「東京ノスタルジックカー2&4フェスティバル2013」の会場から
2013.05.30 画像・写真2013年5月25日、26日、千葉県袖ケ浦市の袖ケ浦フォレスト・レースウェイで、「Gulf 東京ノスタルジックカー2&4フェスティバル2013」が開かれた。
このイベントは、10年以上前から恒例となっていた旧車の展示即売会「東京ノスタルジックカーショー」から発展したものである。昨年の「東京ノスタルジックカーショー」は、会場をそれまでの東京ビッグサイトから青海西臨時駐車場に移し、屋外ならではの企画として特別展示車両のデモランを実施して話題を呼んだ。展示イベントに走りの要素を加えたわけだが、今年はサーキットを会場に設定、「ノスタルジックカーは、走ってこそ美しい!」というキャッチフレーズを掲げ、走り主体のイベントへと転換したのである。
主役となるクルマも、「東京ノスタルジックカーショー」ではショップの車両が中心だったが、今回の参加車両の多くは個人所有の旧車。それも軽トラックからスーパーカー、レーシングカーまで、そして二輪もありと、実にバラエティーに富んでいた。
リポーターの取材経験のなかでも、これだけ多様なモデルがサーキットを走るイベントというのは、ちょっと記憶にない。それら出走車両のなかから、印象に残ったモデルを紹介しよう。
(文と写真=沼田 亨)

デモランの目玉の1台である、1989年のルマンで9位に入賞した「マツダ767B」。91年のルマンで総合優勝を果たした「787B」も、走行はしなかったがパドックに展示されていた。
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デモランの目玉の1台である、1989年のルマンで9位に入賞した「マツダ767B」。91年のルマンで総合優勝を果たした「787B」も、走行はしなかったがパドックに展示されていた。
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1960年代末から70年代初頭にかけて、実際にレースを走っていたプライベーターのマシンという「いすゞベレット1600GT」。
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1年ほど前に亡くなったキャロル・シェルビー率いるシェルビー・アメリカンからSCCA(スポーツカー・クラブ・オブ・アメリカ)のレースに出ていたマシンを模した「トヨタ2000GT」。
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有名なミニ専門店「ミニマルヤマ」のオーナーである丸山和夫氏が所有するホンモノの「シェルビー・コブラ427」。7リッターのV8エンジンを搭載、標準仕様でも0-400m加速 12.2秒という強烈な速さを誇る。
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「シェルビーGT350」。初代「フォード・マスタング」をベースに、シェルビー・アメリカンが手を入れたハイパフォーマンスモデル。4.7リッターV8は、ストリートバージョンでも306psまでチューンが高められている。
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マツダ初のロータリーエンジン搭載車で、世界初の2ローター・ロータリーエンジン搭載車でもある「コスモスポーツ」。この個体は、1968年7月から72年10月まで作られた後期型。
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縦型デュアルヘッドライトから「縦グロ」と俗称される「日産グロリア・バンデラックス」。グロリアとしては3代目で、1967年に登場。この個体は少々ローダウンされている。
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1973年から78年まで作られた型式名B210こと3代目「ダットサン・サニー」。そのスタイリングから通称「ロケット・サニー」などと呼ばれるが、2ドアセダンは珍しい。
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サーキットにもっとも似つかわしくないクルマの1台である「シトロエン2CV」。それも1960年秋以前に作られたクラシックなモデルである。ところが、ひっくりかえりそうなほど車体が激しくロールしても、4本のタイヤは決して路面から離れない。サスペンション設計の優秀性を再認識させられた。
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1976年に登場した初代「6シリーズ」(E24)を中心とするBMWオーナーのグループで見かけた、アルピナ・ストライプも懐かしい「アルピナB9 3.5クーペ」。
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1963年にホンダの市販四輪車第1号として発売された、つまり今年生誕50周年を迎える「ホンダT360」。「S」シリーズ用と基本的に同じ、総アルミ製の水冷DOHC 4キャブレターエンジンを積んだ、日本初のDOHCエンジン搭載車でもあった軽トラック。
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1960年代後半から70年代にかけて、ホンダの国内モータースポーツを統括していたRSC(レーシング・サービス・クラブ)チューン風に仕立てられた「ホンダS800」。RSCが開発したフラットなハードトップやアルミホイールを装着している。
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顔つきは「S500」と同じ最初期型「ホンダS600」。聞けばこの個体、1964年のニュルブルクリンク500kmで、デニス・ハルムがクラス優勝したマシンそのものとか!?
