クルマ好きなら毎日みてる webCG 新車情報・新型情報・カーグラフィック
【スペック】全長×全幅×全高=4800×1840×1480mm/ホイールベース=2750mm/車重=1470kg/駆動方式=FF/2.5リッター直4DOHC16バルブ(188ps/5700rpm、25.5kgm/3250rpm)/燃費=15.6km/リッター(JC08モード)/価格=300万円(テスト車=308万4000円/Boseサウンドシステム+11スピーカー=8万4000円)

マツダ・アテンザワゴン25S Lパッケージ(FF/6AT)【試乗記】

ハンドリング・マニアにささぐ 2013.03.22 試乗記 マツダ・アテンザワゴン25S Lパッケージ(FF/6AT)
……308万4000円

話題も人気も沸騰中の新型「マツダ・アテンザ」。今回は販売の主役であるディーゼルエンジン搭載車ではなく、あえて2.5リッターのガソリンエンジン車に試乗。あらためて、その真価を確かめた。

主流はディーゼルだけれど……

「マツダ・アテンザ」は、国内販売でもディーゼルエンジンを積む「XD」(「XD Lパッケージ」も含む)の比率が7割以上……ことによっては8割近いのだという。アテンザはご承知のように、その一番人気の2.2リッター直噴ターボディーゼルのほか、「CX-5」などと同じ2リッターガソリン、そしてアテンザで初登場の2.5リッターガソリン……という計3種類のエンジンラインナップである。

アテンザでディーゼルに人気が集中するのは当然だろう。アテンザのディーゼルはすべてのアテンザのなかで、最も高性能かつ最も低燃費。まあ、そのぶん価格も高いのだが、「XD」が同等装備の2リッター「20S」の、上級版「XD Lパッケージ」が2.5リッター「25S Lパッケージ」のそれぞれ40万円高。補助金や免税などクリーンディーゼルならではの優遇措置と燃料の安さを考えると、「この価格差ならディーゼル」と思いやすい絶妙な設定である。
ましてや、最新クリーンディーゼルという存在そのものが、日本では今なお新鮮かつ貴重。クルマ好きならそれだけでゴハン3杯は食べられるほど(?)マニアなウンチク満載だ。

とくに好奇心豊かなクルマ好きは、これまで「欧州の常識である最新ディーゼルがどれほど魅力的か? しかし、それは日本で手に入らない」という話をさんざん聞かされてきたわけだ。そこでやっと登場した国産の最新鋭ディーゼルが、CX-5でありアテンザである。さらに言えば、それを手がけたのが「和製欧州車」っぷりにかけては右に出るものがない(?)マツダとなれば、「待ってました!」と、多少のエキストラコストも喜んで支払うエンスージアストは少なくないだろう。

ところが、今回の主題はアテンザはアテンザでも、ガソリンモデルである。試乗車となった2.5リッターガソリンを積む「アテンザワゴン25S Lパッケージ」を前に、編集部H君は「ディーゼルイメージか強いアテンザですが、あえてガソリンを選ぶというハズシの選択はあるんでしょうか?」という。H君、なかなか答えにくいことを聞いてくれるね……。

装備については基本的にディーゼルエンジン搭載車と共通。「Lパッケージ」ではインパネの加飾パネルがボルドーメタルとなる。なお、試乗車にはディーラーオプションのパイオニア製HDDナビゲーションシステム(21万850円)が装備されていた。
装備については基本的にディーゼルエンジン搭載車と共通。「Lパッケージ」ではインパネの加飾パネルがボルドーメタルとなる。なお、試乗車にはディーラーオプションのパイオニア製HDDナビゲーションシステム(21万850円)が装備されていた。 拡大
「Lパッケージ」はブラック、もしくはオフホワイトのパーフォレーションレザーシートを標準装備。前席のセンターアームレストにはスライド機構が備わる。
「Lパッケージ」はブラック、もしくはオフホワイトのパーフォレーションレザーシートを標準装備。前席のセンターアームレストにはスライド機構が備わる。 拡大
「アテンザ」のワゴンは、セダンよりホイールベースが80mm短くなっているものの、レイアウトなどの工夫により、後席スペースの縮小は前後長で−20mmに抑えられている。
「アテンザ」のワゴンは、セダンよりホイールベースが80mm短くなっているものの、レイアウトなどの工夫により、後席スペースの縮小は前後長で−20mmに抑えられている。 拡大
注目の記事PR
  • 音と風と刺激的な走り。「アバルト124スパイダー」の魅力を、3人のジャーナリストが語る。
    音と風と刺激的な走り。「アバルト124スパイダー」の魅力を、3人のジャーナリストが語る。 アバルト特集
注目の記事一覧へ

滑らかでキレがある

アテンザの2.5ガソリンと2.2ディーゼルのエンジン単体スペックを比較すると、最高出力は2.5ガソリンが僅差勝ち、最大トルクはディーゼルが約4割差をつけた圧勝……となる。ただ、トルク特性がまったく違うこともあって、体感動力性能は数字から単純に想像するのとはちょっと異なる。
単純に加速が強力なのはディーゼルで、まるでドンッと背中を蹴られるようなトルクが印象的。対するこの2.5ガソリンモデルはスルスルスルーッと実に滑らかに加速していく。

迫力という点ではディーゼルにおよぶべくもないが、ディーゼルから乗り換えても、数字ほどには力不足は感じない。マツダの「SKYACTIV-G2.5」はとにかく滑らかなエンジンで、ここまでリミットまで震動なくストレスフリーに吹けるエンジンはけっこうめずらしい。また、右足の微妙な力加減にリンクしたリニアリティーとピックアップは2.5ガソリンのほうが明らかにディーゼルより上。

