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ルノー・ルーテシアE-TECHハイブリッドを知る 試す

欲張りなフランス人のメソッド 2022.07.22 三つの顔をもつクルマ RENAULT LUTECIA E-TECH HYBRID<AD> 見ても乗っても楽しいフレンチコンパクトが、高効率なハイブリッドシステムを手に入れた! F1由来の電動パワートレインを搭載する「ルノー・ルーテシアE-TECHハイブリッド」の走りを、市街地からワインディングロードまで、さまざまなシーンで確かめた。

ラグビーの日本代表を思い出す

2020年の暮れに、フルモデルチェンジを受けたばかりのルノー・ルーテシアで東京~京都を日帰りで往復したことがある。その時に感銘を受けたのが、滑らかな乗り心地だ。市街地では路面の凹凸をしなやかに受け流し、速度が上がると4本の足がサバンナを疾走する野生動物のように自在に伸び縮みして、フラットな姿勢を保つ。

ルーテシアの基本骨格は、ルノーと日産、三菱のアライアンスで開発した「CMF-Bプラットフォーム」。あの時、ハンドルを握る筆者の頭のなかには、さまざまな国籍の人がプレーするラグビーの日本代表チームが浮かんだ。なんのこっちゃ? と思われるかもしれないけれど、国籍や肌の色や考え方が異なる人がワンチームになってよい結果を残すあたりが、いまの時代っぽいと思ったのだ。いや、昔も「三人寄れば文殊の知恵」と言ったのか。

乗り心地のよさに加えて、室内の静粛性の高さやパワートレインの洗練度合いもコンパクトカーらしからぬレベルの高さで、このクルマは小さな巨人ならぬ、小さなグランドツアラーであるという結論に達した。この小さなGTにハイブリッド仕様が追加されると聞いて、どんな仕上がりになっているのか、試乗前から楽しみだった。

ちなみに、マイルドハイブリッドやプラグインハイブリッド車(PHEV)を除いた、いわゆるフルハイブリッド車をラインナップする輸入車ブランドは、このルーテシアE-TECHハイブリッドと、同じハイブリッドシステムを積む「アルカナ」を擁するルノーだけ。「PHEVのほうが先進的ではないか?」という声もありましょう。けれども、あれは大容量のリチウムイオン電池を積んだり仕組みが複雑になったりで、かなり高価。現時点では、フルハイブリッドとは別のカテゴリーだと認識するのが妥当だろう。

→「ルノー・ルーテシアE-TECHハイブリッド」の詳しい情報はこちら

2022年6月に日本に導入された「ルノー・ルーテシアE-TECHハイブリッド」。ルノー独自のハイブリッドシステムを搭載した、ルーテシアの電動モデルだ。
2022年6月に日本に導入された「ルノー・ルーテシアE-TECHハイブリッド」。ルノー独自のハイブリッドシステムを搭載した、ルーテシアの電動モデルだ。拡大
インテリアでは視覚的にも触覚的にも質感の高さを追求。ダッシュボードやドアパネルはもちろん、センターコンソールのサイドにもソフト素材を用いている。
インテリアでは視覚的にも触覚的にも質感の高さを追求。ダッシュボードやドアパネルはもちろん、センターコンソールのサイドにもソフト素材を用いている。拡大
7インチのデジタルインストゥルメントパネル(液晶メーター)には、エネルギーフローメーターなど「E-TECHハイブリッド」専用の表示を採用している。
7インチのデジタルインストゥルメントパネル(液晶メーター)には、エネルギーフローメーターなど「E-TECHハイブリッド」専用の表示を採用している。拡大
さまざまな種類の電動車がリリースされている今日だが、日本でこのようなフルハイブリッド車をラインナップしている輸入車ブランドは、ルノーだけだ。
さまざまな種類の電動車がリリースされている今日だが、日本でこのようなフルハイブリッド車をラインナップしている輸入車ブランドは、ルノーだけだ。拡大

発進加速に感じる電動モーターのアドバンテージ

久しぶりに対面したルノー・ルーテシアは、相変わらずコンパクトではあるけれど、周囲に埋もれない、強い存在感を放っていた。陰影に富んだ彫りの深いデザインがそう感じさせるのだろう。

パッと見、エクステリアは純ガソリンエンジン仕様と変わらない。間違い探しをするように念入りにチェックすると、テールゲートの隅っこに「E-TECH HYBRID」のエンブレムが控えめに貼られていることに気づく程度。センタークラスターがドライバー方向に傾けられている運転席からの眺めも、エンジン仕様と同じだ。けれども、システムを起動してスタートすると、エンジン仕様とはまるで違うことを思い知らされる。

