新時代のステーションワゴン「フォルクスワーゲン・パサート」を知る
すべての人に満足を 2024.12.26 新型「フォルクスワーゲン・パサート」の魅力に迫る<AD> 50年以上の長きにわたって愛されてきた、フォルクスワーゲンの基幹モデル「パサート」。満を持して発売された最新モデルには、どんな特徴があるのだろうか? モータージャーナリスト藤島知子が、その魅力について熱く語った。ワゴンのよさが際立つデザイン
「ワゴンって、やっぱりいいですね。運転していて楽しい!」
ドアを開けて運転席から降りてきた藤島知子さんの表情は明るい。新型フォルクスワーゲン・パサートに試乗していたのだ。パサートは1973年に発売され、これまでに世界で3400万台以上が販売されたベストセラーカー。なんと、あの“ビートル”を超える数字だというから驚く。最新の9代目モデルがようやく日本に上陸した。
「新型はひと回り大きくなり、エモーショナルになったという印象ですね。フォルクスワーゲンは水平基調のデザインが特徴でしたが、そこから次の段階に進んだように見えます。キャラクターラインが繊細で、光を映し出すときの陰影がこれまでになかった色気を醸し出しているようです。ルーフが低く全長が伸びていて、横から見ると薄くて長い。シャープなフォルムで、ステーションワゴンとしての魅力が際立ちます」
ホイールベースは先代モデルより50mm延長されており、全長は4915mm。余裕を得たことで、堂々たる風格が感じられる。
「でも、車幅は1850mmで20mmしか広がっていないんですね。今や1900mmを超えるモデルも珍しくないので、このサイズ感はかなり頑張ってくれたと思います。日本の交通事情にはありがたいですよね。それでいてこの抑揚のあるデザインを実現しているところに感心します」
欧州の自動車文化が薫る
ところで、以前は「パサート ヴァリアント」という車名だったのだが、9代目モデルは単にパサート。これまではセダンとワゴンが用意されていたのだが、今回はワゴンのみの設定になっている。
「日本だけではなく、ヨーロッパでもワゴンだけということです。セダンの市場は年々縮小していますから、ワゴン一本に絞るというのは正しい方針だと思います。パサートはヨーロッパではビジネス用途でカンパニーカーとして使われることが多いんですが、ファミリーユースも多い。たくさん荷物を積めるワゴンは市場のニーズに合致していると思います。長くセダンをつくっていたことで蓄積されたノウハウが、ワゴンづくりにも生かされているのでしょうね」
現在はSUVが売れ筋になっていて、多くのモデルが販売されている。ワゴンは主流ではなくなったが、ヨーロッパのビジネスマンが好んでいるのは事実だ。
「スーツ姿に似合うのは、こうした背の低いクルマですよね。端正に見えるから、しっくりくるんです。1990年代にワゴンブームがありましたが、日本ではその後ミニバンが人気に。そしてSUVが出現してクルマの形は多様化が進みました。SUVにはカジュアルな魅力がありますが、ヨーロッパではワゴン文化は廃れていません。高速道路で長距離移動することが多いので、低重心なクルマが好まれるんですね」
走行性能はさらなる高みへ
フォルクスワーゲンが、自動車の基本ともいえるセダンとワゴンというジャンルで、長い歴史を紡いできたのがパサートなのだ。伝統があるだけでなく、最新の技術を注ぎ込んでいる。プラットフォームには、進化版のMQB evoアーキテクチャーを採用した。
「走りの基本性能が上がりましたね。さらに、最先端アダプティブシャシーコントロールの“DCC Pro”を取り入れています。従来はワンバルブ式だったのがツーバルブ式になり、伸び側と縮み側が独立したオイル回路になっているんですね。それぞれ別々に減衰力をコントロールすることができるわけで、路面の凹凸とか状況に応じてこれまで以上に理想の走りに近づけるものになりました。乗り心地と操縦性がともに向上したんですよ」
もともとはモータースポーツの世界で使われていた技術で、量産車に搭載されるのは世界初。スポーティーなハンドリングを実現するとともに、快適なフラットライドがもたらされる。
「ヨーロッパで行われたパサートの国際試乗会に参加して、アベレージ車速が高いワインディングロードを走りました。クルマの挙動を安定させないとアクセルを踏み込んでいけないんですが、そこはワゴンの低重心がメリットになります。しかも“DCC Pro”の巧みな制御で上屋が変に揺すられることはない。かといって乗り心地が硬すぎることもないし、安定した姿勢とハンドリングの気持ちよさをバランスよく両立していますね」
自分にベストな仕様が選べる
パワートレインは3種類が用意されている。1.5リッターのeTSIマイルドハイブリッドシステムと、2リッターのTDIクリーンディーゼル、1.5リッターeTSIをベースとするプラグインハイブリッド「eHybrid」だ。今回はeTSIモデルに試乗したが、それぞれ異なる魅力があるという。
「eTSIはパサート初の48Vマイルドハイブリッドですね。軽快さということではこれが一番だと思います。TDIは低回転からトルクが出ますから、5人乗車でも出足がいい。デュアルクラッチ式トランスミッションのDSGと組み合わされているので、リズミカルに加速ができます。プラグインハイブリッドは静粛性の高さが驚異的。EV走行距離が120kmを超えていて、普段はガソリンを使わずに走れます。しかも、補助金を使えば実質的にTDIと同等の価格なんですよ」
