【東京オートサロン2018】活況を呈す国内メーカーと退潮傾向の海外ブランド、明暗はっきり
2018.01.13 自動車ニュース![]() |
今回で36回目を迎えた「東京オートサロン2018」。主催者発表による今回の出展台数は880台(前回850台)で、過去最高だった2016年と並んだ。ここ数年、毎回のように「史上最大級の規模」をうたっているが、会場を回った肌感覚では、その言葉に偽りはないと思う。
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メーカー/インポーターは全13社が出展
少なくともメディアにおける扱いにおいては、すっかりオートサロンの主役となった自動車メーカー/インポーター。今回出展した日本車メーカーは過去3回と同じで、トヨタ(レクサスを含む)、日産、ホンダ、マツダ、スバル、ダイハツ、スズキ、三菱、日野の9社。インポーターはルノー・ジャポン、メルセデス・ベンツ日本、フォルクスワーゲン グループ ジャパン、LCI(ロータス)の4社で、これは前回と同じ。合わせて全13社となる。
日本車からメーカー別に見ていくと、まずトヨタ。以前は独立したブースを構えていたこともあるレクサスを含め、TOYOTA GAZOO Racingとして最大規模のブースを出展。目玉はワールドプレミアとなる、WEC(FIA世界耐久選手権)参戦で得たノウハウをフィードバックしたコンセプトカー「GRスーパースポーツコンセプト」だった。ほかにも会場で参戦体制発表が行われた「レクサスLC 2018年ニュルブルクリンク24時間レース参戦車」などのコンペティションマシンと限定車である「ヴィッツGRMN」などのロードカーの双方をズラリと並べていた。
加えて今回は新たな試みとして、“トヨタ自動車”名義でもブースを出展した。昨秋の東京モーターショーでデビューした「クラウン コンセプト」のカスタマイズド車両3台を、カムフラージュが施されたテスト車両を含めて展示し、発売前から早くもカスタムを提案。そのほか2台の「ハイエース」のカスタムも並べられていた。また、以前は東ホールの本家(TOYOTA GAZOO Racing)とは別に北ホールにブースを構えていた、いわば分家であるカスタム/チューニングブランドのモデリスタとTRDも、今回から本家と隣接したスペースにブースを移転。ギャラリーにとっては見やすくなったといえる。
日産のメイン展示は、新たにカスタムブランドとして正式に立ち上げたAUTECHによる「セレナe-POWER」「エクストレイル」「ノートe-POWER」の3台のコンセプトモデル。加えてチューニングブランドであるNISMOによる「リーフ」のコンセプトモデルおよびNISMOの市販モデル、さらにグランドツーリングを名乗る「リーフ」「エクストレイル」「キャラバン」のコンセプトモデルを展示した。コンセプトモデルとはいえ、全体的に市販化を前提としたであろう車両が多く、コンペティションマシンはSUPER GT用の「MOTUL AUTECH GT-R」1台のみ。しかもなぜか2016年仕様だった。
ホンダは傘下のチューニング/カスタムブランドである無限とモデューロを含めたコンセプトモデル、コンペティションマシンを、恒例に従い二輪車も合わせて多数そろえ、スポーツマインドを前面に押し出していた。注目を集めていたのはレース専用車両の「NSX GT3」、新型「シビック タイプR」をベースにした「無限RC20GTシビック タイプRコンセプト」、および市販化を前提とした新型「CR-V」「ジェイドRS」「シビック」などのカスタムコンセプトである。また、会場で2018年度のモータースポーツ活動計画が発表され、SUPER GTへのフル参戦が話題を呼んでいるジェンソン・バトンの所属がチーム・クニミツとなることが明らかにされた。
スバルとその直轄のモータースポーツ部門として30年の歴史を刻んできたパフォーマンスブランドであるSTIは、暗めのブースにコンペティションムード全開の展示を実施。2017年の東京モーターショーでデビューしたコンセプトカーにSTIが手を入れた「ヴィジヴ パフォーマンスSTIコンセプト」を囲むように、WRブルーに塗られた1993年「レガシィRS」から昨季のGT300用「BRZ」に至る歴代コンペティションマシンとロードカーを並べていた。
マツダブースは新型「CX-8」を中心に、SUVのCXシリーズが主役という雰囲気。「ロードスター」のカスタムやパーティレース仕様、また昨年末からレストアサービスを開始した「NAロードスター」のレストア中のホワイトボディーも展示されていたが、走りのムードは希薄だった。
ダイハツも東京モーターショーで好評だった新旧「コンパーノ」の競演の再現とばかり(?)、赤黒ツートンカラーのボディーにゴールドのホイールを持つ1984年「シャレード デトマソ ターボ」と、それを再現した「ブーンSPORTOパッケージ」という新旧ホットハッチを並べて展示。そのほかの走り系のモデルも同じく赤黒ツートン、プレミアムをうたうカスタムモデルはパールホワイトのツートン、アウトドアを楽しむアクティブ系モデルはブルーでカラーリングを統一し、それぞれの魅力を明確に打ち出していた。
ダイハツのライバルであるスズキは、今回のオートサロンでチューニングカーのベースとして人気を博していた「スイフトスポーツ」のオートサロンバージョンを出展。だがブースの主役はスノーボードやキャンプ、フィッシングといったアウトドアスポーツ/レジャーとコラボした「クロスビー」「スペーシア」「キャリイ」のカスタム仕様で、楽しげな雰囲気を演出していた。
三菱は2台の新型「エクリプス クロス」のコンセプトモデルが中心で、うち1台を斜面に展示して走破性の高さをアピールしていた。
出展内容で気を吐いたフォルクスワーゲン
インポーターでは、フォルクスワーゲン グループ ジャパンが好印象だった。「パサート」をGT3マシン風に仕立てたコンセプトモデルの「パサートRライン エボリューション」のほか、実際にレースでシリーズチャンピオンを獲得した「ゴルフGTI TCR」とF3マシンの2台の競技車両を前面に展示。いっぽうではキャンピング仕様の「ゴルフ オールトラック」と、そのルーツとなる1968年「タイプ2ウェストファリア」でアウトドアテイストを演出。くしくもダイハツ、スズキと同様に走りとアウトドアの2本立ての展示となっていた。
メルセデス・ベンツ日本は、AMGとスマートを含めた広いブースに多くの車種を展示。特に目新しいモデルは見当たらなかったが、聞けばVクラスの「V220dスポーツ ロング」が日本未導入の参考展示車両とのことだった。ルノー・ジャポンとロータスも同様で、コンセプトモデルなどの展示はなかった。
インポーター(海外ブランド)は、過去にBMWジャパンやアウディ ジャパン、アバルト、アルファ・ロメオ、GMなどが出展したこともあったが、いずれも様子見という感じで長続きしなかった。5年以上連続して出展しているのは、ルノー・ジャポンとメルセデス・ベンツ日本だけである。活気があるとはいえない輸入車ブランドの出展状況を見るに、今後新規参入はあるのか、それとも現状維持なのか、はたまたさらなる減少を招いてしまうのか、少々気になるところではある。
(文と写真=沼田 亨)
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