アストンマーティン・ヴァンテージの魅力に迫る[第2回]D'station Racingチームのリーダーたちに聞く
ヴァンテージで戦う意義 2019.09.19 アストンマーティン・ヴァンテージ特集<PR> 激戦のSUPER GTを「アストンマーティン・ヴァンテージGT3」で戦うD'station Racingチーム。強豪ひしめく中で、星野 敏オーナーはなぜヴァンテージを選んだのか。佐々木主浩総監督は、いかにしてライバルたちに立ち向かうのか。サーキットで頂点を目指す男たちの思いを聞いた。“大魔神”の采配
日米プロ野球界で投手として活躍し、“大魔神”の異名をとった佐々木主浩総監督は、D'station Racingチームのピットでにこやかな笑顔を浮かべていた。
「アストンマーティンといえば超高級車、憧れのクルマですよね。プロ野球界でも、本当にトップの人しか乗っていないスポーツカーです」
そんなアストンマーティン・ヴァンテージを自らが采配を振るうD'station Racingで走らせることが決まったとき、佐々木総監督はどんな印象を抱いたのだろうか?
「最初に聞いたときは本当に“スゲー”と思いましたよ」
有名人がレーシングチームの監督を務めるケースは、そのほとんどが“名義貸し”のようなもので、実際の業務には関わっていないことが少なくないが、佐々木総監督は違う。その証拠に、No.7 D'station Vantage GT3(藤井誠暢/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)が優勝争いを演じたSUPER GT第4戦タイ大会にもわざわざ出向き、現場でチームの作戦立案に関わっていたのである。
「タイではようやくセッティングが決まって、チームもヴァンテージGT3の走らせ方がわかってきた。それで予選で3位を取って、決勝でもずっとトップ争いをしていた。普通のチームだったら、『ここは手堅くポイントを取りに行こう』ということになるんでしょうが、僕たちは違います。本当に、勝負に行ったんです。だからピットストップでもタイヤは堅実な4本交換じゃなくて2本交換を選んだ。あのときは、本当に勝ちたかったんです」
ところが、不運なパンクによりチームは優勝のチャンスを逃してしまう。
「でも、ポテンシャルは間違いなくありますよ。次戦以降も、勝てるチャンスがあれば積極的に勝ちに行こうとチーム内で話し合っています」
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憧れのブランドでレースを
D'station Racingの星野 敏オーナーにとってもアストンマーティンは特別な存在だ。
「もともとアストンマーティンは大好きで、2007年にヴァンキッシュSを買って以来、何台も乗り継いでいます。やっぱりアストンマーティンは憧れのブランドですよね」
なぜ、星野オーナーはアストンマーティンに憧れるようになったのか?
「スタイリングが美しいことも理由のひとつですが、私は映画好きで、『007』シリーズは昔からずっと観ていました。だからショーン・コネリーが操っていたDB5(映画『007 ゴールドフィンガー』や『007 サンダーボール作戦』などに登場)に憧れていましたね。もっとも、とても高価なクルマでしたし、そもそも当時の日本ではほとんど目にすることもなかったので、自分には絶対に手が届かないと思っていました」
だからこそ、ヴァンキッシュSを自分のものとし、実際に路上で走らせたときには深い感慨を覚えたそうだ。
「私たちにとってアストンマーティンはいわば“幻のブランド”。そんなクルマを自分が走らせて『本当にいいのか?』と感じたのを覚えています」
星野オーナーに、ヴァンテージGT3でSUPER GTを戦うことになった経緯を尋ねてみた。
「これまでにも他ブランドでさまざまなレースを戦ってきましたが、今シーズンからアストンマーティンに切り替えた最大の理由は、個人的な憧れの気持ちもさることながら、新型ヴァンテージがリリースされたというインパクトが大きかったような気がします。特にV8ツインターボに生まれ変わったエンジンの性能やシャシー性能への期待が強かったですね」
ヴァンテージGT3にかける星野オーナーの思いは、期待というよりも確信という言葉が似つかわしいような気がする。
「新型ヴァンテージGT3が発表されたのがたしか2018年の5月でしたが、その3カ月後にはこのクルマでレースすることを決めて、なんとかしてマシンを確保しようとして動き出していました。ヴァンテージGT3のパフォーマンスについてはチームのスタッフからも話を聞いていましたし、アンディ・パーマーCEOは長年レースに強い思い入れをもっていらっしゃる方だから、絶対にいいクルマを作ってくれると信じていました」
