魅力マシマシの進化を遂げた最新の「ルノー・アルカナ」をドライブ
さらに際立つ個性 2025.01.13 アルピーヌの魂を手にしたフレンチクーペSUV<AD> 「ルノー・アルカナ」の最新モデルが日本に上陸。定評のある優れたハイブリッドパワートレインを包む内外装には、新たにアルピーヌの魂が込められているのだ。街で乗ってもロングドライブに出てもいい。それがルノーならではのクーペSUVの本質である。思わず両手を合わせたくなる
ルノー・アルカナは、さまざまな意味で個性的なモデルだ。まず、エレガントなクーペの雰囲気と、SUVのヘビーデューティーな存在感を融合した、クーペSUVというデザインのアイデアがユニーク。特に、なだらかに傾斜するルーフラインがテールゲートに吸収されて一体化したように見える、ファストバックと呼ばれるスタイルが新鮮だ。しかも全長4570mmという、日本の道路事情でも扱いやすいサイズでこの造形を表現しているあたりに、デザインのレベルの高さを感じる。
デザイン以外にも、F1で磨いたテクノロジーを注ぎ込んだ独創的なハイブリッドシステムや、快適な乗り心地と正確な操縦性を両立していることなど、ライバルがすぐには思い浮かばないユニークな存在だ。競合他車と比較して消去法で選ぶのではなく、「これください!」と指名買いするタイプのモデルなのだ。
そのルノー・アルカナにデザインや機能のブラッシュアップが施され、さらに魅力を増した。まず、フラットデザインの新しいルノーのロゴが、このタイミングで採用された。ちなみに、ルノー車の日本導入モデルとしては、アルカナが最初にこのロゴを用いるとのこと。モダンなフラットデザインのロゴと立体感のあるフロントグリルの組み合わせは斬新で、アルカナのスタイリッシュなたたずまいをさらに際立たせている。
今回のマイナーチェンジのタイミングで、アルカナは「エスプリアルピーヌ」というグレードで展開することになった。アルピーヌと聞いて、1971年と1973年の世界ラリー選手権(WRC)制覇を連想する方はいまや少数派かもしれない。けれども昭和のクルマ好きとしては、ボディーの内外装にあしらわれたアルピーヌのエンブレムを見ると気分がアガり、両手を合わせて拝みたくなる。
つまりアルカナは、新しいフラットデザインのエンブレムと、伝統のアルピーヌのエンブレムといった具合に、革新と伝統の双方向から攻めているということになる。デザインに感度の高い人にも、長年のマニアにもアピールするわけだから、「うまい!」と言わざるを得ない。
→エスプリアルピーヌE-TECHフルハイブリッドをもっと詳しく
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ルノー独自のハイブリッド
インテリアを見渡して気づくのは以下の2点。ひとつは、シートバックにアルピーヌのエンブレムの刺しゅうが施され、シートやステアリングホイールのステッチにもこのエンブレムと同じブルーがあしらわれていること。これからドライブするクルマにアルピーヌのエンブレムが輝いているのは、素直にうれしい。
もうひとつ、センターパネルが大型化され、さらに横型から縦型になっていることもマイチェン前からの変更点。従来のパネルより視認性も操作性も向上しているうえに、インテリアの雰囲気がイマっぽくなっている。つまりインテリアも、新しさとアルピーヌの威光という両方向からアプローチしている。
新生ルノー・アルカナのパワートレインは以前と変わらず、「E-TECHフルハイブリッド」と「マイルドハイブリッド」の2本立て。今回の試乗車は、ヨーロッパ車には珍しいフルハイブリッド(ストロングハイブリッドと呼ぶメーカーもある)を搭載する前者だった。
このE-TECHフルハイブリッドは、1.6リッター自然吸気の直列4気筒エンジンと2つのモーターを組み合わせたルノー独自のハイブリッドシステム。なぜ「フルハイブリッド」と呼ばれるのかというと、マイルドハイブリッドとは異なりEV走行も可能になっているからだ。実際に走らせてみると、E-TECHフルハイブリッドの完成度の高さには驚かされる。
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F1で磨き上げたテクノロジー
まず発進時はモーターのみで駆動する、静かで滑らかなEV走行となる。スムーズであるだけでなく、モーターは低速域のレスポンスにも優れるから、ストップ&ゴーが続く混雑した市街地でもストレスを感じない。速度が40km/hあたりを超えると、エンジンも加勢する。高速道路に乗り入れ、さらにアクセルペダルを踏み込んで80km/h以上の速度域に入ると、エンジンが主役で必要に応じてモーターがアシストするように、協力関係が変化する。