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コーダトロンカのテールがカッコいい「ホンダS600クーペ」。これもCRキャブが装着されたホンダのワークスエンジンを積んだ超希少な個体。
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エスロクこと「ホンダS600」とくれば、ライバルは通称ヨタハチこと「トヨタ・スポーツ800」。これは1968年以降の後期型で、ブルーメタリックは純正色として用意されていた。
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「ダットサン・サニー・クーペ」。1966年に誕生した型式名B10こと初代サニーに、68年に加えられたクーペのレーシング仕様。初期型セダン用のフロントグリルを装着している。
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型式名KP61こと2代目「トヨタ・スターレット」のレーシング仕様。1970年代末から80年代にかけて、マイナーツーリングと呼ばれていた1300cc以下のツーリングカーレースで、3代目「B310サニー」などと戦った。
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1991年から95年まで作られた4代目「三菱ミラージュ」のラリー仕様。年式的にも、タイプ的にも旧車イベントでは見られない、ある意味とても希少なモデル。
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ヒストリックカーレースにおけるアルファ・ロメオのチューニングで名高い「ガレージゴトウ」が仕立てた「ジュリエッタ・スパイダー」。
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バンパーレスの真っ白いボディーで、ちょっぴりレース用のライトウェイトEタイプ風の「ジャガーEタイプ・ロードスター」。
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ファミリー走行を楽しんでいた「フェラーリ365GT4BB」。最近のフェラーリを見慣れた目には、とてもコンパクトに映る。ちなみに「458イタリア」よりホイールベースは15cm、全長も15cm以上短く、全幅は13cm以上狭い。
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フェラーリ、ランボルギーニ、ポルシェ・ターボなどのスーパーカー軍団の走行から、メインストレートをいく紅白の「フェラーリ・テスタロッサ」と「ランボルギーニ・カウンタック」。
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「ランボルギーニ・ミウラ」。初めてサーキットを走る姿を見たが、プロポーションの美しさが際立っている。
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「ランボルギーニ・カウンタック」は6台走ったが、この鮮やかなライトブルーの個体が目を引いた。
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知る人ぞ知るカスタムカービルダーのジム加藤氏が、10年以上前に製作したオリジナルの公道用Cカー「ストリートC」。エンジンは初代「スバル・レガシィ」用2リッター・ターボで、ギアボックスもレガシィ用。ついでにインパネもレガシィから流用している!
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ここからは、メインストレートでデモランを披露した3台。1955年「ダイハツSCE型三輪トラック」改消防車。長野県丸子町(現・上田市)で96年に操業を停止した旧カネボウ丸子工場に配備されていた消防車両で、99年に丸子町に寄贈された後、2009年に上田市の地域活性化プロジェクトとしてレストアされたもの。
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特撮TV番組『ウルトラセブン』の劇中車である「ポインター」を模した1958年「インペリアル」改。21年前にナンバーを取得して以来、部品の入手が困難なこともあって、さまざまなトラブルに見舞われながらも走らせ続けてきたオーナー氏が、自前のウルトラ警備隊のコスチュームに身を包んでドライブ。
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マンガ『サーキットの狼』の主人公である風吹裕也の愛車「ディノ・レーシングスペシャル」。ピニンファリーナのワンオフである「ディーノ206コンペティツィオーネ」をモチーフにした実在しないモデルだが、カスタムカー工房の「ノーチラス・スポーツカーズ」が3次元化。エンジンは「フェラーリ・モンディアル」用3.2リッターV8という。
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これもデモランが予定されていた、1968年の第5回日本グランプリに出走した元・滝レーシングの「ローラT70マーク3」。エンジン不調により、残念ながら展示のみとなった。
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今回は「2&4フェスティバル」と銘打たれ二輪も走ったが、最後に1台だけ紹介しよう。1968年「ハーレー・ダビッドソンKRTT」。69年までハーレー優遇策としてアメリカのAMAに存在した、SV(サイドバルブ)は750cc、OHVは500ccまでというレギュレーションに沿って開発された、究極のSVエンジン搭載レーサー。