第3回:プジョー2008 CROSSCITY
都会とアウトドアを行き来する人へ 2016.04.26 最新モデルが語る PEUGEOTの“今”<PR> 都会でも、アウトドアでも映えるクロスオーバーモデル「プジョー2008」に、特別仕様車「CROSSCITY」が登場。カタログモデルからさらに高められたオフロード性能と、専用にコーディネートされた内外装が織り成す魅力に触れた。【どんなクルマ?】
コンパクトハッチバックとSUVの“いいとこ取り”
プジョー2008とは、簡単に言えばコンパクトハッチバックである「プジョー208」のクロスオーバー版。コンパクトカーの合理性とSUV的なタフさを併せ持つ、“1粒で2度おいしい”タイプのモデルである。2540mmというホイールベースはベースとなった208と同じだが、全高はプラス100mmの1570mmとなっている。
中でも今回試乗したCROSSCITYは、2016年3月に発売された特別仕様車。特筆すべきは刷新されたパワートレインで、1.2リッターの3気筒ターボエンジンに最新の6段ATを組み合わせる。ちなみにこの1.2リッター「PureTech」ターボエンジンは、「インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤー2015」の1~1.4リッター部門で最優秀賞に選ばれている。
このクルマの特記事項はもうひとつある。それは、滑りやすい路面でも駆動力を確保するために機能する、「グリップコントロール」というシステムが採用されたことだ。これは進化版トラクションコントロールシステムとも呼ぶべき仕組みで、路面状況に応じて駆動輪へのエンジントルクの供給とブレーキをコントロールし、駆動力を最適化することができる。
具体的には「ノーマル」(舗装路)、「スノー」(雪道)、「マッド」(ぬかるみ)、「サンド」(砂地)、そしてESCを解除する「OFF」の5つのモードからなり、さまざまな状態の路面に対応するオールシーズンタイヤの力も借りて、タフな路面コンディションでも安全に走れるようアシストしてくれる。
また、プジョー2008 CROSSCITYには、内外装にもSUV的な雰囲気を強調するためにいくつかの専用装備が備わる。エクステリアでは、ボディーサイドのステッカー、黒いドアミラー、ツートンの17インチアルミホイールが、全体を精悍(せいかん)に引き締める。
インテリアに目を移すと、シートやステアリングホイールに施されたグリーンのステッチが、「アウトドアのアクティビティーを楽しむクルマ」というキャラクターを強調する。ほかにも、ボディーサイドのステッカーと合わせてコーディネートされたフロアマットや、フロントドアステップガードもこのクルマの特徴となっている。
【乗ってみると】
腰高なクルマであることを忘れさせる
見晴らしのいい運転席に座ってまず気付くのは、ステアリングホイールの径が小さいこと。筆者には「SUV=大径ステアリングホイール」という先入観があるので一瞬おやっと思うが、いざ運転をはじめると納得する。小気味よいハンドリングに、小径ステアリングホイールがしっくりくるのだ。
インテリアではもう一点、インストゥルメントパネルの中央に位置する7インチのディスプレイにも言及しておきたい。さまざまな情報がグラフィカルに表示され、指で触れることで操作するインターフェイスは、最近のスマホやタブレット端末と同じで直感的に操作できる。
1.2リッターターボエンジンは、1230kgという車重に対して十分な力を持つ。発進加速の最初のタイヤひと転がり、ふた転がりといったところから、余裕が感じられる。スペックをおさらいすると、20.9kgmという最大トルクを1500rpmという低い回転域で発生している。ドライブフィールと数値が頭の中で一致する。
回転フィールは滑らかかつ爽やか。事前にスペックの予習をしていなかったら、3気筒エンジンだとは気付かなかったかもしれない。しかも4000rpmから上では心地よく澄んだ音を発するから楽しい。このエンジンへの好印象に、新しい6段ATが黒子として寄与していることは間違いない。変速はスムーズかつ迅速で、いかにも効率的にエンジンの出力を伝えているように感じる。
乗り心地はしっかりしたもので、車高が高いからゆらゆら揺れるということはない。ロールはよくチェックされており、路面の不整を乗り越えた後の揺れもぴしっと収束する。いわゆる“ダンピングが利いた”乗り味で、高速道路でもフラットな姿勢を保つから、長距離をドライブしても疲れない。
おもしろいのはワインディングロードに入ると目線の高さを感じさせなくなることで、ロールが少なくフラットな姿勢を保つセッティングもあって、コーナーの連続を気持ちよくクリアできる。
【こんな人にオススメ】
“オン”も“オフ”もスマートにこなす
走行が許されている未舗装路を見つけて「グリップコントロール」を試したところ、多少の無理をしても車体の安定性はしっかりと保たれていた。ここから想像するに、この車両安定装置は雪道でも効果的に作動するはずだ。また後席を畳むと、フルフラットの広い荷室が現れる。フロアの下に備わる収納スペースも、荷物を積む機会が多い人にはうれしい気配りだろう。
高速道路やワインディングロードでの安定感や、ファン・トゥ・ドライブ、悪路に強い「グリップコントロール」、そして余裕のある積載能力といった性能を総合すると、このクルマはなんらかのアウトドアアクティビティーを楽しむ人に薦めたい。SUVを街中で使うのは、ダイバーズウオッチやトレッキングシューズを街で使うのと同じで、ワイルドなキャラクターを都会に持ち込むカッコよさがある。けれども、街中だけで使うのは宝の持ち腐れというか、もったいない気がするのだ。
都市部でも扱いやすいボディーサイズだし、内外装ともにしゃれたデザインだから、もちろん街乗りにもいい。キャンプ場やスキー場から、レストランやショッピングに直行するような使い方ができるのがプジョー2008 CROSSCITYの持ち味だろう。
山男だけれどおしゃれが大好きな人、釣り人だけど街のネオンも好きな人、キャンパーだけどずっと都会から離れているといろいろ立ち行かなくなってしまう人。そんな活動的で欲張りな方に、ぜひお薦めしたい。