Dレンジに入れ、ブレーキペダルをリリース。クリープ状態からアクセルペダルに軽く力を込めると、ルーテシアE-TECHハイブリッドは音もなく、滑るように発進した。このクルマの発進加速は100%、必ずEV走行となるのだ。

この発進加速は、滑らかなうえに力強くて実に爽快だ。スペックを確認すると、駆動をつかさどる「Eモーター」(メインモーター)は、200rpmという極低回転域から、205N・mの最大トルクを発生している。ガソリンエンジン仕様の1.3リッター直4ターボは240N・mの最大トルクを発生するけれど、それはエンジン回転が1600rpmに高まってから。電流が流れた瞬間にバチッと最大の力を発揮できるモーターの特徴が、E-TECHハイブリッドでは最大限に生かされている。

このまま加速を続けると、だいたい40km/hを超えたあたりからエンジンが始動する。けれども「シュン」とか「ボン」とか、音や振動が発生することはない。メーターパネルに表示されるエネルギーフローのグラフィックを注意深くチェックしていないと、エンジン始動には気づかない。それくらい洗練されている。

ハイブリッド車のなかには、モーター走行中は静かなのにエンジン始動時のノイズやバイブレーションで興ざめになってしまうものもあるけれど、このクルマはそうした無粋なふるまいとは無縁だ。

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流れるようなフォルムがスポーティーな走りを感じさせる「ルーテシア」のデザイン。フロントバンパーの両端にエアディフレクターを設けるなど、空力にも配慮している。
流れるようなフォルムがスポーティーな走りを感じさせる「ルーテシア」のデザイン。フロントバンパーの両端にエアディフレクターを設けるなど、空力にも配慮している。拡大
内外装における純ガソリン車との差異化は控えめ。リアゲートの専用バッジでそれと分かる程度だ。
内外装における純ガソリン車との差異化は控えめ。リアゲートの専用バッジでそれと分かる程度だ。拡大
細かいところでは、他グレードでは販売店オプションとなるシャークアンテナが標準装備される点も、外装におけるこのクルマの特徴だ。
細かいところでは、他グレードでは販売店オプションとなるシャークアンテナが標準装備される点も、外装におけるこのクルマの特徴だ。拡大
パワートレインの作動状態を示すアニメーション。「E-TECHハイブリッド」は、スタート時は常にモーター駆動で走行する。
パワートレインの作動状態を示すアニメーション。「E-TECHハイブリッド」は、スタート時は常にモーター駆動で走行する。拡大
発進加速の力強さやスムーズさはハイブリッド車ならでは。エンジン始動時の騒音やショックは少なく、非常に洗練されている。
発進加速の力強さやスムーズさはハイブリッド車ならでは。エンジン始動時の騒音やショックは少なく、非常に洗練されている。拡大

シンプルで高効率な賢いハイブリッド

市街地から混雑した首都高速ぐらいの速度域では、「モーター走行」と「モーター+エンジン走行」がかなり頻繁に、けれどもシームレスに切り替わる。滑らかさとともに、アクセル操作に対するレスポンスのよさも気持ちがいい。「この速度で、このアクセルの踏み方だったら、モーターとエンジンをどれくらい働かせればいいか」を瞬時に計算しているようで、しかもその計算がどんぴしゃりと正確だ。小学生の頃に通ったそろばん教室で暗算チャンピオンだったヨシオカ君を思い出す。燃費とファン・トゥ・ドライブのどちらをとるか、という二者択一ではなく、どちらも追求しているあたりが、ヨーロッパ生まれのハイブリッドシステムだと実感する。このレスポンスのよさと滑らかさを両立していることは、ちょっとした驚きだ。

ここで簡単にE-TECHハイブリッドの仕組みを説明すると、1.6リッター直4エンジンと、Eモーター、そしてスターターと発電機の役割を兼ねた「HSG(ハイボルテージスターター&ジェネレーター)」と呼ばれるサブモーターでシステムは構成される。

一般的には、エンジンとEモーターの間にクラッチを配置して、モーターだけで走る時にはエンジンを切り離す。けれどもE-TECHハイブリッドでは、ここに軽量コンパクトなドッグクラッチを置いた。ドッグクラッチとは、犬の歯のような歯車がガチっとかみ合って動力を伝達するもの。シンプルではあるけれどショックが出やすいので、レーシングマシンには使われても、市販車に使うケースは少なかった。ここでショックをなくすために、普通だったら回転を同調させるシンクロナイザーを付け加えるはずだ。けれどもE-TECHハイブリッドの場合、HSGを使ってエンジン回転を合わせていて、そこに頭のよさを感じる。エスプリだ。

