「水野和敏的視点」 vol.21「軽自動車の進むべき道とは?」

2013.10.25 mobileCG

「水野和敏的視点」 vol.21「軽自動車の進むべき道とは?」

R35型「日産GT-R」の生みの親であり、育ての親である水野氏が、クルマの本音を語り尽くす『mobileCG』の特集「水野和敏的視点」。今回は過去数回にわたって取り上げてきた日本の軽自動車の将来についてじっくり考える。「軽」がグローバルマーケットで戦うために必要なこととは? そして取るべき戦略とは?

ダイハツ・ミラ イース
ダイハツ・ミラ イース
ホンダN BOX
ホンダN BOX
ホンダ・フィット
ホンダ・フィット
フォルクスワーゲンup!
フォルクスワーゲンup!
水野和敏(みずの かずとし)
1952年長野県生まれ。長野高専を卒業後、72年に日産自動車に入社。「プリメーラ」(P10)や「スカイライン」(R32)の車両パッケージ開発に携わる。89年にNISMOに出向してグループCカーレースに参戦。日産のレース活動の黄金期を築いた。93年に日産に復帰し、「スカイライン」(V35)や「フェアレディZ」(Z33)などの開発に携わった後、2003年から「GT-R」(R35)プロジェクトにかかわるすべての責任業務を遂行。2013年3月末に同社を退社。
水野和敏(みずの かずとし)
    1952年長野県生まれ。長野高専を卒業後、72年に日産自動車に入社。「プリメーラ」(P10)や「スカイライン」(R32)の車両パッケージ開発に携わる。89年にNISMOに出向してグループCカーレースに参戦。日産のレース活動の黄金期を築いた。93年に日産に復帰し、「スカイライン」(V35)や「フェアレディZ」(Z33)などの開発に携わった後、2003年から「GT-R」(R35)プロジェクトにかかわるすべての責任業務を遂行。2013年3月末に同社を退社。

■派生車種の「乱造」を見直すべき

過去数回にわたり、「ダイハツ・ミラ イース」「ホンダN BOX」「ホンダ・フィット」、そして「フォルクスワーゲンup!」と、軽自動車と小型車の代表的なモデルを取り上げてきました。最新の軽自動車に乗ってつくづく感じるのは、軽がすでに「日産マーチ」「トヨタ・ヴィッツ」といった小型車の領域と重なり始めているということです。室内空間や装備だけでなく、乗り心地とハンドリングもそうですし、価格もそう。今では法規上、高速道路を100km/hで走ることだってできる。あらゆる領域で重なってきているのです。「軽自動車だから」とか「小型車だから」といった線引きが、どんどん意味をなさなくなっています。

では、軽自動車は今後どうなるのでしょうか??売らんがための多車種戦略を採り続けていくなら、残念ながらグローバルな商品としての進化は、本質的な意味でこれ以上「ない」と思います。
次から次へと派生車種を市場に投入するものだから、開発部門と生産部門はクルマをつくることだけで手一杯。玉成が不足していて、クルマがまるで使い捨ての消耗品になっている気がします。

これから軽自動車を世界のマーケットでグローバルに展開しようとしたら、今のままではだめでしょう。少なからず、クルマづくりを見直す必要があると思います。
新興国において、価格の安さだけで勝負しようというのなら話は違います。かの地では、まずは価格の安さと実用性、耐久性がメインで求められている状況ですから、今のままでも十分需要に合致しています。
そうではなく、ヨーロッパやアメリカできちんと収益を出して、市民権を得た商品としてやっていくのであれば、クルマづくりの見直しは避けられません。軽自動車にとって、欧米はこれからのマーケットとして非常に高い可能性を秘めているものの、商品として雑な部分がこれを阻むでしょう。

また、日本の軽自動車や、そこから派生した小型車には、いわば「エコロジーの旗手」という道があるのはすでに認知されていますが、もうひとつ、決して忘れてはならないのが、世界中が直面している「高齢者対応」です。

これは小型車を「自動車車いす」とでもいいますか、高齢者の方々のための「生活圏の中でのクルマ」として捉える考え方であり、それぞれの方々の、それぞれの状況にあった自動車を提供しようとするものです。日本の軽自動車にはハッチバックあり、ワゴンタイプあり、2WDあり、4WDありと、さまざまなバリエーションが存在しますから、この要請にはぴったりなのです。現にフォルクスワーゲンup!は、クルマのつくりなどを見ても、このマーケットを相当意識して開発されたモデルだと思います。
電車やバスなどの交通インフラ基盤が脆弱(ぜいじゃく)なヨーロッパやアメリカで、高齢者問題や環境問題に対応したクルマとして販売する道を探ってみてはどうでしょうか。

そのためにも、とにかく派生車種を乱発して、それなりの出来のクルマを店頭に並べる姿勢を見直す必要があります。欧米の市場要件、特に走りやしっかり感や質感を満たす、クルマづくりの本質の変化が必要です。(つづく)

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(語り=水野和敏/まとめ=青木禎之<Office Henschel>/写真=小林俊樹)

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