第3戦中国GP「ライバル不在で3連勝」【F1 2016 続報】

2016.04.17 自動車ニュース
第3戦中国GPを制したメルセデスのニコ・ロズベルグ(写真右から2番目)、2位に入ったフェラーリのセバスチャン・ベッテル(左端)、3位に終わったレッドブルのダニール・クビアト(右端)。(Photo=Ferrari)

【F1 2016 続報】第3戦中国GP「ライバル不在で3連勝」

2016年4月17日、中国の上海インターナショナル・サーキットで行われたF1世界選手権第3戦中国GP。王者を襲った不運、スタート直後の混乱やタイヤバーストなど波乱含みのレースにあって、そのいずれの影響も受けなかったメルセデスのニコ・ロズベルグが、開幕からの3連勝を飾った。

スタートでポールシッターのロズベルグ(先頭右)からトップの座を奪った予選2番手のダニエル・リカルド(同左)。その後方で、2台のフェラーリにクビアトのレッドブルが襲いかかった。(Photo=Ferrari)
ライバル不在の中、一人旅を楽しんだロズベルグは開幕3連勝、昨季から数えて6連勝。連勝記録としては、ベッテル(9連勝)、アルベルト・アスカリ&ミハエル・シューマッハー(7連勝)、シューマッハー(6連勝)の仲間入りを果たしたことになる。チームとしてのメルセデスは、昨年日本GPから9連勝中だ。(Photo=Mercedes)
 

■予選の騒動は収束

2016年のF1シーズンは、今年新たに採用された「ノックアウト式予選」の是非に揺れて始まったが、3戦目の中国GPから従来の方式に戻すことで、この騒動は収束した。

昨年までの予選方式を支持したのはチーム側。一方、「2アタックの合計タイムでグリッドを決める」など最後まで何らかの変更を求めたのはジャン・トッド会長率いるFIA(国際自動車連盟)や、F1界のボスとして長年君臨してきたバーニー・エクレストンといわれる。本来ならF1を統括するFIAにイニシアチブがあってもいいはずだが、現代のF1はルールメイキングにおいて極めて民主的なプロセスが採られており、11もあるチームを前にすればFIAも多勢に無勢。ドライバーをも巻き込んでの一連のゴタゴタは、そんなF1政治の一面を世界に向けてあらわにした出来事だった。

もちろんF1の真の魅力は、政争にではなく、コース上やチャンピオンシップでの抜きつ抜かれつにあるべきだ。その点では、今季のGPはなかなかおもしろくなりそうな予感がする。メルセデスの抜きんでたパフォーマンスに変わりはないものの、2年連続してチームメイトにタイトルを奪われてきたニコ・ロズベルグが開幕から2連勝、昨季から数えて5連勝中と奮起を続けている。今季3連覇を目指すルイス・ハミルトンは2戦連続でポールからスタートに失敗し未勝利と、たった2戦ながら両者の明暗は分かれており、3年目のチームメイト対決は新たな展開をみせつつある。

さらに、今季変更されたレギュレーションも徐々にいい効果を出している。3種類のタイヤが選べるようになり戦略のバリエーションも豊富になった。また、スタート方式の見直しやピットからの無線アシスト禁止など、ドライバーの力量がより試されるようにもなった。このことは、マシンの性能差を巧みな戦術とドライバーの腕でカバーできる可能性が、ぐっと増したことを意味する。王者に次ぐ2番手のポジションにいるフェラーリや、安定感あるレッドブルらも侮れない存在となっている。

スタートでクビアトにインを取られたベッテル(写真)は、アウト側で並走していたキミ・ライコネンと接触、チームメイトをはじき出してしまい、フェラーリは早々に2台そろって順位を落としてしまった。最終的にベッテルは2位、ライコネンは5位まで挽回。レース後クビアトはベッテルからお小言をもらっていた。(Photo=Ferrari)

■予選最前列と最後尾にメルセデス

従来方式に戻った予選は、チャンピオンチームの2台が一番前と後ろにつける不思議な結果となった。今季初、通算23回目のポールポジションを決めたのは絶好調のロズベルグ。僚友ハミルトンはといえば、ギアボックス交換の5グリッド降格に加え、Q1でパワーユニットにトラブルが起きアタックできず、3戦目にして早くもエンジン交換を実施。最後尾22位からスタートすることになった。

予選2番手に飛び込んだのはレッドブルのダニエル・リカルド。フェラーリはいつもの2列目に甘んじ、ドライビングミスでポールに届かなかったキミ・ライコネン3位、セバスチャン・ベッテルは4位だった。ウィリアムズのバルテリ・ボッタス5位、レッドブルのダニール・クビアト6位、フォースインディアのセルジオ・ペレス7位と続き、カルロス・サインツJr.8位、マックス・フェルスタッペン9位とトロロッソの若手コンビが並んだ。

