「水野和敏的視点」 vol.88 スズキ・アルトF(後編)

2015.02.20 mobileCG

「水野和敏的視点」 vol.88 スズキ・アルトF(後編)

R35型「日産GT-R」の生みの親、育ての親であるだけでなく、レース界での活躍やセダンの進化への貢献など、自動車の世界で数々の成果を上げてきた水野和敏氏。そんな氏が歯に衣を着せず、本音でクルマを語り尽くす『mobileCG』の特集「水野和敏的視点」。前回に続き、今回もスズキの意欲作、新型「アルト」に試乗する。


「水野和敏的視点」 vol.88 スズキ・アルトF(後編)の画像

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スズキ・アルトF
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=3395×1475×1475mm/ホイールベース:2460mm/車重:620kg/駆動方式:FF/エンジン:0.66リッター直3 DOHC 12バルブ/トランスミッション:5段AT/最高出力:52ps/6500rpm/最大トルク:6.4kgm/4000rpm/タイヤ:(前)145/80R13 75S (後)145/80R13 75S/価格:84万7800円
スズキ・アルトF
    ボディーサイズ:全長×全幅×全高=3395×1475×1475mm/ホイールベース:2460mm/車重:620kg/駆動方式:FF/エンジン:0.66リッター直3 DOHC 12バルブ/トランスミッション:5段AT/最高出力:52ps/6500rpm/最大トルク:6.4kgm/4000rpm/タイヤ:(前)145/80R13 75S (後)145/80R13 75S/価格:84万7800円

「日本のモノづくり」が生きている

今回も引き続きスズキ・アルトの試乗を続けます。試乗車は最廉価グレードの「F」。トランスミッションに、CVTの代わりにシングルクラッチ式の2ペダルMT「オートギアシフト(AGS)」を採用したモデルです。

そのAGSですが、これが意外なほどよくできています。Dレンジのオートマチックモードでも、ギアチェンジはとてもスムーズですね。かつてのBMWやランボルギーニと比較したら、スズキの2ペダルMTは、シングルクラッチ方式としては突出してよくできていると思います。

「BMWやランボルギーニと比べるなんて……」と思う方がいるかもしれません。しかし、アルトが搭載する660cc直3エンジンは、最高出力が52ps/6500rpm、最大トルクは6.4kgm/4000rpmにすぎないのです。絶対的なトルクがないぶん、クラッチをベストのタイミングでつながないとすぐにエンジンが息つきしたり、ストール気味になってしまったりする恐れがあります。クラッチの制御と作動の確保は難しくなるはずですが、クラッチのプレートやアクチュエーターを動かすオペレーティングシリンダーなどの精度を上げることで対応しているのでしょう。「日本のモノづくり」の素晴らしさを見た気がします。

また、このAGSはシングルクラッチ式の常で、変速の瞬間に加速を途切れさせますが、失速感はありません。ギアボックスを構成する一個一個の部品の精度を上げないと、こうした動きは出せません。日本の技術はとてつもなく素晴らしい。日本で生産されている軽自動車に触れるたびにそう感じます。(つづく)

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(語り=水野和敏/まとめ=青木禎之<Office Henschel>/写真=小林俊樹)

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