電動化戦略を加速させてきたフォルクスワーゲンだが、パサートにはバッテリーEVのモデルはない。
「世界的にBEV化は減速傾向にあります。フォルクスワーゲンに限らず、各メーカーがスケジュールを見直していますね。現状では多様なパワーユニットを選べるようにすることが求められていますから、このラインナップは現実的だと思います」
パワーユニットごとに「エレガンス」と「Rライン」の2グレードがあり、eTSIはさらに「エレガンスベーシック」も加わる。どのような違いがあるのだろうか。
「エレガンスはクローム使いがうまく、上品で洗練されていますね。Rラインはブラックで引き締まった表情をつくり出し、対照的な雰囲気をまとっています。パワーユニットやサスペンションのセッティングなどは共通ですが、ホイールサイズはエレガンスが18インチでRラインは19インチ。これだけで結構走りが違っていて、Rラインはアグレッシブさが増すように感じました。走行モードをコンフォートにすれば乗り心地はマイルドになりますし、何かを犠牲にしているということはありません。基本性能が磨き込まれていることの証しですね」
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誰にとっても心地いい
走りに加え、使い勝手も向上した。電子プラットフォームが進化したことが大きい。
「Discover Proディスプレイがとても使いやすいんですよ。大型でタッチパネルの応答性がよく、直感的に操作できます。サクサク動くのがうれしいですね。ボイスコントロールでかなり多くの機能が使えるようになりました。なんだか前より賢くなっていますよ」
ホイールベースを延ばしたことで、広い車内空間が生まれた。後席には乗員が余裕を持って座れるし、荷室はクラストップレベル。先代より40リッター増えた690リッターの積載能力があり、後席の背もたれを倒せば1920リッターの巨大なラゲッジスペースが出現する。
「広さも驚きですが、実用性の高さが素晴らしい。電動でハッチを上げると連動してトノカバーが動くし、荷物がズレないようにしっかりと止める機構も付いていますね。2本のバーの間にクロスを渡し、コートなどを収められるようになっています。花束をもらったときの置き場所にもいいでしょう。面ファスナーで床に仕切りを設けるパーツまであるんですよ。ケーキが入った箱を固定するといった用途があるというんですが、このおもてなし感はすごい。ドイツ車がここまでやるんだ、と驚嘆しました」
内装の質感も高く、仕立てのよさが心地よい空間をつくり出している。クオリティーが格段に上がったようだ。
「フォルクスワーゲンはその名のとおり大衆のクルマをつくってきた歴史があるわけですが、新型パサートはいわゆるプレミアムブランドに引けを取らない上質さを持っています。新しい時代に求められる価値を考え抜いて開発されたのでしょうね。トレンドに流されず、自分の感覚と規範で判断する人に選ばれるクルマなのだと思います」
(語り=藤島知子/まとめ=鈴木真人/写真=荒川正幸)
◇新型フォルクスワーゲン・パサートを藤島知子が動画で解説
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車両データ
フォルクスワーゲン・パサートeTSIエレガンス
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4915×1850×1500mm
ホイールベース:2840mm
車重:1580kg
駆動方式:FF
エンジン:1.5リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ
トランスミッション:7段AT
エンジン最高出力:150PS(110kW)/5000-6000rpm
エンジン最大トルク:250N・m(25.5kgf・m)/1500-3500rpm
モーター最高出力:18PS(13kW)
モーター最大トルク:56N・m(5.7kgf・m)
タイヤ:(前)235/45R18 94W/(後)235/45R18 94W(ピレリ・チントゥラートP7)
燃費:17.4km/リッター(WLTCモード)
価格:553万円
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フォルクスワーゲン・パサートeTSI Rライン
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4915×1850×1500mm
ホイールベース:2840mm
車重:1580kg
駆動方式:FF
エンジン:1.5リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ
トランスミッション:7段AT
エンジン最高出力:150PS(110kW)/5000-6000rpm
エンジン最大トルク:250N・m(25.5kgf・m)/1500-3500rpm
モーター最高出力:18PS(13kW)
モーター最大トルク:56N・m(5.7kgf・m)
タイヤ:(前)235/40R19 96W/(後)235/40R19 96W(グッドイヤー・イーグルF1)
燃費:17.4km/リッター(WLTCモード)
価格:576万4000円