モデューロXの真価を知る
あふれるほどのパッション 2020.03.19 匠の技が磨いた走り<AD> ホンダの人気車種をベースに、専用の装備やチューニングで走りを磨いた「モデューロX」シリーズ。その最新モデル「ヴェゼル モデューロX」と軽スポーツ「S660モデューロX」からは、上質な走りにかける、つくり手の情熱が伝わってきた。遠目からでも心に刺さる
1、2、3。このたった3秒で、人はいったいなにができるだろう? ホンダ車を知り尽くした匠(たくみ)の手で磨き上げられた純正コンプリートカー、モデューロXの2台と一日を共にし、幾度となくそんなことを考えさせられた。それは驚きや発見から始まり、次第に確信へと深まって、最後は身も心も満たされる、映画のような時間でもあった。
モデューロXの匠たちには、“特別な一台”をつくることに対する、一貫したこだわりがある。ホイールのブランドとして「Modulo(モデューロ)」が誕生してから25年以上、着実に受け継がれてきたのは、「人の感覚を重視して開発する」ということだ。そこでは「走り」だけでなく、デザインや上質感といった感性の領域も重要な要素となっている。だからこそ、パーツ単体では成し得ない高みを目指し、まるごと一台を手間ひまかけて熟成させたコンプリートカー、モデューロXが生まれることになったのだ。
モデューロXは2013年の第1弾「N BOXモデューロX」からスタートした。初のスポーツモデルとなったS660モデューロXは第5弾、初のSUVであるヴェゼル モデューロXは第6弾となるモデルだ。まったくタイプの異なる2台だが、遠目からでも引きつけられる強烈な存在感は、どちらも負けてはいない。
はじめにドアを開けたのは、鮮やかなイエローが気持ちを揺さぶるS660モデューロX。この世界最小の本格ミドシップオープンスポーツをドライブするのは久しぶりだったが、スポーツシートにおさまりドアを閉めた瞬間、まるでパズルのように車体の1ピースになれるような感覚は、やはりこのクルマでしか味わえないと思い出した。雨上がりの都心を走りだすや、こんなにもビルが巨大だっただろうかと驚く。すべての景色がほかにはないほどローアングルで目に映るからだ。
クライマックスが続くS660モデューロX
ロールトップとコーディネートされた、ボルドーレッドの専用ステアリングホイールは、アルカンターラと本革のコンビで手のひらにしっとりとした感覚を伝えてくる。対して6段MTのシフトノブはチタン製。街中ではせわしなくギアチェンジする必要があるが、握るたびにひんやりする触感が「自分は今、クルマという機械を思うがままに操っているのだ」と教えてくれて、ピリリと身が引き締まる。そしてどんどん、頭から雑多なものが削(そ)ぎ落とされて、クルマとの対話に集中していくのを感じる。
そんな“下ごしらえ”が終わったところで、高速道路へ。合流車線で思い切り右足に力を込めると、明らかに一段高まったサウンドが後方から体を包み込むように広がってきた。タコメーターは針をグンと跳ね上げる。加速フィールを視覚でも確かめながら、一気に本線へと滑り込む。風を切り裂くゴーッという音や振動、路面の変化といった演者たちも総動員で、クライマックスを迎えたような高揚感。そしていったん、巡行に入って落ち着いた空間に戻ったのもつかの間、車線変更で再び一気にクライマックスに突入する。いつでも何度でも、自分の意思でクライマックスに浸れる喜び。これは、高速道路を降りてワインディングロードにステージを変えても、まったく途切れることがなかった。
峠では、ひとつ目のカーブに入った瞬間から、体感速度が麻痺(まひ)してくる。車体はガッシリとしていながらも身のこなしには軽やかさが感じられ、しなやかな中にも粘り気のある、見事なコーナリングマシンぶりでドライバーを楽しませてくれる。S660モデューロX専用のサスペンションには、街中では「やや硬めかな?」と感じる場面もあったが、こうしたステージでは最高の見せ場といわんばかりにいい仕事をしてくれる。まったくS660モデューロXのドライビングは、最後までドキドキが止まらないアクション映画のようだ。
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ヴェゼル モデューロXは絶大な安心感
次にステアリングを握ったのは、発売以来コンパクトSUV市場をけん引してきたホンダ・ヴェゼルのモデューロX。モデューロXとして最新なだけでなく、今回の1.5リッターターボのほかにハイブリッドもラインナップされ、ハイブリッドではFFと4WDの駆動方式が選べるというバリエーションの多さも特長のひとつだ。匠たちは、そのそれぞれに最適なセッティングを施すことで走りを追求、気の遠くなるような試行錯誤を重ねたという。
前から眺めると、ヴェゼルらしい若々しさや精悍(せいかん)な雰囲気に加えて、専用フロントグリルや専用エアロバンパーといったエクステリアの熟成により、大人っぽい余裕と上質感も醸し出されている。リアに回ると、ブラックのテールゲートスポイラーや専用のエアロバンパー、ロアガーニッシュから“走りのよさ”がイメージできる。その印象のままドアを開けてシートに身を預けると、期待通りのフィット感。サイドからしっかりと支えてくれることによる安心感が、全身に行きわたる。
