キャデラックXT4ラテエディションに宿る独創のプレミアム
新しい価値の創造者 2023.03.01 CADILLAC XT4 LATTE EDITION 早春の房総を駆ける<AD> 特別なボディーカラーをまとう「キャデラックXT4」の限定モデル「LATTE EDITION(ラテエディション)」に乗り、目指すは早春の房総半島。スポーティネスと先進性、懐の深さを併せ持つキャデラックのコンパクトSUVは、私たちにどんな旅路を提供してくれるのだろうか。専用のボディーカラーが演出する独自のエレガンス
キャデラックXT4に初めて乗ったのは、1年と少し前だ。優美な風格を持ちながら小気味のいい走りを実現していることに感心した記憶がある。キャデラックというブランドの現在位置を知ることができ、アメリカンなコンパクトSUVの魅力を堪能した。SUVはすっかりクルマの主流となり、国内外の数多くのモデルから選べるようになっている。安価なベーシックモデルから超高級スポーツSUVまでさまざまな選択肢があるなかで、キャデラックXT4は比類のないオリジナリティーを持つ。
XT4はキャデラックが手がけた初めての都会派プレミアムコンパクトSUVであり、そのマーケットはライバルのひしめく激戦区である。それでも明確なアドバンテージを感じさせるのは、歴史の力が大きいのだろう。キャデラックは100年以上前からアメリカを代表する高級車ブランドであり続けてきた。かつてはハイパワーでゴージャスなアメリカンドリームの象徴だったが、近年ではクールでインテリジェントなたたずまいが魅力になっている。華麗な伝統を受け継ぎながら時代のトレンドを取り入れた、その最新モデルがXT4なのだ。
試乗したのは特別仕様車のラテエディション。XT4の「スポーツ」グレードをベースとして、エクステリアカラーには専用色の「ラテメタリック」を採用している。スポーツの装備はそのままに、エレガントさをまとった特別なモデルとなった。力強いスタイリングと俊敏な走行性能が、キャデラックらしさを強くアピールする。
3つあるグレードのなかで、スポーツはその名が示すとおりスポーティーな走りとデザインを追求している。専用の20インチホイールを採用し、エクステリアはブラックアクセントで精悍(せいかん)さを強調。ラテエディションでは、このブラックとラテメタリックのコントラストが、知的なエレガンスを演出する。運転席に座ると、スポーツレザーステアリングホイールとアルミニウム製スポーツペダルがドライバーの気分を高揚させる。
→「CADILLAC LATTE EDITION」のより詳しい情報はこちら
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
本物でなければ真のプレミアムは実現できない
試乗で目指したのは、千葉県いすみ市にある高秀牧場である。お察しのとおり、車名にちなんだ目的地だ。“LATTE(ラテ)”とはイタリア語で牛乳のことであり、日本の酪農発祥の地とされる房総半島を訪ねることにした。徳川吉宗公がインド産の白牛を飼育することを命じたのが始まりだというから、歴史は古い。東京からは高速道路やワインディングロードを通ることになり、テストにはおあつらえ向きの路程である。
最初は助手席に乗った。リビングルームのようなゆったりとした空間造形が心地よい。ラテエディションに採用されているインテリアカラーは、「ライトウィート/ジェットブラック/レッドアクセント」。シート地は淡いベージュで、明るく優しげな色合いだ。ダッシュボードやドアトリムにはブラックに赤いステッチが施されており、カーボンファイバートリムとの組み合わせがスポーティーな気分を盛り上げる。
キャデラックは、本物の素材を使うことをポリシーにしている。高品質な本革と本杢目(ほんもくめ)材、リアルメタルで内装を仕上げなければ真のプレミアムにならないと考えているのだ。もちろん、高級な素材を使っているからといって神経質になる必要はない。使い勝手に悪影響が及んでは本末転倒である。XT4の車内空間は、SUVらしく使い倒すことを前提とする実用性も兼ね備えているのだ。
上品でありながらも軽快な加速フィール
助手席ではインテリアの上質さを存分に味わうことができたが、このクルマの本領を満喫できるのは運転席である。発進の瞬間から、高いポテンシャルは明らかだ。アクセルをゆっくりと踏んでいくと、1760kgのボディーはこともなげに動き出す。大きなマスを感じさせない軽快さがあり、SUVであることを忘れそうになる。とはいえ、これ見よがしに急激な加速を見せることはなく、意図したとおりに速度が乗っていく。エッジを立てる演出は下品なことだと心得ているのだ。おおらかさは余裕のなせる業だろう。自信があるから上品さを保つことができる。
