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【スペック】全長×全幅×全高=4545×1815×1420mm/ホイールベース=2760mm/車重=1530kg/駆動方式=FR/2リッター直4DOHC16バルブ ディーゼルターボ(214ps/4100rpm、45.9kgm/2000-2500rpm)/価格=698.0万円(テスト車=715.0万円/電動ガラスサンルーフ=17.0万円)

アルピナD3ビターボ リムジン(FR/6MT)【試乗記】

いまだけのご馳走 2010.02.03 試乗記 アルピナD3ビターボ リムジン(FR/6MT)
……715.0万円

BMWをベースに開発されるプレミアムブランド、アルピナ。なかでも、ディーゼルエンジンと6段MTを併せ持つ(日本では)レアなセダン「D3」の走りを試した。

いいじゃないか、ディーゼル!

アルピナの現行ラインナップのなかではエントリーモデルながら、「D3ビターボ」は一番魅力的なモデルだ。日本では正規ルートで買えないBMWのディーゼルモデルを入手する、という意味において価値あるBMWモデルでもある。

むかしはディーゼルアレルギーの人も確かにいたが、今では燃費性能の経済性といった特典だけでなく、活発にして静かな動力性能という点でむしろガソリンユニットより評価は高い。
なにしろたった1500rpmで40.8kgmという、4リッターガソリンエンジン並みの高トルクを発生するし、最高回転は5200rpmも回る。本国ドイツのアウトバーンでは200km/hのバトルに耐えて、最高速度は244km/hに達する。まして公には100km/h、実情でも140km/h程度の日本の高速道路では、一番おいしいところを常用できる。そのうえその高トルクを利して低回転で回すゆえに、ガソリンエンジンより静かなクルーズが可能だ。
というわけで、いまやディーゼル/ガソリンという区分けも意識の外にあり、給油時に油種の指定を間違えさえしなければいいだけだ。

アイドル振動や音も皆無ではないが、カラカラ言うわけではないし、ビリビリした硬質の振動があるわけでもない。さらなる手だてとして、現代の情勢を鑑みてアイドリングストップ機能まで備わっているから、完全無振動無音の境地にさえ達する。これなら鵜の目鷹の目で意地悪な観察をする我々ジャーナリストであっても、無関心をよそおっていられる。

「アルピナD3ビターボ リムジン」の心臓部。ビターボ(=ツインターボ)の名のとおり、アイドリングから働く小さなターボと3000rpmから効き始める大きなターボとのコンビネーションで、余裕のピックアップをうたう。
「アルピナD3ビターボ リムジン」の心臓部。ビターボ(=ツインターボ)の名のとおり、アイドリングから働く小さなターボと3000rpmから効き始める大きなターボとのコンビネーションで、余裕のピックアップをうたう。 拡大
白い車体では比較的目立たないものの、ボディサイドはアルピナ伝統のストライプで飾られる。
白い車体では比較的目立たないものの、ボディサイドはアルピナ伝統のストライプで飾られる。 拡大

6MTが引き出すうまみ

それよりもディーゼルエンジンゆえの特性を、積極的に謳歌(おうか)しようではないか。まず特徴的な高圧縮比による好レスポンス、これはふたつのターボチャージャーによる過給を受けるもので、圧縮比は16:1に留まるが、ガソリンエンジンに比べればまだまだ高い。
低回転域で効かせる小さなターボと、3000rpm以上の高回転域で効かせる大きなターボで構成された過給がとても自然で、一切のラグを感じさせない。もっともディーゼルエンジンにはガソリンエンジンのようなスロットルのバタフライがなく、常時ポートが開放されているので、アクセルペダルのオン/オフに起因する“給気の段差”はない。

その鋭い加速を味わうのに、6段MTは欠かせない。アルピナD3には2ペダルのスイッチトロニックもあるが、ふつうのオートマチックトランスミッションのようにトルコンスリップでブカブカとルーズに繋ぐタイプではないから、こちらもMTのダイレクト感はそのままだ。ただギアレシオに関しては、特別にクロースしたものではなく、どちらかといえばドイツ的でワイドなもの。たとえばボートを牽引するとか、低速では牽引力を重視しているから、早めに上のギアへ上げた方がいい。

燃料経済性は期待以上で、高速道路:峠道=7:3の割合で412.4kmを走った今回の平均燃費は12.96km/リッターであった。燃料タンク容量は60リッターであるから、通常の運転パターンでは満タンで700kmはもちそう。高速燃費だけを取り出すならばプリウスよりイイというのは、アルピナを扱うニコルオートモビルズの弁だが、その言葉にウソはなさそうだ。

0-100km/h加速に要する時間は、6段MT、スイッチトロニックともに6.9秒。
0-100km/h加速に要する時間は、6段MT、スイッチトロニックともに6.9秒。 拡大
背もたれの中央にエンブレムが添えられる、D3のシート。写真の左ハンドル仕様のほか、25万円のオプションとして右ハンドル仕様も用意される。
背もたれの中央にエンブレムが添えられる、D3のシート。写真の左ハンドル仕様のほか、25万円のオプションとして右ハンドル仕様も用意される。 拡大

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走りもキッチリ、アルピナ流

アルピナと言えば、足回りのセッティングにも定評がある。このD3のアシもアルピナ・チューンに期待するすべてが実現されている。まず多くの日本車と違って、ブヨブヨする無駄な動きが少ない。曲がるにしてもスッキリ入ってスッキリ納まる。乗り越えるにしてもブワンとダルな動きをせずにスっと縮んでピタッと水平な姿勢に戻る。「アシがカタい」のではない。ドイツの“高速チューン”車にありがちな、ストロークの足りないガチガチに固められたモノと違い、今回は4人で乗るチャンスもあったが不当に不快な乗り心地ではなかった。
ステアリングも、ギア比だけクイックにしたものではなく、鼻先に収まるディーゼルエンジンの重さゆえか、ほんの少し前輪荷重の大きい(車検証上は前輪790kg+後輪760kg=1550kg)確かな手応えをしめすもので、気負うことなく安泰でいられる。

日本では大勢がATになってしまい、MT好きは選択を迫られる状況だ。たとえあってもスポーティなモデルであるとか2ドアであることが多く、普通の4ドアセダンのMT車を買うのは難しい。このアルピナD3はそうした顧客にとっても、願ってもない設定である。
同じ3シリーズセダンベースのアルピナでも、ガソリンエンジンモデルの「B3」は999万円とはるかに高額だから、「D3」の698万円は価格の面でも比較的お買い得な設定である。今夏からより厳しい法律が適用されるようになるなど、我が国におけるディーゼルの規制には期限があり、このD3のMTモデルも際限なく入ってくるわけではない、このモデルの在庫もあと少ししかないそうだから、興味ある方は、お早めに。

(文=笹目二朗/写真=高橋信宏)

ボディには、ベースとなるBMWのエンブレムをいただくアルピナ。車内のドライバー頭上には、同社のエンブレムが輝く。
ボディには、ベースとなるBMWのエンブレムをいただくアルピナ。車内のドライバー頭上には、同社のエンブレムが輝く。 拡大
運転席まわりのデザインは、基本的に「BMW3シリーズ」と変わらない。ETCは標準で備わる。
運転席まわりのデザインは、基本的に「BMW3シリーズ」と変わらない。ETCは標準で備わる。 拡大

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