新型「トヨタ・ヴォクシー/ノア」発売

2014.01.20 自動車ニュース
新型「ノア」。写真は、今回初めて投入されるハイブリッド車。
新型「ノア」。写真は、今回初めて投入されるハイブリッド車。

新型「トヨタ・ヴォクシー/ノア」発売

トヨタ自動車は2014年1月20日、ミニバン「ヴォクシー/ノア」の新型を発表した。ガソリン車は同日に、新たに加えられたハイブリッド車は同年2月24日に、それぞれ発売される。

トヨタ自ら“毒気のある造形”という「ヴォクシー」のフロントまわり。写真は専用のエアロパーツを装備するグレード「ZS」。
トヨタ自ら“毒気のある造形”という「ヴォクシー」のフロントまわり。写真は専用のエアロパーツを装備するグレード「ZS」。
運転席まわりの様子。グレードにより、写真のような大胆な色使いのインテリアも選択できる。
運転席まわりの様子。グレードにより、写真のような大胆な色使いのインテリアも選択できる。
ハイブリッド車(写真)とガソリン車の外観上の違いはエンブレムくらいのもの。ほとんど見分けはつかない。
ハイブリッド車(写真)とガソリン車の外観上の違いはエンブレムくらいのもの。ほとんど見分けはつかない。

■楽しく使える、エコなハコ

商用ワンボックスがベースの「タウンエースノア/ライトエースノア」の後継モデルとして、初代「ヴォクシー/ノア」が誕生したのは2001年。「ホンダ・ステップワゴン」や「日産セレナ」が先行していた、ほぼ5ナンバーフルサイズで、FFを採用してスペース効率を追求した乗用車専用設計のミニバンだった。子育てファミリーを中心とするユーザーの高い支持を受けたこのカテゴリーは、すでに乗用車市場の一角を占めていたが、ヴォクシー/ノアの登場によって、より競争の激しいマーケットとなった。

その激戦区において、かつては有利に戦いを進めてきたヴォクシー/ノア連合軍だが、ここ数年は情勢が芳しくない。ちなみに昨2013年1~12月の販売台数は、セレナが9万6407台、ステップワゴンが6万2206台。対してヴォクシーは4万1918台、ノアは3万2306台で、合わせて7万4224台。ステップワゴンよりは1万台以上多いが、モデル末期とはいえ、セレナには2万台以上の差をつけられてしまったわけだ。トヨタとしては屈辱的なこの状況を打開し、再びクラスの盟主となる使命を帯びて登場したのが、約6年半ぶりにフルモデルチェンジした、3代目となる新型ヴォクシー/ノアである。

新型のコンセプトは「Spacious FUN Box」。意訳すると「家族の夢を丸ごと載せるFun、Utility、Nenpiの良いハコ」で、運転の楽しさ、快適で広い室内、使い勝手、そしてエコ性能を極めたスペースミニバンという。
セリングポイントは、(1)広く使いやすいハコの魅力を追求しながら、エモーショナルさを両立したデザイン (2)新開発低床フラットフロアにより、大幅に向上した室内スペースと乗降性 (3)子育てファミリーにも手が届く、クラス初の本格ハイブリッド投入と、大幅に向上したクラストップとなるガソリン車の燃費――という3つである。

「ヴォクシー ZS」のサイドビュー。シリーズ中最も大きな16インチホイールを装備する。
「ヴォクシー ZS」のサイドビュー。シリーズ中最も大きな16インチホイールを装備する。
7人乗り仕様車のセカンドシートを、ロングスライド(後退)させたところ。このポジションは、サードシートを側方に跳ね上げることで可能となる。なお、先代で採用されたセカンドシートの回転機能は備わらない。
7人乗り仕様車のセカンドシートを、ロングスライド(後退)させたところ。このポジションは、サードシートを側方に跳ね上げることで可能となる。なお、先代で採用されたセカンドシートの回転機能は備わらない。
サードシート。3人分の着座スペースが割り当てられる。
サードシート。3人分の着座スペースが割り当てられる。

■スペース効率を徹底追求

ボディーは低床化するため、プラットフォームから新開発。スポット溶接の増し打ちや高張力鋼板の採用により、ボディー剛性を確保しつつ軽量化を達成した。ボディーサイズはホイールベースが先代より25mm延びて2850mmとなり、ヴォクシー/ノア(FF車)の標準ボディーで全長4695mm(先代比+100mm)、全幅1695mm(±0mm)、全高1825mm(-25mm)。エクステリアデザインは、ヴォクシーが「毒気のあるクールな造形をさらに進化させ、大胆さを表現」、ノアが「親近感と誠実な印象に加え、王道をいく堂々感を表現」とうたう。