予選10番手はフォースインディアのニコ・ヒュルケンベルグだったが、Q2セッション中に脱輪を起こしてクラッシュ、危険な状態でコースに入ったことでペナルティーを受け、ウィリアムズのフェリッペ・マッサが繰り上がった。

開幕戦オーストラリアで2位、第2戦バーレーン3位と勝利なしできた王者ルイス・ハミルトン。3戦目の中国では、ギアボックスに加え、パワーユニットのモーター部分の不備でエンジンも交換、最後尾22番手からレースにのぞんだ。スタートの混乱の中でマシンを壊し、最終的に7位でフィニッシュ。ランキング2位を守るものの、ポイントリーダーのロズベルグには36点もの差をつけられた。(Photo=Mercedes)

■接触にバースト、そしてトップに立ったのは……

56周レースの火ぶたが切って落とされると、ダークホースのレッドブルが牙をむいた。ターン1をトップで抜けたのはリカルド、2番手に落ちたロズベルグを間に挟み、クビアトが3位までポジションを上げた。一方フェラーリ勢は、クビアトが猛追をしかけてきたことで行き場を失ったベッテルがライコネンと接触。ベッテルは8位、ライコネンは緊急ピットインを強いられ大きく順位を落とした。

フェラーリに代わり、レッドブルのリカルドがメルセデスのロズベルグに戦いを挑むかと期待を抱かせたが、3周目、ロズベルグにトップを奪われたリカルドは、直後に左リアタイヤのバーストに遭い、優勝戦線から脱落せざるをえなかった。

コース上に破片が飛び散ったため5周目から数周にわたりセーフティーカーが入った。この間、タイヤ交換に踏み切るものとコースにとどまるものとに分かれ、1位ロズベルグ、2位マッサ、3位マクラーレンのフェルナンド・アロンソ、4位マノーを駆るパスカル・ウェーレイン、5位ハースのエステバン・グティエレスと、上位にはなじみの薄いノンストップ組が先頭集団を形成し、再スタートが切られた。

このような混戦模様にあっても、トップのロズベルグは2位マッサに対してぐんぐんとリードを広げ、マッサに代わりクビアトが2位に上がっても、その勢いは衰えることがなかった。ハミルトンにフェラーリ、さらにはリカルドと次々に不運に見舞われたライバルたちを尻目に、ロズベルグはレース半ばに20秒以上、30周を過ぎて25秒も先行。最終的には37秒もの大差で一人旅を終えたのだった。

開幕戦の大クラッシュで第2戦を欠場したフェルナンド・アロンソ(写真)が中国で復帰。マクラーレン・ホンダは今季の目標であるQ3進出を目指したが、ニコ・ヒュルケンベルグのクラッシュで赤旗。最後の1分を残しQ2セッション終了となったことでアタックを断念せざるをえなくなり、アロンソ12位(ヒュルケンベルグのペナルティーで11位)、ジェンソン・バトン13位(同12位)と不完全燃焼に終わった。レースでは両ドライバーともピット作戦がうまく機能せず、アロンソ12位、バトン13位完走。(Photo=McLaren)

■ベッテル、リカルドの挽回劇

優勝争いこそ盛り上がらなかったものの、レース序盤につまずいたドライバーたちの挽回劇も一興に値した。

36周目、2位クビアトはタイヤをミディアムに交換。これに対し同時にピットインした3位ベッテルは速い方のソフトタイヤを装着し、程なくしてフェラーリがレッドブルの前に出て2位の座を確定させた。クビアトは3位に落ちたものの、ここのところ落ち気味といわれていた自身の評価向上につながる、キャリア2度目の表彰台を決めた。

3戦連続4位入賞のリカルドも健闘した。タイヤバーストから一時は17位までダウンするも、持ち前のアグレッシブなドライビングで華麗なるオーバーテイクショーを披露し、最終的にはチームメイトのクビアトまで6秒差に詰め寄ってゴールを迎えた。

最後尾から出走したハミルトンはといえば、スタート直後の混乱でフロントウイングを破損、終盤はマッサのウィリアムズをなかなか抜けずに、結果7位に終わった。チャンピオンにとっての苦難の道はまだ続いているようだ。

ロズベルグ3連勝と結果的にはチャンピオンチームの独走が続いているかに見えるが、王者ハミルトンがこのままで終わるとは到底思えない。またフェラーリに加えレッドブルという伏兵の存在も、今季のレースを盛り上げてくれそうな予感がする。史上最多21レースが組まれるシーズンは、まだ始まったばかりである。

次戦は秋から春開催に変わったロシアGP。決勝は5月1日に行われる。

(文=bg) 

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