セバスチャン・ローブが引退 「WRC第11戦ラリー・フランス」観戦リポート
2013.10.30 画像・写真新型「シトロエンC4ピカソ」の試乗会(試乗記はこちら)のため渡欧したわれわれがまず向かったのは、試乗の拠点があるドイツ・ベルヒテスガーデンではなく、ストラスブールだった。
2013年10月3日~6日、この街を拠点にWRC(世界ラリー選手権)第11戦「ラリー・フランス」が開催されたのだが、そのとなり街のアグノーこそ、シトロエン・レーシング、コ・ドライバーのダニエル・エレナと組んで、WRC9連覇という前人未到の偉業を達成したセバスチャン・ローブの生まれ故郷。
シトロエン関係者が決して足を向けて寝られないそのローブ様が、WRC引退試合として故郷のラリー・フランスを選んだというので、最後の走りを目に焼き付けるべく、観戦に出向いた。正確にはプジョー・シトロエン・ジャポンがそういうツアーを組んでくれたのであった。写真で紹介したい。(文=塩見 智/写真=プジョー・シトロエン・ジャポン)
――新型「シトロエンC4ピカソ」の試乗記はこちら。

WRC9連覇により生ける伝説となったセバスチャン・ローブの地元人気はこの通り。2012年のチャンピオン獲得後、13年はシトロエン・チームのエースの座をダニエル・ソルドに譲り、自身はいくつかのラリーのみに出場していたローブの最後の舞台がラリー・フランスだ。
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WRC9連覇により生ける伝説となったセバスチャン・ローブの地元人気はこの通り。2012年のチャンピオン獲得後、13年はシトロエン・チームのエースの座をダニエル・ソルドに譲り、自身はいくつかのラリーのみに出場していたローブの最後の舞台がラリー・フランスだ。
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集中を高めるローブ。
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ストラスブールを拠点に、いわゆるアルザス地方のワイン畑を縫うようにコースが設定されたラリー・フランス。すべてのSSがターマックの高速ラリーだ。
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今シーズン、ローブが乗る「DS3」はブラックとゴールドの専用カラーに塗られ、ひと目で彼とわかる仕様。
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車体を浮かせながらタイトベントを駆け抜ける「DS3」。コースサイドで観戦していると、小石が飛んできて当たり、痛い。痛いけど、当たるとなんかうれしい。
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街中で見かける「DS3」はエレガントなコンパクトハッチだが、車高が下がり、ダブルエレメントの大型リアウイングが装着されると、途端に戦闘的なルックスとなる。
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道路脇まで出て行かずとも、ローブを応援しているよと窓から表明する家の多いこと多いこと。右下は「パスカルはローブを応援しているよ」という意味合いか。
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ラリーマシンであっても市販の「DS3」同様、奥行きがあるように見えるリアコンビランプが残っている。
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現行レギュレーションのWRCマシンは大したチューニングではないはずだが、ワインディングロードを信じられないスピードで駆け抜けていく。
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「DS3」でも道幅いっぱいのコースを、時折タイヤを脇に落としながら駆け抜ける。
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ローブの9連覇を支え続けた、というよりも一緒に9連覇を達成したコ・ドライバーのダニエル・エレナ。
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「ステージ勝利896回」「表彰台116回」など、ローブのマシンにはこれまでの実績が誇らしげに記されていた。
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ところでかつてF1で活躍したロバート・クビサは、現在WRC2に出場している。
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LOEB(ローブ)の落書き。
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右から「サクソ」「クサラ」「C4」「DS3」。ローブが駆った歴代のマシンだ。
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自然がステージのWRC。
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結果としては、今回、ローブは有終の美を飾ることができなかった。最終日のSS15でドライビングを誤り、コースアウト、「DS3」を横転させてしまい、そこでリタイア。ローブは「これもラリー」と達観したコメントを残した。
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最終日。ローブの故郷であるアグノーの駅を閉鎖して設けたSS17で待っていたわれわれを含むローブ応援隊は、彼がリタイアしたと聞き、拍子抜け。皆一様に残念がった。が、10分後にはリタイアを知る前と同じように、再び片手にワイン、片手にアルザス特有の薄いピザをもって談笑していた。“これもラリー”ということを、スペクテーターたちもよく理解しているのだ。リタイア後、ファンに感謝のサイン会。
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優勝は「フォルクスワーゲン・ポロR WRC」のセバスチャン・オジェ。彼もフランス人だから地元優勝なのだが、今回は「おつかれローブ」の空気にのまれてしまった感あり。
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ローブはラリーを卒業し、来季からWTCC(世界ツーリングカー選手権)に参戦することを表明している。WTCCとは、1.6リッターターボエンジンと6段ギアボックスを搭載する4ドアの2WD車で戦うレースで、ここのところ、各メーカーが関心をもつカテゴリーだ。ローブが組むのはもちろんシトロエン・レーシングで、クルマは「CエリーゼWTCC」(中国やロシアなど向けの4ドアセダンをベースとしたマシン)だ。ラリー観戦後に訪れたシトロエン本社にはそのモックアップが展示されていた。