1.等級はどう決まる?

自動車保険の等級は、自動車事故に対するリスクの度合いを1等級から20等級(保険会社によっては22等級)に区分けし、契約者をあてはめます。
リスクの度合いが低い、つまり“安全な契約者”ほど等級の数字は上がりますが、一般的に、初めて自動車保険を契約したスタート時の等級は、1等級ではなく、6等級(後述の「セカンドカー割引」では7等級)となります。その後、契約から1年間、無事故あるいは事故を起こしても保険を使わなかった場合は、翌年度の契約の等級が1等級アップし、それに伴い保険料の割引率も上がります。つまり、保険料が安くなるのです。
逆に、交通事故を起こし自動車保険を使って賠償した場合には、翌年契約時の等級は下がり、保険料は高くなります。
2.等級で保険料はどう変わる?
6等級から契約スタートした自動車保険は、交通事故で自動車保険を使うことなく契約期間を満了すれば(一般的に、自動車保険の保険適用期間は1年間)、翌年は7等級の保険料で契約できるようになります。
以後同様に、等級は毎年1等級ずつ上がっていき、仮にそのまま自動車保険を使わなければ、14年後の等級は最高の20等級に。保険会社により金額に違いはあるものの、割引率は最大となる63%に達します。
無事故 係数の割増引率 |
事故有 係数の割増引率 |
|
20等級 | 63% 割引 | 51% 割引 |
19等級 | 57% 割引 | 50% 割引 |
18等級 | 56% 割引 | 46% 割引 |
17等級 | 55% 割引 | 44% 割引 |
16等級 | 54% 割引 | 32% 割引 |
15等級 | 53% 割引 | 28% 割引 |
14等級 | 52% 割引 | 25% 割引 |
13等級 | 51% 割引 | 24% 割引 |
12等級 | 50% 割引 | 22% 割引 |
11等級 | 48% 割引 | 20% 割引 |
10等級 | 46% 割引 | 19% 割引 |
9等級 | 44% 割引 | 18% 割引 |
8等級 | 38% 割引 | 15% 割引 |
7等級 | 27% 割引 | 14% 割引 |
6等級 | 13% 割引 | |
5等級 | 2% 割引 | |
4等級 | 7% 割増 | |
3等級 | 38% 割増 | |
2等級 | 63% 割増 | |
1等級 | 108% 割増 |
3.自分は何等級なのかを把握する
いずれの保険会社も、日本損害保険協会を介して、契約者に適用されている等級などの情報を共有しています。この仕組みにより、契約者は等級を維持したまま保険会社を乗り換えることができます(後述)。あわせて、これには自動車保険契約者の等級情報に関する虚偽申請を防止する、という役割もあります。
この情報に基づき、契約者はいつでも自らの等級を確認・把握することが可能です。情報の元となるのは保険証券ですが、現在では印刷物(書面)のほか、デジタル化されたデータとして用意されるケースが多くなっています。
なお、自動車保険を解約したあとでも、満期日から数えて13カ月の間は(※解約から13カ月ではない)、契約の情報が記録されます。
4.事故で保険を使ったら等級はどう変わる?
4-1.自動車保険の適用で翌年の保険料は高くなる
自動車保険は交通事故への備えですが、万が一事故が発生し契約している保険から保険料を支払った場合、翌年契約する際の等級は3等級下がります。割引にかかわる係数は「無事故係数」から「事故有係数」へと変わり、自動車保険への加入を続ける場合は契約料が高くなります。
4-2.等級が同じでも“事故有”と“無事故”では保険料の割引率が異なる
同じ等級でも、自動車保険を使ったかどうかにより保険料は変わります。例えば、自動車保険を使い級数を下げた結果としての“事故有係数が適用されている”8等級(15%割引)と、6等級から上がってきた“無事故係数が適用された”8等級(38%割引)とでは保険料が異なり、後者のほうが安くなるのです。この点については、どの保険会社でも変わらず、差額は一般的に1~3割程度となっています。
無事故 係数の割増引率 |
事故有 係数の割増引率 |
|
8等級 | 38% 割引 | 15% 割引 |
4-3.事故は内容・程度により3つに分類される
自動車保険においては、交通事故は「3等級ダウン事故」「1等級ダウン事故」「ノーカウント事故」の3種類に分類されます。
交通事故の 種類 |
交通事故の 主な内容 |
翌年の等級 | 事故有係数 適用期間 |
3等級ダウン事故 | ・他人を死傷させた ・他人の車やモノを壊した ・自分の車を壊した…など |
事故1件につき3等級下がる | 3年 |
1等級ダウン事故 | ・盗難、落書き、飛び石による車の破損 | 事故1件につき1等級下がる | 1年 |
ノーカウント事故 | ・自分や家族のケガ | 等級への影響なし | なし |
3等級ダウン事故とは?