この2.5エンジンのリニアな味わいに拍車をかけているのが、マツダ製の6段ATである。ほぼ全域ロックアップの高効率が大きな売りだが、その徹底したロックアップ制御が変速の小気味よさ、エンジンのリニアなスロットル特性にメチャクチャ効いている。
変速スピードもお世辞ぬきに速い。変速制御も緻密。息の長い加速がほしい時にはレシオキープ、強く加速したいと念じれば瞬時のダウンシフト……。半日も付き合って、コツやタイミングを会得すれば、パワートレインと以心伝心になることが可能だ。

さらにレバーを運転席側に引き寄せれば、マツダらしく自動変速制御がまったく入らない真正マニュアルモードに切り替わる。前記のように変速の反応が鋭いので、ついついパドルをカチカチやりたくなる。もちろん、このATの気持ちよさは基本的にエンジンを問わないのだが、変速の一発一発でそれなりのショックを繰り出すディーゼルに対して、2.5ガソリンはいわば、カミソリ的にスパッと軽いキレの良さである。

15.6km/リッター(JC08モード)という燃費性能は、ディーゼルモデルの「XD」と比べれば見劣りがするものの、2.5リッターの純ガソリン車としては非常に優れた値である。より小排気量の2リッタークラスに比肩する。
15.6km/リッター(JC08モード)という燃費性能は、ディーゼルモデルの「XD」と比べれば見劣りがするものの、2.5リッターの純ガソリン車としては非常に優れた値である。より小排気量の2リッタークラスに比肩する。 拡大
日本ではこれが初登場となる2.5リッターの「SKYACTIV-G2.5」。最高出力188ps/5700rpm、最大トルク25.5kgm/3250rpmという数値は、2リッターガソリン車をそれぞれ33ps、5.5kgm上回る。
日本ではこれが初登場となる2.5リッターの「SKYACTIV-G2.5」。最高出力188ps/5700rpm、最大トルク25.5kgm/3250rpmという数値は、2リッターガソリン車をそれぞれ33ps、5.5kgm上回る。 拡大
リアシートは6:4の分割可倒式、ラゲッジルーム内のレバー操作でたたむことができる。(クリックすると、シートが倒れる様子が見られます)
リアシートは6:4の分割可倒式、ラゲッジルーム内のレバー操作でたたむことができる。(クリックすると、シートが倒れる様子が見られます) 拡大

ベスト・ハンドリング・オブ・アテンザ

こうしたパワートレインの滑らかさやキレ味だけでなく……というか、いやそれ以上に、アテンザのガソリンにはディーゼルを圧倒する美点がある。それはハンドリングだ。
今回のワゴンだと、25S LパッケージとXD Lパッケージの重量差は60kg。しかもその60kgのほぼすべてが前軸重に集中。さすがにハナ先が60kgも変わると、乗り比べさえすれば誰もがわかるくらいにちがう。
ガソリンのアテンザはとにかく軽快だ。とくに高性能な19インチタイヤを履くLパッケージだと、大柄なボディーサイズから想像しづらいほど、ノーズの動きは軽い。

知っている人も多いだろうが、今回のアテンザワゴンのホイールベースは、セダンのそれより80mmも短い。セダンが主戦場たる北米や中国で“マツダのフラッグシップ”に恥じない後席空間をアピールするのに対して、ワゴンのメイン市場は欧州。全長をどうしてもライバルと同等の4800mmにおさめないと、欧州では勝負にならないのだという。
アテンザではこのホイールベースによる走りの差も小さくない。開発陣によれば、サスペンションチューンにボディーごとの性格分けは意図していないというが、ショートホイールベースのワゴンのほうがハッキリと軽快でシャキッとして、回頭性も明確に鋭い。同じエンジンと同じタイヤサイズで両ボディーに乗れば、ほとんどの人がワゴンのほうがスポーティーに感じるはずである。
まあ、スポーティーという点でひとつ言うなら、Lパッケージに標準装備される45偏平の19インチタイヤはちょっとスポーツ過剰気味。速度を問わずにコツコツという突き上げがおさまらないし、視覚的にもブレーキサイズとのアンバランスがちょっと哀(かな)しい。

まあ、それはともかく、すなわち今回のアテンザ=“ワゴンボディー+2.5ガソリン”が、絶対的な速さを別にすれば、最もスポーティーで鋭くて軽快なハンドリングをもつアテンザということである。
もちろん、クルマはハンドリングだけで買うものではないから、アテンザでディーゼルが圧倒的人気なのは理解できる。ただ、「クルマ選びの最優先事項はハンドリング」と断言する一部マニアのみなさんは、だまされたと思って2.5ガソリン(のワゴン)を乗ってみてほしい。「俺(あるいは私)にはこっちだ!」と、ビビッとくる人は確実にいるはずである。

(文=佐野弘宗/写真=郡大二郎)

欧州勢に匹敵するゆったりとしたボディーサイズでありながら、車両重量は1.5トンを切る1470kgに抑えられており、軽快なハンドリングの一助となっている。
欧州勢に匹敵するゆったりとしたボディーサイズでありながら、車両重量は1.5トンを切る1470kgに抑えられており、軽快なハンドリングの一助となっている。 拡大
「Lパッケージ」に標準装備される、高輝度塗装の19インチアルミホイール。試乗車のタイヤは「ブリヂストン・トランザT001」(225/45R19 92W)だった。
「Lパッケージ」に標準装備される、高輝度塗装の19インチアルミホイール。試乗車のタイヤは「ブリヂストン・トランザT001」(225/45R19 92W)だった。 拡大
 
マツダ・アテンザワゴン25S Lパッケージ(FF/6AT)【試乗記】の画像 拡大

関連キーワード:
アテンザワゴンマツダ試乗記

あなたにおすすめの記事