見事なのは、「モーターだけのEV走行」→「モーター+エンジンでの走行」→「エンジンが中心の走行」という切り替えがシームレスに行われること。切り替え時のショックは皆無だし、音の変化もごく自然だ。インストゥルメントパネルには、エンジンとモーターの作動状況がイラストで表示されるけれど、これを見ていないと、パワートレインのコラボ状況が変化したことに気づかないだろう。
結果として、市街地ではモーターの滑らかさと好レスポンスを、高速域ではエンジンの伸びのよさとパワフルさを味わうことができる。しかもどのモードであっても、アクセル操作に対してのレスポンスが鋭いから、気持ちよくドライブできる。滑らかな切り替えとダイレクトなレスポンスを実現しているのが、モータースポーツ由来のドッグクラッチ。伝統のアルピーヌのエンブレムはただの飾りではなく、F1で磨いたハイブリッド技術を市販モデルに落とし込んでいることの証しでもあるのだ。
E-TECHフルハイブリッドに、「E-SAVE」というモードが加わったことも今回のマイチェンのトピック。これは駆動用のバッテリーに電気を残すようにするモードだ。例えば深夜の住宅街に帰宅する際や、早朝のキャンプ場に乗り入れるような場面では、事前にこのモードで電気を蓄え、EV走行で抜き足・差し足・忍び足で静かに走る、という使い方ができる。
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街乗りにもロングドライブにも
スムーズで操る楽しさもあるというパワートレインの特性は、そのまま足まわりにもつながっている。乗り心地はかつてのルノーのようなふんわり系ではなく、無駄な動きを排除したすっきり系。ただし、路面からの衝撃を上手に丸め込むフィーリングは、“伝統芸”のように受け継がれている。また、コーナリング時のロール(横傾き)が、スピードと量の両面においてバランスがとれていて、人間の感性に自然に訴える点もルノーらしい。
ハンドル操作に対して正確に反応してくれることもルノー車の美点で、入力に対して思ったとおりの反応が返ってくるから、アルカナと一心同体になったように感じる。ものすごく速いわけではないけれど、前述したアクセル操作への俊敏なレスポンスと合わせて、高いレベルのファン・トゥ・ドライブを堪能できる。
乗り心地のよさに加えて、360度の全方向を監視するカメラや各種センサーによる運転支援装置も万全だから、ロングドライブでの疲労も軽減される。走行車線の中央を維持するようにアシストしながら先行車両に追従する「ハイウェイ&トラフィックジャムアシスト」や、交通標識を認識する機能など、現時点での最先端のシステムが備わるから、パートナーや家族にハンドルを任せても安心だ。
しかもルーフを絞ったエクステリアデザインでありながら、合理的なフランス車らしく室内空間はたっぷり確保されているから、家族や仲間との自動車旅行にもうってつけ。静かな室内では、標準装備のBOSEのサウンドシステムがいい音を聴かせてくれる。
市街地からグランドツアーまで、あらゆるシチュエーションが得意で、他の何者にも似ていないデザインや独自技術で個性を発揮する。ルノー・アルカナの存在感に、マイナーチェンジでさらに磨きがかかった。
(文=サトータケシ/写真=郡大二郎)
車両スペック
ルノー・アルカナ エスプリアルピーヌE-TECHフルハイブリッド
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4570×1820×1580mm
ホイールベース:2720mm
車重:1470kg
駆動方式:FF
エンジン:1.6リッター直4 DOHC 16バルブ
モーター:交流同期電動機
トランスミッション:4段AT(エンジン用)+2段AT(モーター用)
エンジン最高出力:94PS(69kW)/5600rpm
エンジン最大トルク:148N・m(15.1kgf・m)/3600rpm
メインモーター最高出力:49PS(36kW)/1677-6000rpm
メインモーター最大トルク:205N・m(20.9kgf・m)/200-1677rpm
サブモーター最高出力:20PS(15kW)/2865-1万rpm
サブモーター最大トルク:50N・m(5.1kgf・m)/200-2865rpm
タイヤ:(前)225/45R19 96W XL/(後)225/45R19 96W XL(ハンコック・ヴェンタスS1 evo3)
燃費:22.8km/リッター(WLTCモード)
価格:499万円