シンプルな構造のドッグクラッチを用いることと、シンクロナイザーを使わないことで、コンパクトカーのボンネットにも収まるE-TECHハイブリッドが完成した。

ちなみにルノーのエンジニアは、ご子息がLEGOの歯車のブロックで遊んでいるところを見てこの仕組みをひらめき、自分でもブロックで組み立てて、それを開発スタッフに見せたという。なんて自由で開かれた職場なんでしょう……。

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「E-TECHハイブリッド」は1.6リッターエンジンと、メインとサブの2つのモーター、それらをつなぐ2系統の変速機およびドッグクラッチで構成される。
「E-TECHハイブリッド」は1.6リッターエンジンと、メインとサブの2つのモーター、それらをつなぐ2系統の変速機およびドッグクラッチで構成される。拡大
ドッグクラッチの採用はユニットの小型軽量化に寄与。一般的なクラッチやシンクロナイザーを省くことで、Bセグメントコンパクトのエンジンルームに収まるハイブリッドシステムを実現した。
ドッグクラッチの採用はユニットの小型軽量化に寄与。一般的なクラッチやシンクロナイザーを省くことで、Bセグメントコンパクトのエンジンルームに収まるハイブリッドシステムを実現した。拡大
シフトセレクターはシンプルで操作の分かりやすい、ストレートゲートのレバー式。「B」レンジに入れると減速時の回生ブレーキの利きが強まる。
シフトセレクターはシンプルで操作の分かりやすい、ストレートゲートのレバー式。「B」レンジに入れると減速時の回生ブレーキの利きが強まる。拡大
足もとの仕様は純ガソリン車と共通。タイヤサイズは205/45R17で、試乗車にはグリップ性能にも優れるコンチネンタルのエコタイヤ「エココンタクト6」が装着されていた。
足もとの仕様は純ガソリン車と共通。タイヤサイズは205/45R17で、試乗車にはグリップ性能にも優れるコンチネンタルのエコタイヤ「エココンタクト6」が装着されていた。拡大
街なかでも小気味よい走りを楽しめる、軽快な身のこなしこそフレンチコンパクトの身上。その魅力はハイブリッド化された「ルーテシア」でも損なわれていない。
街なかでも小気味よい走りを楽しめる、軽快な身のこなしこそフレンチコンパクトの身上。その魅力はハイブリッド化された「ルーテシア」でも損なわれていない。拡大

どこまでも走っていける

大昔からのクルマ好きの見果てぬ夢のひとつに、「小さな高級車」というものがある。これが難しい理由のひとつに、小さなクルマはボンネットも狭いから、パワーに余裕のある大排気量エンジンを積めないということがあった。静かで滑らか、そして十分以上の力を発揮するE-TECHハイブリッドによって、この夢が現実のものとなった。

さらに、ルノーがF1のハイブリッドシステムで培った経験とテクノロジーで制御することで、走って楽しいという、独自のキャラクターも付与されている。

高速道路に入ってさらに速度を上げると、今度はエンジン主体の走行となる。エンジンは効率のいい回転域で、一定の回転数で回してあげれば実に効率的に働くのだ。一方で、追い越しや合流などのタイミングでパンチのある加速が必要になると、今度はモーターが電気ターボのような役割をして加速をアシストする。この時のパワートレインのシューンという伸び感が心地よい。高い速度域になるほど生き生きとするあたりも、ヨーロッパのハイブリッドだと感じる。

冒頭でルーテシアを「小さなGT」と記したけれど、その特徴はE-TECHハイブリッドでも変わらない。生き物のように4本の足が動いて、路面からの衝撃を緩和してくれる。タイヤがどのように路面と接しているかを、きめ細かに伝えてくれるハンドルの手応え。がっちりとしたボディー剛性の高さ。そしてタイヤのノイズも風切り音も上手に遮断する、優れた静粛性。さらには、前を走る車両と適切な距離を保って追従する機能や、走行車線内の中央を走るようにアシストする先進的な運転支援装置も備わっていて、どこまでも走っていけそうな気がする。

