キャプチャーE-TECHハイブリッドでGO!
心を満たすテクノロジー 2022.09.27 革新技術で躍動するルノーのコンパクトSUV<AD> 電動化を進めるなかで、全く新しいハイブリッドシステムを開発したルノー。かくも革新的なメカニズムを搭載したコンパクトSUV「キャプチャー」は、ますます魅力的な一台へと進化していた。大人気にはワケがある
日本のみならず世界的にみても、今やコンパクトカー市場の主役であるBセグメントSUV。キャプチャーはそんな激戦区に投じられ、ルノーの屋台骨を支えている一台だ。2020年の欧州市場ではSUVカテゴリーで販売ナンバーワンの座を射止めている。
乗ってみればその理由はしみじみ伝わってくる。プラットフォームのベースともいえるコンパクトハッチバック「ルーテシア」に対して55mm長い2640mmのホイールベースは、しっかりと後席の膝まわりの余裕に反映されているし、その後席をスライドさせれば荷室の側にリーチを振り分けることも可能だ。
ちなみに荷室の容量は、純ガソリンエンジン車の場合で536リッターと、室内高があるとはいえルーテシアより4割近くも大きい。そしてその室内高も手伝って、前述した膝まわりだけでなく上下方向の空間的な広さにも余裕がある。単に見てくれの“いまっぽさ”だけの話ではなく、ルーテシアと比べても相応の利をしっかりもたらしているのだから、売れるのもむべなるかなである。
そのキャプチャーに追加された新しいパワートレインが「E-TECHハイブリッド」だ。自然吸気の1.6リッター4気筒に2つのモーターを組み合わせるフルハイブリッドのパワートレインは2022年、クーペSUVの「アルカナ」とともに初上陸を果たし、次いでルーテシア、そしてこのキャプチャーに相次いで搭載された。
F1由来のハイブリッド
海外ブランドとしては相当積極的な展開にみえるのは、仕向け先がハイブリッド天国の日本市場だから、というだけではないだろう。むしろ、ハイブリッドの経験値が高いだけに、中身にきちんと優位がみられなければあっさり淘汰(とうた)されてしまう、そこに対してのルノーの自信もうかがえる。
その鍵を握るのが、全く新しい発想のトランスファーだ。エンジン用の4段変速機と駆動モーター用の2段変速機を巧みに使い分けながら、逐次最適な走行パターンを選んでいく。
……と聞けば、トヨタの十八番である遊星歯車を使った「THS」の動力分割機構を思い出す。しかし、E-TECHハイブリッドの場合、その仲を取り持つのは伝達ロスの少ないドッグクラッチだ。反面、ギアのかみ込みにはショックや音鳴りなどのネガが生じるが、それを巧みにコントロールしているのが始動や発電などを受け持つモーターで、リンケージを常に最適に行えるようピンポイントで回転合わせを行ってくれる。
効率を求めるほどに複雑怪奇になりがちなフルハイブリッドのトランスファーを、小さく、軽く、シンプルにまとめることができたのは、F1参戦で得られた知見によるところが大きい。そして動力源と駆動輪が直結したリニアでダイレクトなドライブフィールを実現している……というのがルノーの言い分である。
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ピックアップの良さに感心
直近はともあれ、ここ数年の潮流で言えば自動車メーカーはBEVシフトまっしぐらという状況だったわけだが、そんななか、ルノーはなぜゼロスタートでこのシステムをつくり上げたのか?
背景には、2015年以降に欧州でクローズアップされたディーゼルエンジンのエミッションにまつわる問題がある。ディーゼルと比べれば排ガス課題の小さいガソリンエンジンをベースに、従来のディーゼルと同等の効率とコストを実現するパワートレインがあれば、遠くまで安く快適に足を延ばしたいというこれまでのニーズをカバーすることができる。ユーザー目線の、地に足のついた戦略もまた、フランスらしいリアリズムゆえではないだろうか。
そもそもキャプチャーはルーテシアより高出力側に振られた1.3リッター直4ターボエンジンを搭載しており、7段DCTとの組み合わせでライバルとは一線を画する快活なドライビングが楽しめるクルマだ。その印象が果たして、ハイブリッド化でどう変わるのか。
モーターでの発進から速度をじわじわと高めていくと、エンジンがスルッとかかり……という、このあたりの感触は、ハイブリッドに慣れているわれわれにとって不思議なものではない。意外と滑らかにつなぐもんだねと、むしろ上から目線で見ているほどだ。
ただし、60km/h以下くらいのタウンスピードでも気づくのは、アクセル操作に対するピックアップの良さだ。印象的なのは人も荷物もたくさん載った高荷重状態での速度コントロールのリニアさで、じわりとアクセルを踏み増した際のモーターのトルクによる押し込みが、2リッター超えの排気量のクルマに乗っているかのような感触をもたらしている。
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完成度の高い新技術
このようにルノーがこだわったであろう直結的なドライブフィールの片りんは、飛ばさなければ味わえないという類いのものではない。とはいえ、このハイブリッドシステムが他と違うということが最もわかりやすいのは、コーナーでアールを探りながら力をかけて曲がっていく際の、カッチリとダイレクトな駆動感だろう。
ドッグミッションの癖は完全に消えうせているかといえば、そうはいかない場面もある。モーター駆動からのエンジン再始動の際や、停止寸前からの再加速といった制御側が戸惑いそうな場面で、ちょっとしたショックを感じることもあった。しかしそれは、クラッチ式のATでも消しきれないアラでもある。むしろ2つの駆動系とそのギアの組み合わせが、きちんとドライバーの気持ちに応える連携をみせてくれることに驚かされた。そういうパラメーターを構成するのは一筋縄ではないだろうが、キャプチャーのE-TECHハイブリッドからは、メカニズムの若さを感じさせない熟度が感じられる。
燃費も、さすがにTHSやe:HEVのようにはいかないものの、Cセグメント側に近いキャプチャーの車格も配慮すれば満足度は高いと思う。今回は、撮影のために市街地やワインディングロードでゴー&ストップやオン&オフを繰り返し、高速道路では長い渋滞もあって17.9km/リッター。丁寧に乗れば20km/リッターの大台もうかがえるだろう。
フルハイブリッドにもまだまだ秘めたる可能性がある。E-TECHハイブリッドはユニークな手法でそれを証明する技術だと思う。本音を言えば、まさかフランスのルノーからこんな球が飛んでくるとは思いもよらなかったというのが正直な実感だ。
(文=渡辺敏史/写真=花村英典)
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車両データ
ルノー・キャプチャーE-TECHハイブリッド レザーパック
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4230×1795×1590mm
ホイールベース:2640mm
車重:1420kg
駆動方式:FF
エンジン:1.6リッター直4 DOHC 16バルブ
モーター:交流同期電動機
トランスミッション:電子制御ドッグクラッチ マルチモードAT(ギアはエンジン側4段/モーター側2段)
エンジン最高出力:94PS(69kW)/5600rpm
エンジン最大トルク:148N・m(15.1kgf・m)/3600rpm
メインモーター最高出力:49PS(36kW)/1677-6000rpm
メインモーター最大トルク:205N・m(20.9kgf・m)/200-1677rpm
サブモーター最高出力:20PS(15kW)/2865-1万rpm
サブモーター最大トルク:50N・m(5.1kgf・m)/200-2865rpm
タイヤ:(前)215/55R18 95H/(後)215/55R18 95H(グッドイヤー・エフィシェントグリップ パフォーマンス)
燃費:22.8km/リッター(WLTCモード)
価格:389万円