爆走!! 「スーパーアメリカンフェスティバル2012」
2012.08.01 画像・写真2012年7月29日、富士スピードウェイで「スーパーアメリカンフェスティバル2012」が開かれた。1992年に始まり、今回で節目となる20回目を迎えた、ドラッグレースとカーショーを中心とする、アメリカンテイストなクルマ&バイクの祭典である。『webCG』が取材に赴くのは昨年に続き2回目だが、前回は天候によるコースコンディションの不良により、目玉であるドラッグレースでのトップカテゴリーのマシンのデモランは残念ながら実現しなかった。今回は舞台となる富士スピードのメインストレートに、イベントにふさわしいアメリカ西海岸を思わせる真夏の強烈な日差しが降り注ぎ……とはいかなかったものの、コースは終日ドライ状態。ドラッグレースの最高峰である「トップフューエル・ドラッグスター」をはじめとするエキシビションを含め、90台以上がエントリーしたドラッグレースは、計測機器のトラブルこそあったものの、無事に全レースが実施された。その様子を中心に紹介しよう。(文と写真=沼田 亨)

往年のストックカーにも通じるクールなカラーリングとレタリングでキメた1965年「プリマス・ベルベディア」(手前)と1970年「シボレー・シェベルSS396」の、インターミディエート(コンパクトとフルサイズの中間クラス)同士の対決。
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往年のストックカーにも通じるクールなカラーリングとレタリングでキメた1965年「プリマス・ベルベディア」(手前)と1970年「シボレー・シェベルSS396」の、インターミディエート(コンパクトとフルサイズの中間クラス)同士の対決。
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ドラッグレースの見せ場のひとつである“バーンアウト”を行う1973年「プリマス・クーダ」。“バーンアウト”はタイヤのグリップを高めるために、スタート前に激しく空転させ熱を入れることである。
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ケツをカチ上げ、繊細なピンストライプ(ボディーに手描きされた模様)を入れたストリート・ロッドスタイルの1957年「シボレー・ベルエア」。フィフティーズの王道を行くモデルである。
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1962年「シボレー・ベルエア」(手前)と、フォードV8を積んだイタリアン-アメリカン・スーパースポーツである「デ・トマゾ・パンテーラ」の対決。
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1964年「シボレー・インパラ・ワゴン」。ホイールベース約3m、全長5.3m以上、全幅2m以上という堂々たるサイズの、フルサイズ・シボレーの最上級ワゴン。
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ホットロッドの定番であるフレイム(炎)が描かれた1969年「シボレー・エルカミーノSS396」。インターミディエートのシボレーをベースとするスタイリッシュなピックアップの、396立方インチ(6.5リッター)のV8を積んだ高性能版。
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映画『アメリカン・グラフィティ』でおなじみの黄色い1932年「フォード・デュース・クーペ」。デュース(deuce)とは、テニスなどで続けて2点先にとったほうが勝ちのデュースと同じで、この世界では「32年型フォード」を指す。
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大幅にモディファイされた「シボレー・ベガ」(手前)と「シボレー・カマロ」の同門兄弟対決。「ベガ」は北米市場に急増していた日本車や欧州製小型車に対抗すべく1970年に登場したサブコンパクト(コンパクトよりさらに小さい)で、ストックでは全長約4.3m、全幅1.7m以下という5ナンバーサイズだった。
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「ビートル」を筆頭とする「フォルクスワーゲン」もドラッグレースには欠かせないモデル。これは大胆にモディファイされた「カルマンギア・クーペ」。ヘッドライトはエアブラシによるペイントである。
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日本車も頑張っていた。前下がりの初代「S30」(手前)と前上がりの4代目「Z32」、姿勢も対照的な新旧「フェアレディZ」の対決。
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こちらは日米対決。色目の近いダークブルーメタリックに塗られた「R34スカイラインGT-R」(手前)と現行「フォード・マスタング」。
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「プロストックカー」と呼ばれるカテゴリーに属するドラッグマシン。見たところボディーは「シボレー・シェビーIIノーバ」風だが、中身はパイプフレームを持つまったくのスペシャルである。マスクはエアブラシで描かれている。
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巨大な羽根を生やした「シボレーC1500」。これも「プロストックカー」にカテゴライズされるマシンで、やはりマスクはペイントされている。
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本場アメリカでは8歳から17歳のボーイズ&ガールズによって争われる公式なカテゴリーである「ジュニア・ドラッグスター」。トップカテゴリーであるドラッグスターをスケールダウンしたシャシーに単気筒エンジンを搭載する。
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手前はガソリンエンジン使用の最高峰マシンである「ガスドラッグスター」。奥は「フューエル・アルタード」と呼ばれる、ショートホイールベースのシャシーにハイチューンのV8エンジンを積んだ過激なマシン。
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「トップアルコール・ファニーカー」の対決。市販車をデフォルメしたボディーカウルをかぶせた、その名のとおりファニー(こっけいな、奇妙な)な姿だが、中身はアルコール燃料を使用して3000ps以上を発生するスーパーチャージドV8ユニットを積んだ怪物マシン。テールには強烈なグリップによるフロントの浮き上がりを抑えるウィリーバー、減速用のパラシュートも備えている。
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「トップアルコール・ファニーカー」がエンジンを始動する瞬間。奥に座っているドライバーは、カウルを上げたこの状態で乗り降りする。つまり走行中に何かトラブルが起きても、自力では脱出できない。ゆえに真夏にもかかわらず、普通のレーシングスーツの比ではない、分厚い防火服&ブーツに身を包んでいた。
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ドラッグマシンがレースを終えると、スタート地点までマシンをけん引してきたチームのサポートカーが、再びマシンをサルベージするためにゴール地点に向かっていく。その際にチームクルーがギャラリーの声援に応えるのだが、これがまたカッコイイ。
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「プロストックバイク」と呼ばれる、ウィリーバーを備えたドラッグバイクもエキシビションランを披露した。
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この日の真打ちとなる、ドラッグレースの最高峰に位置する「トップフューエル・ドラッグスター」。スーパーチャージャーを備えた8.2リッターのV8エンジンは燃料にニトロメタンを使用、本場のレースではなんと8000psを絞り出し、1/4マイル(約400m)を4秒台で走り、到達スピードは500km/hオーバーという。日本では路面のグリップの関係から6000ps程度に抑えているそうだが、その状態のエキシビションランでも最高速度は342km/hを記録した。エキゾーストノートもすさまじく、耳栓のおかげで耳は無事だったものの、数m先を走るマシンの吐き出す音圧に直撃され、思わず体がのけ反ってしまったのには驚いた。濃霧注意報が発令されるかのような白煙もすごかった。