ヴォクシー、ノアともに標準ボディー(5ナンバー)とエアロボディー(3ナンバー、ガソリン車のみ)が用意されているが、ヴォクシーのエアロボディーは、昨秋の「東京モーターショー2013」にヴォクシー・コンセプトとして参考出品されていたもの。メーカー自ら「さらに毒気を強調」というだけあって、数年前なら「東京オートサロン」でミニバンの部門賞を取れそうなほどアグレッシブな造形で、ここまでやるかという感じである。

クラストップの低床フロアを実現した新開発パッケージにより、全高を下げながら室内高もクラス随一の1400mm(先代比+60mm)に。ホイールベースの延長もあって実質的な室内長、室内幅ともに拡大され、室内空間の広さもクラストップレベルとなった。
また、キャプテンシートを採用した7人乗りのセカンドシートは、先代より300mmも大きい810mmという超ロングスライド量を実現。6:4分割チップアップシートとなる8人乗りのセカンドシートも、先代比+50mmの580mmのロングスライドを確保。スライドドアの開口幅も、先代より75mmも拡大したクラストップの805mmで、低床と相まって乗降性、使い勝手がいっそう向上した。

ハイブリッド車のパワーユニット。いまやハイブリッド車の代名詞となった「プリウス」のものが採用されている。
ハイブリッド車のパワーユニット。いまやハイブリッド車の代名詞となった「プリウス」のものが採用されている。
同じくハイブリッド車のメーター。ブルーを基調にデザインされている。
同じくハイブリッド車のメーター。ブルーを基調にデザインされている。
荷室。写真はサードシートを跳ね上げ、積載スペースを拡大した様子。
荷室。写真はサードシートを跳ね上げ、積載スペースを拡大した様子。

新型「トヨタ・ヴォクシー/ノア」発売の画像

■ハイブリッド車も新登場

新型の最大の話題が、クラス初となる本格的ハイブリッドモデルの導入である。システムは「プリウス」に使われているものと同じで、1.8リッターのアトキンソンサイクルエンジンとモーターの組み合わせ。システム最高出力もプリウスとまったく同じ136psで、JC08モードの燃費は23.8km/リッター。ボディーが大きく重いだけに、プリウスの30.4km/リッターより2割ほど落ちるが、それでも文句なしにクラストップである。トランスミッションは電気式無段変速機で、駆動方式はFFのみ。なお、ニッケル水素バッテリーはフロントシート下に収められており、ミニバンの持ち味である室内スペースや使い勝手は犠牲になっていない。

ガソリンエンジンは2リッター直4で、3ZR-FAEという型式は先代と同じだが、バルブマチックをさらに進化させて燃焼効率を高めた。先代より低中回転域を重視したチューンで、最高出力(152ps)と最大トルク(19.3kgm)こそ若干低下したが、燃費は大幅に向上。アイドリングストップ機構搭載車は、ガソリン車ではクラストップの16.0km/リッター(FF車。JC08モード)を誇る。また、同仕様は空調ユニットに蓄冷エバポレーターを内蔵することで、夏場のアイドリングストップ中でも、室内に冷風を送ることができる。
ガソリン車のトランスミッションは7段スポーツシーケンシャルシフトマチック付きCVTで、駆動方式はFFと4WDが設定されている。

そのほか安全対策もいっそう充実するなど、あらゆる面でライバルを凌駕(りょうが)すべく開発された新型ヴォクシー/ノア。グレード体系と価格は両者とも同じで、ガソリン車の8人乗りが218万円から280万円まで(7人乗りは、それぞれ3万円高)。ハイブリッド車は7人乗りのみの2グレード展開で、285万円と297万円である。、
ちなみに月販目標台数はヴォクシー4600台、ノア3400台の計8000台。つまり年間では9万6000台となり、昨年のセレナの販売台数とほぼ一致するわけである。巻き返しを図るべくトヨタが満を持してリリースする基幹車種の新型、しかもハイブリッドの投入によって上積みも見込めそうな割には控えめな数字にも思えるが、消費増税の影響を見込んでいるのだろうか?

(文=沼田 亨)

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