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アウディRS 7スポーツバック

技術による洗練 2021.02.22 アウディテクノロジーの極み RSモデルを知る<AD> 高平 高輝 「アウディRS 7スポーツバック」は世のクルマ好きの理想を体現した一台と言えるだろう。美しいスタイリングと確かな実用性を持ち、何より踏めば恐ろしいほど速い。これらを同時に実現せしめているのは、もちろんアウディの信奉する「技術」である。

すべてを備えた色男

厚木インターから本線に合流し、ごぼう抜きに追い越し車線に躍り出るかに見えたRS 7スポーツバック(先代モデル)が、急に速度を落としてしばらく並走した。昨年末に「RS 6アバント」とともに国内導入されたばかりの新型RS 7を発見したからだろう。こちらにとっても思いがけなく先代モデルを間近で観察できた。

先代モデルでも幅広く、低く迫力満点のルックスだが、2代目にあたる新型と比べると、今となってはいささかおとなしく感じられる流麗さだ。シュッとしたイケメン、それも前髪の跳ね方だけ気にしているような優男ではなく、頭のてっぺんからつま先まで完璧なのがアウディ一族のおきてだが、新しいRS 7スポーツバックはそれに加えて恐ろしいほどに筋肉質である。

しかもそのマッチョぶりはこけおどしでもなんでもない。巨大なフロント両サイドのインテークの奥にはぎっしり詰まった、おそらくはオイルクーラーのラジエーターコアが鈍く光り、大きく膨らんだフェンダーの中にはオプションの22インチタイヤとカーボンセラミックブレーキが隙間なく収まっている。最高速305km/hのスーパークーペに見かけだけのデザインは入り込む余地がない。ちなみにスタンダードでは例によって250km/hに制限されるが、2段階のオプションに応じてトップスピードは280km/hまたは305km/hに引き上げられる。ただし、その場合はカーボンセラミックブレーキと同時に選択しなければならないという。クールでエレガントな5ドアのハッチバッククーペ(アウディ自身は4ドアクーペと称している)に見えて、その中身は「アウディRS」のトップパフォーマーである。

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2021年の2月からデリバリーが始まった新型「アウディRS 7スポーツバック」。全長5010mmにも達する伸びやかなクーペボディーが美しい。
2021年の2月からデリバリーが始まった新型「アウディRS 7スポーツバック」。全長5010mmにも達する伸びやかなクーペボディーが美しい。拡大
「RS」専用のハニカムメッシュグリルと大型のサイドインテークがフロントマスクを好戦的に飾る。レーザーハイビーム付きマトリクスLEDヘッドライトは標準装備。
「RS」専用のハニカムメッシュグリルと大型のサイドインテークがフロントマスクを好戦的に飾る。レーザーハイビーム付きマトリクスLEDヘッドライトは標準装備。拡大
ボディーの全幅はブリスターフェンダーによって「A7スポーツバック」よりも50mm拡大され、1960mmに達する。フロントフェンダーはご覧の通りの迫力だ。
ボディーの全幅はブリスターフェンダーによって「A7スポーツバック」よりも50mm拡大され、1960mmに達する。フロントフェンダーはご覧の通りの迫力だ。拡大
左右のコンビランプを結ぶライトストリップがリアを特徴づけている。「ダイナミックターンシグナルライト」(流れるウインカー)が標準装備。
左右のコンビランプを結ぶライトストリップがリアを特徴づけている。「ダイナミックターンシグナルライト」(流れるウインカー)が標準装備。拡大

美しく筋肉質

新型RS 7は基本コンポーネンツを同じくするRS 6と兄弟車の関係になるが、RS 6アバントほどこれ見よがしのド迫力ボディーに見えないのは、もともと低く幅広い「A7スポーツバック」をベースとしているからだろう。それでもA7より全幅は50mm拡大されており、ボディー外寸は全長×全幅×全高=5010×1960×1415mmとRS 6アバントよりもわずかに長く、かなり低い(全幅と2925mmのホイールベースは同一)。

フロントまわりはいかにもアグレッシブながら、ボディーサイドやテールゲートまわりのパネルの合わせ具合、さらにガラスの処理などは極めて精緻で美しく、その辺りも単なる武闘派には見えない理由に違いない。ドアとルーフ、そしてテールゲートはすべてアルミ製だというが、それでいながらこれほどシャープに高精度に成形する技術はさすがというほかない。