3等級ダウン事故は、相手方が死亡またはけがを負わせてしまい対人賠償保険が支払われる事故や、クルマやモノに損傷を与えたために対物賠償保険が支払われる事故を示します。例えば、10等級(無事故/46%割引)の契約者が3等級ダウン事故を起こすと、翌年度は7等級(事故有/14%割引)となるわけです。交通事故で自動車保険が適用となる場合、多くはこの3等級ダウン事故として扱われます。
無事故 係数の割増引率 |
事故有 係数の割増引率 |
|
7等級 | 27% 割引 | 14% 割引 |
10等級 | 46% 割引 | 19% 割引 |
1等級ダウン事故とは?
1等級ダウン事故は、その名のとおり、事故1件に対して1等級下がる事故。所有車両が盗難やいたずらなどの被害を受けて車両保険が支払われるなど、被害者となる相手方のいない事故が主なケースです。
ノーカウント事故とは?
ノーカウント事故は、保険を使っても事故にカウントされない事故のこと。等級が下がることもありません。具体的には、「契約者の家族が自動車事故でけがを負い、人身傷害保険金が支払われる場合」や「もらい事故で弁護士等補償特約を利用した場合」、「自転車で対人事故を起こし、個人賠償補償特約を利用した場合」などがあてはまります。
5.等級そのものを引き継ぐ・キープする
5-1.上がった等級は「中断証明書」で維持
所有車両を手放したり、クルマを全く運転しなくなったりした場合は、保険会社を通じて「中断証明書」を発行することにより、その等級を10年間維持できます。つまり、この証明書を発行しておけば、10年以内に再び自動車保険を契約する際、中断証明書発行時の等級が適用されるようになるのです。
ひとたび割引率の大きな等級となったならば、契約者にとって、等級のリセットは大きな損失。一時的に自動車保険が無用となる場合、中断証明書の発行手続きはマストといえます。
5-2.同居の家族なら等級は引き継げる
自動車保険の等級は、保険を適用するクルマを買い換えた場合や、契約する保険会社を変更する場合、維持する(=同じ等級で契約する)ことができます。
さらに、等級は自分だけではなく、同居する親族であれば引き継ぐことも可能です。例えば、自動車保険の被保険者(契約対象のクルマを主に運転する人)を親からその子へと変更することで、子が親の“高い等級”を継承。これにより、自動車保険料を安く抑えることができます。なお、家族・親族で等級を引き継げるのは同居している子/孫/親戚か、配偶者、または配偶者と同居している親族となっています。
6.自動車保険の等級 Q&A
6-1.20等級で保険不適用の場合、翌年の割引率は?
等級の上限となる20等級で1年間無事故、保険を適用することがなかった場合は、翌年も20等級となり最大の割引率が適用されます。割引率がそれ以上になることはありません。
ただ保険会社によっては、20等級を超える22等級までの等級が用意されています。この制度では、割引率こそ20~22等級間で変わりませんが、22等級で「3等級ダウン事故」を起こした場合、等級の下落が19等級にとどまる点がメリットとされています。
6-2.保険を使わないほうが得になることもある?
保険を使うと、たとえ同条件の契約でも以後の保険料は上がるため、事故による修理費用などのコストを保険料の値上がり分が上回る、ということもあり得ます。つまり、保険の値上げ幅と先々のトータルコストを見積もった結果、保険を使わないほうが得だった、というケースも考えられます。この点は、都度判断する必要があるでしょう。
6-3.クルマを手放したら等級はどうなる?
自動車を手放せば、自動車保険は解約することになり、それまでアップしてきた等級も解消されてしまいます。その点、前述(5-1.)のとおり「中断」という手続きをとることにより最長10年までの等級維持が可能です。ブランクを経ての自動車保険再開のためにも、保険会社を通じて「中断証明書」の発行を依頼ください。
7.「7等級」からスタートするセカンドカー割引も利用しよう
前述のとおり、自動車保険を新規で契約すると、等級は6等級からのスタートとなります。これに加えて2台目の車両を契約する場合、自動車保険は1台目の等級を共有できず、新規で契約することになってしまいますが、2台目の等級は「7等級から」。ひとつ上の等級からスタートできる「セカンドカー割引(複数所有新規割引)」という制度があります。
以上、等級についての理解が深まったら、「評判のいい保険会社・保険サービス」をチェックし、自分に最適な自動車保険を選びましょう。
その際は、3989人の本音が聞ける「自動車保険 満足度ランキング」の記事が役立つに違いありません。