2リッター直列4気筒直噴ターボエンジンは、ツインスクロールターボチャージャーを組み合わせて230PSの最高出力を生み出す。ハイパワーユニットだが、気難しさはない。1500rpmという低回転域から最大トルクの350N・mが湧き上がり、ターボラグは皆無。極低速でもコントロールは容易だ。加速がスムーズなことには、トランスミッションも貢献している。自社開発の9段ATはエンジンとの相性が抜群で、よどみなくスムーズな加速が続いていく。
ドライブモードは「ツーリング」「AWD」「スポーツ」「オフロード」の4種類。スロットルやシフト、4WDシステムのプログラムがそれぞれに定められている。ツーリングだけは前輪駆動で、他のモードでは四輪駆動だ。スポーツグレードをベースにしているので、ダンパーの減衰力が可変の「バリアブルリアルタイムダンピングサスペンション」も採用されている。
→「CADILLAC LATTE EDITION」のより詳しい情報はこちら
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
快適なドライブを支えるハイテクの数々
街なかや高速道路では、ツーリングモードがオススメだ。乗り心地が柔らかくなり、快適性は一番である。走りを楽しみたい時は、スポーツに切り替える。エンジン音の高まりが気分を高め、実際に加速のレスポンスは素早くなった。少しばかり硬さを感じるものの、不快な突き上げに悩まされるようなことはない。どのモードでも、SUV的な鈍重さとは無縁だ。段差を乗り越えた際にも、ぐらぐらと揺さぶられるような嫌な感覚はなかった。
今回は試す機会がなかったが、オフロードモードが選べることは有用だ。悪路や滑りやすい路面でも安心して走れる機構があれば、行動範囲が広がる。4WDシステムには2つのクラッチが用いられており、前後の駆動力を最適に配分するだけでなく、左右後輪間の駆動トルクも随時制御。トルクベクタリング機能が悪路走破性を高めるとともに、あらゆる路面状況で安定したコーナリングを実現する。
先進運転支援システム(ADAS)の充実ぶりもXT4の強みのひとつだ。カメラやレーダーを用いて前後の状況をモニターし、危険を察知すると警告を発するとともに必要に応じて回避動作をとる。アダプティブクルーズコントロールは0km/h、すなわち完全停止までをカバー。パーキングでは新世代サラウンドビジョンが360°の俯瞰(ふかん)映像を表示してドライバーをアシストする。
ありがたかったのが、キャデラックが特許を持つ「セーフティアラートドライバーシート」だ。シートクッションの左右にバイブレーターが内蔵されており、危険を振動で知らせる。音や光よりも直感的でわかりやすい。左右、あるいは両方が振動し、ドライバーは危険が生じている方向を察知できる。
→「CADILLAC LATTE EDITION」のより詳しい情報はこちら
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
キャデラックならではの進取の気風と懐の深さ
高速巡航では車内が静かに保たれ、優れた音響空間となる。「Boseサラウンドサウンド13スピーカーシステム」が搭載されており、音楽を聴きながらのドライブは心が弾む。ノイズを打ち消すアクティブノイズキャンセレーション機能も備わっていて、静粛性は圧倒的だ。まさにリビングルーム感覚なので、長く乗っていても疲労を感じない。
カーナビの指示どおりに進んでいくと、高秀牧場の入り口からは狭い私道を通らなければならない。少々気後れしたが、XT4は見晴らしがいいので不安なく進入することができた。広々とした牧草地を背景にすると、伸びやかなフォルムが一段と映える。都市型SUVではあるが、アメリカンなワイルドさがにじみ出ているようだ。野性味と洗練を絶妙にブレンドしたデザインは、都会にもカントリーロードにもマッチする。
ラテという言葉は、日本ではカフェラテの略称として使われることも多い。おしゃれなドリンクの代表格である。フランスのカフェオレに似ているが、私たちの知るカフェラテはエスプレッソにスチームドミルクを加えるという製法だ。もちろんイタリア発祥だが、アメリカに渡って独自の進化を遂げたらしい。イタリア式のコンパクトなストロングスタイルの飲み物から、おおらかでマイルドな味わいに変化した。
キャデラックXT4ラテエディションは、アメリカンなカフェラテに通ずるものがあるような気がする。キャデラックは21世紀に入ってシャープなデザインと独創的なテクノロジーをコンセプトにした新世代のブランドへと進化した。欧州車のソリッドな走りを取り入れながらも、古きよきアメリカ車の度量と懐の深さは変わらない。いいものは貪欲に吸収し、伝統の上に新たな価値を創造する。キャデラックが提供する最新のプレミアムが体現されたモデルなのだ。
(文=鈴木真人/写真=荒川正幸/撮影協力:高秀牧場、Alto cafe)