(文=サトータケシ/写真=郡大二郎)
【クロスレビュー:森口将之】
機能性と美意識が融合している
同じフランス生まれのアウトドアブランド、AIGLE(エーグル)を思い出した。実用的かつ機能的でありながら、美意識へのこだわりを忘れないというAIGLEの姿勢は、プジョー2008に設定された特別仕様車CROSSCITYにも通じると思った。
試乗車のボディーカラーもよかったが、個人的には新色の「エメラルド・クリスタル」を薦めたい。大人のグリーンという言葉がピッタリだ。オレンジをアクセントとしたボディーサイドのステッカーや、17インチのアロイホイールやドアミラーをブラック基調としたところも含めて、フランスの粋を教えてくれる。
インテリアもモノトーンを基本としながら、シートやステアリングホイールにグリーンのステッチを、フロアマットにボディーサイドと同じオレンジ基調のストライプを入れている。さらに、センターコンソールやドアグリップはざらっとした手触りのシルバー仕上げとするなど、こちらもコダワリのカタマリだ。
もし自分がこのクラスのクロスオーバーを考えていたら、このコーディネートだけでコロッといってしまいそうだ。しかも、2008 CROSSCITYにはさらなる“一押し”がある。パワートレインだ。
これまでのプジョー2008は、1.2リッター直列3気筒エンジンにシングルクラッチ方式の5段2ペダルトランスミッションを組み合わせていた。力不足ではなかったけれど、シフトアップ時の減速感が気になることもあった。ところが2008 CROSSCITYでは、同じエンジンにターボを装着したうえで、トランスミッションをトルコン式6段ATに積み替えている。加速は余裕すら感じるし、なによりもトルコンがもたらす滑らかな加減速が心地よい。
他の2008よりオフロード性能を上げていることも好印象だ。16インチから17インチにサイズアップしたホイールにはオールシーズンタイヤを装着し、車高を15mm高めたうえに、グリップコントロールと呼ばれる5段階切り替えのオフロードモードも装備しているのだから。AIGLEを思わせるアウトドアファッションは、この性能に見合ったものだ。機能性と美意識が、絶妙に融合している。
(文=森口将之/写真=郡大二郎)
→「プジョー2008 CROSSCITY」オフィシャルサイト
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【クロスレビュー:竹岡 圭】
デイリーユースに最適な、頼れる相棒
同じ2008でありながら、従来のモデルとは中身が全然違います。今回のプジョー2008 CROSSCITYは、オンロード性能とオフロード性能の両方を高めたモデルに仕上がっていました。
まず変わったのはパワートレイン。トランスミッションにはシングルクラッチ式ATの5段ETGに代わり、208と同じく6段ATが搭載されています。エンジンも208と同じ1.2リッターターボとなっていますが、このエンジン、とても“速い”のが特徴。トルクがモリモリと盛り上がり、わずか1500rpmで20kgm超の最大トルクを発生させるので、扱いやすさは抜群といえるでしょう。またアイドリングストップ機能の採用もトピックのひとつ。オン/オフスイッチの「ECO」のロゴを見ると、真ん中の「C」の文字が矢印になっていたりするあたりが、なんともフランス車らしく、さりげなくオシャレです。
さて、2008といえば208シリーズから続く小径ステアリングホイールのコックピットも特徴となっていますが、実はこれが、私のような小柄な女性には運転がしやすい。小径ステアリングだから回しやすいし、なんといってもメーターがよく見えるのです。世の中には、適切な運転姿勢をとるとメーターが“蹴られて”しまうクルマが結構多いのですが、これならステアリングの上からキッチリと確認できます。ステアフィールも軽く、ゴチャゴチャとした街中でもとても運転しやすいクルマといえるでしょう。
ハンドリングはかなりシャープで、「クロスオーバーSUV=おっとりとした走り味」と想像している人はちょっと驚くかも。やはりコンパクトサイズということもあって、味付けはかなりキビキビとしています。乗り心地もプジョーの中ではちょっと硬め。張りの強いシートとも相まって、余計にそう感じるのかもしれません。もちろん、舗装の悪い場所を走っても「乗り心地がツライ」ということはなかったので、心配する必要はまったくなし。むしろ、普段使いを思えばちょうどいいあんばいなのでは、と好印象を持ちました。カテゴリー的にも、普段使いで重宝するこの手のサイズのワゴンは少なく、荷物の積める2008は便利な一台といえるでしょう。
最後に、今回は試すことができなかったオフロード性能についてですが、2008 CROSSCITYには路面に合わせて走行モードを選べるグリップコントロール機能が追加されています。こちらはかなりの本格派で、以前フランスで試乗した際にはこれでドロドロのぬかるみを脱出した経験があります。その機能性については、太鼓判を押しておきましょう。
(文=竹岡 圭/写真=郡大二郎)
→「プジョー2008 CROSSCITY」オフィシャルサイト
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車両データ
プジョー2008 CROSSCITY
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4160×1740×1570mm
ホイールベース:2540mm
車重:1230kg
駆動方式:FF
エンジン:1.2リッター直3 DOHC 12バルブ ターボ
トランスミッション:6AT
最高出力:110ps(81kW)/5500rpm
最大トルク:20.9kgm(205Nm)/1500rpm
タイヤ:(前)205/50R17 89V/(後)205/50R17 89V(グッドイヤー・ベクター 4シーズンズ)
燃費:17.3km/リッター(JC08モード)
価格:265万円
→「プジョー2008 CROSSCITY」オフィシャルサイト
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