プロペラシャフトも持たないシステムですから、ゼロからのスタートでした」と笑うのは、ドライブトレインの設計を担当した加藤智氏。PHEVでは、前後輪それぞれに制御自在なモーターが使われる。技術者に与えられる選択肢の多さが、戸惑いの元だった。
「さまざまな考え方のなかから、いかにタイヤの余力を均等に路面に伝えるか。安定して走らせるか。そこに収束させていく。新しいチャレンジで、おもしろかったですね」

加藤氏の口調に熱が加わる。
「前後輪間の機械的な接続がないので、フリクションが生じません。4WDとは思えない旋回性が得られます。また、モーターはエンジンよりレスポンスがいいので、きめ細かい制御ができる。各輪のブレーキを個別に制御して、ヨー(回転しようとする力)をアクティブにコントロールする『S-AWC』機能との相性も抜群。ぜひ雪道でも試乗していただきたい。あたかもドライ路面でスラロームしているように感じるはずです」

数々の新機軸を誇るアウトランダーPHEVにあって、EVとしての成り立ちを強く感じさせるのが、「バッテリーセーブ」「バッテリーチャージ」機能だ。走行中に積極的に発電機を稼働させ、バッテリー残量を一定に、またはできるだけ高いレベルに保つためのもの。目的地で、アウトランダーPHEVを大きなバッテリーとして扱うことができる。同車には、2カ所に家庭用と同じコンセント(100V 1500W)が用意される。

商品戦略本部商品企画課の小俣雅由主任は、アウトランダーPHEVが持つ、こんな側面に言及した。
「セールスの現場では、電気自動車として、新しい付加価値を感じてもらうことが大事だと思います。お出掛け先で、積極的に100V電源を使っていただくような……。一方でアウトランダーPHEVは、非常用バッテリーと考えることもできるんです」 アウトランダーPHEVが積む駆動用バッテリーは、一般家庭で使う約1日分の電力を供給することが可能。エンジンを回して発電機を動かせば、生み出される電力は、約10日分に相当する。
「アウトランダーPHEVは4WDですから、例えば被災した土地に赴いて、発電機として活用する。そんな使われ方があってもいいんじゃないでしょうか」

アウトランダーPHEVの新しい駆動システムは、新しいクルマの楽しみ方のみならず、クルマ自身の新しい存在意義にも、目を向けさせてくれるようだ。

加藤 智
開発本部 パワートレイン設計部 主任(ドライブトレイン設計担当)

小俣雅由
商品戦略本部 商品企画部 主任