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十分に優勝が狙える
新型ヴァンテージGT3はこれまでに20台ほどが生産されたが、そのほとんどはヨーロッパ向けで、アジア・パシフィック地域のレースを戦っているのはD'station Racingが走らせる2台だけ(うち1台はSUPER GT用でもう1台はスーパー耐久用)という。
もっとも、新型ヴァンテージGT3のポテンシャルを引き出すまでには苦労もあったようだ。
「当初はエンジンのトルクがあまり感じられなかったり、ブレーキの利きもいまひとつだったような気がしました。ただし、それは“つるし”の状態で走らせていたのが悪かったらしく、チームでマシンを調整するうちに日々進化していきました」
もうひとつ、D'station Racingチームを悩ませたのが、新型ヴァンテージGT3に課せられた厳しい性能調整だった。
「性能調整にはだいぶ苦戦しました。特に低回転域でのトルクが不足していました。エンジン回転数が上がればパワーも立ち上がってくるのでトップスピードはあまり問題になりませんが、低回転域は当初、もの足りなかったですね」
それが新型ヴァンテージGT3に対する性能調整緩和で次第に本来のポテンシャルが発揮できるようになる。
「総合的に考えても、いまはすごくいい状況にありますよ。第4戦タイ大会でも、タイヤのパンクさえなければ勝っていたはずですから」
アストンマーティンと新型ヴァンテージGT3は星野オーナーの期待に見事に応えたといっていいだろう。
「優勝できる実力があると思います。もちろん、今年アストンマーティンで戦うことを決めてよかったと思っていますし、後悔はまったくありません」
そんな星野オーナーがアストンマーティンのロードカーを愛してやまないことは前述のとおり。これまでに「何台も乗り継いできた」というが、中でも最もお気に入りだったのはどのモデルだったのか?
「V12ヴァンテージですね」
先代ヴァンテージにラインナップされていたV12エンジン搭載モデルの名を、星野オーナーは間髪入れずに挙げた。
「あの小さなボディーにV12エンジンを押し込んだ、ものすごいパワフルなクルマでしたよ。私のはマニュアルトランスミッションでしたが、最高に楽しかったですね」
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タイトル獲得の可能性も
最新のアストンマーティンにも関心を抱いているという。
「いま、新型ヴァンテージをちょっとお借りしているんですが、すごく乗りやすくて、現代的ないいスポーツカーに仕上がっていますね。あれで約2000万円だったら、コストパフォーマンスはとても高い。既存のスポーツカーと比べてもまったく負けていないと思います」
これとは別に、先ごろ発表されたばかりの限定モデル、ヴァルハラも星野オーナーはオーダーしたそうだ。ちなみにヴァルハラは、これまでAM-RB 003と呼ばれていたハイパーカーで、カーボンファイバーコンポジットモノコックに新開発のV6ターボエンジンとハイブリッドシステムを組み合わせたパワートレインを搭載。さらに、そのロードカーとは思えない大胆なエアロダイナミクスのデザインにはレッドブル・アドバンスド・テクノロジーズが関わるなど、まさにF1マシン直系のテクノロジーが採用されたスーパーマシンである。
「とても先進的なモデルじゃないですか」と星野オーナー。
「レーシングカーの要素もたっぷり入っていて、『これでロードカーにして本当にいいのかな?』と思うようなクルマですが、すごく楽しみです」
話をレースに戻すと、SUPER GTでの目標は「まずは1勝」に置いているという。
「第5戦までを終えてまだ入賞できていないので、今シーズンのタイトルは難しいと思いますが、なんとか残りのレースで1回は優勝したいですね」
いっぽう、同じヴァンテージGT3で臨むスーパー耐久ではタイトル獲得の可能性もゼロではないという。
「残り2戦ですが、どちらも優勝するつもりで戦います。あとはライバル次第ですが、チャンピオンのチャンスも残されています」
星野オーナーと“大魔神”は熱いファイティングスピリットともにシーズンの残りレースに挑む。
(文=大谷達也<Little Wing>/写真=田村 弥)
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