パワートレインはRS 6アバントと同じで、2基のターボチャージャーをVバンクの内側に詰め込んだ4リッターV8ツインターボエンジンは、ポルシェやベントレーを含めてグループ内で広く使用されているユニットだ。最高出力は600PS/6000-6250rpm、最大トルクは800N・m/2050-4500rpmで、数値では同じアウディスポーツが開発・生産を担当する「R8パフォーマンス」に一歩譲るものの、れっきとした実用性を備えた5座クーペとしてはほとんど最強である。

さらに新型RS 7スポーツバックはベースモデルと同様に48V駆動のマイルドハイブリッドシステムを備えていることも特徴だ。減速時のエネルギーを回生するだけでなく、状況に応じてアイドリングとエンジン停止を切り替えながら頻繁にコースティングするこのシステムによって100kmあたり0.8リッターの燃料低減効果があるという。加えて軽負荷時にはV8のうちの4気筒を休止させるシリンダーオンデマンドシステムも搭載されている。

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0-100km/h加速のタイムは3.6秒。試乗車はオプションによって最高速が305km/hに高められていた。
0-100km/h加速のタイムは3.6秒。試乗車はオプションによって最高速が305km/hに高められていた。拡大
搭載される4リッターV8ツインターボエンジンは最高出力600PS、最大トルク800N・mを発生。48Vマイルドハイブリッドや気筒休止機構の採用により、パフォーマンスだけでなく環境性能も追求している。
搭載される4リッターV8ツインターボエンジンは最高出力600PS、最大トルク800N・mを発生。48Vマイルドハイブリッドや気筒休止機構の採用により、パフォーマンスだけでなく環境性能も追求している。拡大
試乗車はオプションの22インチタイヤ&ホイールを装着していた。305km/hまでの速度リミッター引き上げに必須だけあって、セラミックブレーキのローター径はフロント(写真)が440mm、リアが370mmにも達する。
試乗車はオプションの22インチタイヤ&ホイールを装着していた。305km/hまでの速度リミッター引き上げに必須だけあって、セラミックブレーキのローター径はフロント(写真)が440mm、リアが370mmにも達する。拡大
可変ステアリングギアレシオと後輪操舵を組み合わせた「ダイナミックオールホイールステアリング」を標準装備。高速走行時のスタビリティーが高められているほか、最小回転半径5.2mという扱いやすさも備わっている。
可変ステアリングギアレシオと後輪操舵を組み合わせた「ダイナミックオールホイールステアリング」を標準装備。高速走行時のスタビリティーが高められているほか、最小回転半径5.2mという扱いやすさも備わっている。拡大

はっきり硬派な足まわり

RS 7はもちろん4WD=クワトロだが、そのシステムは最近アウディが縦置きエンジンモデルにも導入している電子制御カップリングに加えてプロペラシャフトの前端に後ろの駆動系を切り離せるAWDクラッチを備えるタイプではなく、メカニカルに結ばれている“本格派”である。電子制御クラッチ式はだいたい500N・mまでのモデルに採用されるが、トルクがさらに強大なクルマには8段ティプトロニックと、トルセンデフの進化型であるセルフロッキングセンターデフが備わる。通常時は前後40:60で、状況に応じて最大70:30~15:85まで可変駆動力配分となるが、日本仕様には標準で4WSのダイナミックオールホイールコントロールとリアスポーツディファレンシャルも装備される。

というわけで車重は2140kgにおよぶが(それでもカーボンセラミックブレーキのおかげで-30kg)、アウディの例にもれず街なかから高速道路まで一貫して静かに滑らかに走るおかげで、それほどのヘビー級には感じられない。当然山道でも巨体を持て余す感覚はないのだが、ただし、このクルマははっきりと硬派である。

RS 7はスプリングレートも可変制御のアダプティブエアサスペンションが標準装備だが、試乗車はオプションのDRC(ダイナミックライドコントロール)付きRSスポーツサスペンションプラス(コイルばね)を装備していた。DRCは対角線上のホイールのダンパーを油圧回路で結び、ロールやピッチングを制御するもの。若い方は知らないかもしれないが、元はといえばヤマハが開発した「X‐REAS」で初代RS 6に採用されたシステムだ。他メーカーでも採用したものの最近は耳にしないが、アウディはこの機構にこだわって開発を続けているというわけだ。

ガシガシと路面を踏みつけていくようなソリッドでダイレクトな足まわりは、昔ながらのドイツ製高性能車好きやダイハードなスポーツドライバーには歓迎されるかもしれないが、良路では問題なくフラットで滑らかながら、段差ではダンッと明確なショックを伝えるし、うねりのある山道を飛ばすと意外なほど跳ねる場合もあるのでその点は覚悟しておく必要がある。日本の道では使いどころを選ぶ男らしいサスペンションである。

