クルマの長所を最大限に引き出す 「クムホ・エクスタHS52」を試す
あなたのための名脇役 2024.08.19 クムホが提案する新しいパフォーマンスタイヤ<AD> 誰でもタイヤ選びには頭を悩ませるものだが、「走り」と「快適性」のどちらも高いレベルでバランスした製品があるとすれば、ひとつの正解になるはずだ。クムホの最新タイヤ「ECSTA(エクスタ)HS52」の実力を「マツダ・ロードスター」で検証した。欧州で存在感を増すKUMHO TIRE
コロナ禍で途絶えていたヨーロッパでの取材を再開すると、クルマを取り巻く景色が以前とは少しずつ変化していることに気づく。例えば街を走る電気自動車が増え、ガソリンスタンドを改築した充電施設を頻繁に目にするようになった。
日本ではまだあまり感じないけれど、韓国製タイヤが存在感を増していることも変化のひとつ。特にフォルクスワーゲンやルノーの主力モデルにOEM採用されているクムホを目にする機会が増えている。
タイヤを見かけるようになっただけではない。ACミランやトッテナム、直近では長谷部誠氏が所属するフランクフルトといった欧州サッカー界のビッグクラブとスポンサー契約やパートナーシップ契約を結んでいることから、さまざまなメディアで「KUMHO TIRE」のロゴを目にするようにもなった。
では、クムホのタイヤを実際に使ってみるとどうなのか? クムホの最新タイヤの実力を知る、という趣旨で、今回の取材を企画した。選んだ銘柄は「ハイバランスタイヤ」をうたうエクスタHS52。このタイヤは、ドイツの有力自動車専門誌『Auto Bild』誌のタイヤテストで総合1位を獲得した「エクスタHS51」の後継モデル。ちなみにこのテストでは、「ウエット&ドライ条件で卓越したグリップ力と正確なハンドリング、そして短い制動距離をベースに、最高の走行性能と最大の安定性を提供する」と、高く評価されている。
きちんと抑制された2つのノイズ
タイヤそのものの実力を知るために、試乗車には後輪駆動でコンベンショナルなコイルスプリングの足まわりを備える「マツダ・ロードスターRS」を選んだ。タイヤのパフォーマンスが、よりダイレクトにドライバーに伝わることを期待してのチョイスで、ロードスターRSにエクスタHS52を履かせた。サイズはオリジナルに忠実に、195/50R16。エクスタHS52は、タイヤ幅が195以上だと5リブのパターンとなり、185以下だと4リブになるので、装着タイヤは5リブとなる。
市街地を走りだしての第一印象は、軽快に気持ちよく走る、というもの。ロードスターはもともと乗り心地のよいクルマで、「スポーツカーとしては」というエクスキューズ抜きに快適な乗り心地を提供する。そこに、真ん丸いタイヤがスムーズに回転している、という心地よさが加わった。ファーストインプレッションは上々だ。
首都高速に上がって、どんなクルマにとっても鬼門となる路面のつなぎ目に遭遇しても、タン、タンと軽やかに乗り越える。エクスタHS52は、通常ならとがった形状となるタイヤのエッジ部分に丸みを持たせるために面取りをしている。この“ひと手間”によってブロックの振動を抑えているとのことで、これが雑みのない回転フィールにつながっている。タウンスピードで感じたスムーズさも、この「3Dショルダーブロック」の効果だと思われ、低速域から高速巡航まで、すっきりとしたフィーリングを味わわせてくれる。
驚いたのは静粛性の高さで、幌(ほろ)を閉じていても室内に音がこもることはないし、幌を開けてもタイヤの音が気にならない。タイヤから発生する音には2種類あって、ひとつは「ゴー」という低い振動音で、ロードノイズと呼ばれる。もうひとつは「シャー」という高周波のパターンノイズで、これは圧縮された溝の中の空気がタイヤの回転とともに排出されることによって生まれる。
幌を閉じた状態ではロードノイズを、開けた状態ではパターンノイズを確認できたが、いずれも非常に低いレベルだ。乗り心地や走行フィールだけでなく、2種類のタイヤノイズを聞き分けることができたことからも、ロードスターを選んだことは正解だった(と、自画自賛)。
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「しっかり」かつ「しなやか」
興味深いのは、高速道路をのんびりクルーズしているときにはコンフォート重視のタイヤだと感じるのに、加速しながら操舵して本線へ合流するような場面では、キリッとした手応えを感じることだ。ただし操舵に対するレスポンスが過敏というわけではなく、ごく自然な反応を見せる。このとき、路面のコンディションや、タイヤと地面がどのように接しているかを伝えるステアリングフィールがしっかりしていることが、安心感につながる。スポーツカーに限らず、手のひらでクルマの状態を把握できるステアリングフィールはとても大事だ。
ワインディングロードに入ると、操舵にブレーキングという動作が加わるようになる。果たして、ブレーキング時の剛性感は、まさにスポーツタイヤと呼ぶにふさわしいものだった。そもそもマツダ・ロードスターは、前につんのめるように止まるのではなく、車体全体が水平に沈み込むように美しい姿勢で速度を落とすクルマだ。エクスタHS52は、4輪にかかる重圧をしっかりと受け止めて安定感を保ちつつ、しなやかにたわんで減速する。
「しっかり」と「しなやか」のバランスが絶妙で、クムホの説明によれば、これはブロック同士が互いに支え合うことで剛性を確保する、「3Dインターロッキングサイプ」という技術のたまものだという。
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クルマとドライバーを引き立ててくれる
ワインディングロードではステアリングフィールの繊細さがさらに光り、コーナーからの脱出時に後輪にパワーをかけると、「まだ大丈夫」とか、「ここから先はちょっと慎重に」という情報がくっきりと伝わってくる。高性能ハイグリップタイヤにありがちな、「タイヤにお任せ」的なドライビングスタイルにはならず、自分で操縦しているという実感を得ながら、ワインディングロードでのスポーツドライビングを堪能できる。快適性と静かさ、そしてこのパフォーマンスを体感すると、クムホが「ハイバランスタイヤ」をアピールするのにも納得できる。
総じて、圧倒的なグリップ力をウリにするタイヤではない。タイヤが「俺が、俺が」と主張するのではなく、クルマやドライバーを主役にしてくれるタイヤだ。パフォーマンスを前面に出すのではなく、一歩引いてクルマの長所を引き出すタイヤ、と言い換えてもいい。タイムや順位を狙うのではなく、クルマやドライブフィールをめでるのに最適なタイヤだと感じる。
クムホ製タイヤのいくつかの銘柄は、日本グッドデザイン賞やIDEAデザイン賞を受賞しているけれど、所有する喜びを感じさせてくれるデザインも含めて、エクスタHS52は全方位的にバランスに優れているタイヤだった。ヨーロッパで高く評価されているのには、きちんとした理由があるのだ。
(文=サトータケシ/写真=郡大二郎)