そこで初めて「あれ?」と思う。ベースモデルとボリューム感がまったく違うシートは、モデューロXとして初めて開発された専用のスポーツシートなのだ。これまでは表皮の変更程度にとどまっていたが、長年の希望がかなう形で、ついにフレームからの専用開発が実現したのだという。後席から見た印象もガラリと変わり、ドライバーの後ろ姿もちょっとたくましく、すてきに見える。
こうして絶大な安心感とともに走りだしたヴェゼル モデューロXのターボモデル。市街地では、アップライトな視点から心理的な余裕が得られる一方で、マンホールなどのギャップを越えた際の衝撃が拍子抜けするほど小さくて驚かされる。ブレーキングのフィールも自然で、常に安定している。一つひとつの所作がていねいにこなせるようで、いつもの運転よりも優雅な気持ちにさせてくれる。
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つくり手のこだわりが伝わる
こうした走りの印象が得られるのは、専用サスペンションの恩恵だけでなく、ホイールの剛性を最適化したり、エアロダイナミクスを考えパーツをつくり込んだりした効果によるものだ。市街地を走っただけでそこまでわかるだろうかと、ちょっと疑っていた自分が恥ずかしい。もともとモデューロが目指しているのは、「日常のさまざまなシーンにおける楽しく快適な走り」。ファミリーユースも多いヴェゼルのキャラクターを考えても、市街地で得られる満足感はもちろん、家族や仲間たちなど同乗する人にも同じ楽しさ、快適性が味わえるよう、とことんこだわったに違いない。
高速道路ではしっかりとした接地感や段差をいなす足さばきに感心し、ワインディングロードでは思い通りに弧を描いてくれる素直な応答性にテンションが上がる。こんなにコーナーが楽しみになるSUVには、なかなか出会えないものだ。S660モデューロXと同様、ヴェゼル モデューロXの走りにも、キビキビとした軽快感とガッシリとした安定感がちゃんとある。この日は天候に恵まれたが、これならきっと雨の日や雪道などでも、リラックスして走れるだろうなと想像できた。そんなヴェゼル モデューロXの運転体験を例えるなら、冒険あり恋愛ありのハートフルストーリーという感じだろうか。
こうして、本格ミドシップオープンスポーツとコンパクトSUVというまったく異なるタイプのモデューロXを乗り継ぎ、わかったこと。それは、人はたった3秒ではほとんどのことができないが、クルマは3秒でも人を驚かせ、感動させ、とりこにできるということだ。しかしそういうクルマをつくるためには、膨大な時間と手間をかけることをいとわない、人の情熱が絶対に欠かせない。
モデューロXに乗ると、そうしたつくり手の情熱があふれんばかりに伝わってくる。ホンダ車を愛し、自らの手でもっともっと走りを洗練させたい。もっともっと、乗る人を楽しませたい。そんな心意気が、きっと私たちの毎日を輝かせてくれるのだ。モデューロXに乗ることは、心で走ること。ちゃんと、自分が人生の主役として生きることなのだと思う。
(文=まるも亜希子/写真=田村 弥)
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車両データ
ホンダS660モデューロX
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=3395×1475×1180mm
ホイールベース:2285mm
車重:830kg(※CVT車は850kg)
駆動方式:MR
エンジン:0.66リッター直3 DOHC 12バルブ ターボ
トランスミッション:6段MT
最高出力:64PS(47kW)/6000rpm
最大トルク:104N・m(10.6kgf・m)/2600rpm
タイヤ:(前)165/55R15 75V/(後)195/45R16 80W
燃費:--km/リッター
価格:304万2600円
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ホンダ・ヴェゼル ツーリング モデューロX Honda SENSING
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4335×1790×1605mm
ホイールベース:2610mm
車重:1360kg
駆動方式:FF
エンジン:1.5リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ
トランスミッション:CVT
最高出力:172PS(127kW)/5500rpm
最大トルク:220N・m(22.4kgf・m)/1700-5500rpm
タイヤ:(前)225/50R18 95V/(後)225/50R18 95V
燃費:--km/リッター
価格:356万7300円(※有料ボディーカラー<プラチナホワイト・パール>の3万8500円を含む)