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試乗車にはオプションの「DRC付きRSスポーツサスペンションプラス」が装着されていた。ノーマルのエアサスと比べると、よりドイツのハイパフォーマンスモデルらしいソリッドな味つけだ。
試乗車にはオプションの「DRC付きRSスポーツサスペンションプラス」が装着されていた。ノーマルのエアサスと比べると、よりドイツのハイパフォーマンスモデルらしいソリッドな味つけだ。拡大
ダッシュボードはいつものアウディらしい上質かつモダンな仕立て。上下2段式のセンターディスプレイによって各種機能を直感的に操作できる。
ダッシュボードはいつものアウディらしい上質かつモダンな仕立て。上下2段式のセンターディスプレイによって各種機能を直感的に操作できる。拡大
バルコナレザーのSレザーシートが標準装備。背もたれには「RS」ロゴのエンボス加工が施される。
バルコナレザーのSレザーシートが標準装備。背もたれには「RS」ロゴのエンボス加工が施される。拡大
後席には足元にも頭上にもクーペとは思えないほどのスペースが確保されている。新型では乗車定員が5人になった(先代は4人乗り)。
後席には足元にも頭上にもクーペとは思えないほどのスペースが確保されている。新型では乗車定員が5人になった(先代は4人乗り)。拡大
荷室の容量は535~1390リッター。横幅は1050mmが確保されており、ゴルフバッグを横向きに2つ積める。
荷室の容量は535~1390リッター。横幅は1050mmが確保されており、ゴルフバッグを横向きに2つ積める。拡大

技術のほかに神はなし

インターフェイスやADASに関しては最新のアウディ同様、徹頭徹尾クールで精密で非の打ち所がない。とりわけ緻密で上質かつモダンなインテリアの仕立てはライバルメーカーもベンチマークと認めるところである。もっとも、私のような昭和世代にとってのアウディは、スーパーエリート的な洗練度よりも技術の力で問題をねじ伏せてゆく闘士のイメージに近い。

何しろ、あの有名なブランドスローガン「Vorsprung durch Technik」(日本語では「技術による先進」)が染み込んでいるのである。これは初代「アウディ80」が発売される前からもう半世紀もの間、一貫して使われている。あのメルセデス・ベンツでさえ一時は「最善か無か」の社是を取り下げたというのに、である。

かつて、グループBの「スポーツクワトロ ラリーカー」で開発されていたアンチラグシステム付きターボや2ペダルギアボックス、可変駆動力制御やテレメトリーなどの技術は、世紀を越えて洗練され、現代のアウディに実用化されている。上品なスタイルの奥にどう猛な闘争心を秘め、高度なテクノロジーのよろいによって武装した戦士というのがアウディの真の姿ではないかと思う。社是に堂々と「技術」を掲げるブランドは今やアウディだけなのである。

(文=高平高輝/写真=荒川正幸)

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ステアリングスポークには「RS」ボタンを装備。あらかじめ設定しておいたドライブトレインやサスペンションの好みのセッティングを「RS1」「RS2」として呼び出せる。
ステアリングスポークには「RS」ボタンを装備。あらかじめ設定しておいたドライブトレインやサスペンションの好みのセッティングを「RS1」「RS2」として呼び出せる。拡大
「RS1」「RS2」のセッティングはドライブモード選択画面で編集できる。
「RS1」「RS2」のセッティングはドライブモード選択画面で編集できる。拡大
エンジンオイルや冷却水に加えて、センタースクリーンを介してデフオイルとATフルード、ブレーキローターの温度も管理できるようになっている。
エンジンオイルや冷却水に加えて、センタースクリーンを介してデフオイルとATフルード、ブレーキローターの温度も管理できるようになっている。拡大

車両データ

アウディRS 7スポーツバック

ボディーサイズ:全長×全幅×全高=5010×1960×1415mm
ホイールベース:2925mm
車重:2140kg
駆動方式:4WD
エンジン:4リッターV8 DOHC 32バルブ ツインターボ
トランスミッション:8段AT
最高出力:600PS(441kW)/6000-6250rpm
最大トルク:800N・m(81.6kgf・m)/2050-4500rpm
タイヤ:(前)285/30ZR22 101Y/(後)285/30ZR22 101Y(ピレリPゼロ)
燃費:7.6km/リッター(WLTCモード)
価格:1799万円

アウディRS 7スポーツバック
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