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高速走行はエンジンが主体で、必要に応じてモーターが駆動をアシスト。高効率かつ力強い走りを実現している。
高速走行はエンジンが主体で、必要に応じてモーターが駆動をアシスト。高効率かつ力強い走りを実現している。拡大
シート表皮はファブリックと合皮の組み合わせが標準だが、オプションで運転席・助手席ヒーター付きのレザーシートも用意される。
シート表皮はファブリックと合皮の組み合わせが標準だが、オプションで運転席・助手席ヒーター付きのレザーシートも用意される。拡大
ラゲッジスペースの容量は300リッター。床下に駆動用バッテリーを積むため、純ガソリン車よりはやや減少しているが、それでもBセグメントコンパクトとしては十分なスペースを確保している。
ラゲッジスペースの容量は300リッター。床下に駆動用バッテリーを積むため、純ガソリン車よりはやや減少しているが、それでもBセグメントコンパクトとしては十分なスペースを確保している。拡大
運転支援システムには、アダプティブクルーズコントロールなどに加えてレーンキープアシストも標準装備。快適なロングツーリングをサポートしてくれる。
運転支援システムには、アダプティブクルーズコントロールなどに加えてレーンキープアシストも標準装備。快適なロングツーリングをサポートしてくれる。拡大

スポーティーにも、優雅にも

ワインディングロードに入ったら、タッチパネルを操作して「スポーツ」モードを選びたい。するとエンジンは常時稼働するようになり、アクセル操作に対するレスポンスは一段と鋭くなる。このあたりにもF1の制御技術が生かされているように感じる。

コーナーでは、キュキュッと曲がるのではなく、外側のサスペンションをしなやかに沈み込ませながら優雅に曲がる、いかにもルノーらしいフォームを満喫できる。そしてコーナーからの脱出では、エンジンとモーターのコラボによる滑らかで力強い加速感を味わえる。ギンギンにエンジンを回すかつての高性能車とは異なる、新しい加速感だ。

野太い排気音を発しながら熱い走りを披露する高性能ハッチバック車をホットハッチと呼んだけれど、いかにも賢そうなこのクルマはクールハッチと呼びたくなる。小さなGT、小さな高級車、そしてクールハッチと、ルーテシアE-TECHハイブリッドは、「二つの顔をもつ男」ならぬ、「三つの顔をもつクルマ」だった。

(文=サトータケシ/写真=郡大二郎/撮影協力:河口湖ステラシアター)

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しなやかに動くサスペンションや正確なハンドリングは「ルーテシア」のラインナップに共通する美点。ワインディングロードでも走りを楽しめる。
しなやかに動くサスペンションや正確なハンドリングは「ルーテシア」のラインナップに共通する美点。ワインディングロードでも走りを楽しめる。拡大
ダッシュボード中央に備わる「マルチメディアEASY LINK」のタッチパネル。Apple CarPlayやAndroid Autoといった、携帯端末との連携機能も搭載されている。
ダッシュボード中央に備わる「マルチメディアEASY LINK」のタッチパネル。Apple CarPlayやAndroid Autoといった、携帯端末との連携機能も搭載されている。拡大
今回は市街地、高速道路、ワインディングロードとさまざまなシーンを走行。350kmほどの距離を走り、燃費は車載計計測値で4.5リッター/100km(約22.2km/リッター)となった。
今回は市街地、高速道路、ワインディングロードとさまざまなシーンを走行。350kmほどの距離を走り、燃費は車載計計測値で4.5リッター/100km(約22.2km/リッター)となった。拡大

車両データ

ルノー・ルーテシアE-TECHハイブリッド

ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4075×1725×1470mm
ホイールベース:2585mm
車重:1310kg
駆動方式:FF
エンジン:1.6リッター直4 DOHC 16バルブ
モーター:交流同期電動機
トランスミッション:電子制御ドッグクラッチマルチモードAT(エンジン用4段AT+モーター用2段AT)
エンジン最高出力:91PS(67kW)/5600rpm
エンジン最大トルク:144N・m(14.7kgf・m)/3200rpm
メインモーター最高出力:49PS(36kW)/1677-6000rpm
メインモーター最大トルク:205N・m(20.9kgf・m)/200-1677rpm
サブモーター最高出力:20PS(15kW)/2865-1万rpm
サブモーター最大トルク:50N・m(5.1kgf・m)/200-2865rpm
タイヤ:(前)205/45R17 88H XL/(後)205/45R17 88H XL(コンチネンタル・エココンタクト6)
燃費:25.2km/リッター(WLTCモード)
価格:329万円

ルノー・ルーテシアE-TECHハイブリッド
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