1.プリウスの人気の型式・グレード・新車&中古車価格・選び方
いまプリウスの中古車で最も人気の高いモデルは60系と呼ばれる5代目です。
それ以前は純粋なエコカーとしてのイメージが強かったプリウスですが、最新世代の5代目では、エモーショナルな見た目と走りが意識されており、運転する楽しさが感じられ、乗るたびに愛着が湧くクルマへと進化しています。これらの特徴が評価され、3度目の日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞するなど、プリウスの魅力を再確認させる一台となりました。
プリウスの型式別中古車相場(4代目50系・5代目60系)
プリウスの中古車で主に取引されているのは、2015年から2023年まで生産された4代目(50系)と、2023年に発売された現行モデル=5代目(60系)です。この2車種にクローズアップしてみると、「webCGの中古車検索」における中古車相場は以下のようになります。(※支払総額の値や在庫数は、2025年4月現在のもの。以下同じ)
形式 | 中古車価格 (支払総額) |
在庫数 | リンク |
60系 (5代目:2023年以降のモデル) |
248万円~799万円 | 1340件 | 中古車を探す |
50系 (4代目:2015年以降のモデル) |
77万円~420万円 | 4995件 | 中古車を探す |
60系の場合、年式の古いものでも248万円以上が相場です。一方50系は2023年以前に製造されていたモデルなので、中古車価格もそれ相応に控えめになります。
60系プリウスのグレード別 新車価格・中古車価格
最新世代のプリウスは、パワートレインや装備の違いにより、以下の全6グレードが用意されています。パワートレインについては、エンジンとモーターを併用するハイブリッドのほか、外部からの充電が可能なプラグインハイブリッドモデル(PHEV)を選ぶことができ、このPHEVは動力性能の面でも“プリウスのハイパフォーマンス仕様”と位置づけられています。
プラグインハイブリッド
60系プリウスのPHEVは、電動モーターと2リッター直4ガソリンエンジンを組み合わせたモデルで、上記のとおり外部から充電できるのが特徴。19インチタイヤ装着車で87km、17インチタイヤ装着車では105kmのEV走行が可能で、通勤や買い物など短距離での移動は電気自動車としてこなすことができます。駆動方式はFF(フロントエンジンの前輪駆動)のみです。
バッテリーの残量がなくなってもハイブリッド車として走行でき、エンジンを使っての長距離移動が可能(WLTCモード燃費は19インチタイヤ装着車は26.0km/リッター、17インチタイヤ装着車では30.1km/リッター)。環境性能や静粛性も高く、次世代のエコカーとして注目されています。最新の60系ではデザインや走行性能も進化しており、実用性と先進性を両立したモデルといえます。
項目 | 駆動方式 | 新車価格 | 中古車価格 (支払総額) |
リンク |
Zグレード (最上位) |
FF | 460万円 | 353万円~490万円 | 中古車を探す |
Gグレード (エントリー) |
FF | 390万円 | 434万円(1件のみ) | 中古車を探す |
ハイブリッドモデル
60系プリウスのハイブリッドモデルは、トヨタの最新技術を搭載したハイブリッドカーのひとつであり、ガソリンエンジンと電動モーターを組み合わせて優れた燃費性能を実現しています。走行状況に応じてエンジンとモーターを自動で使い分け、効率よくエネルギーを活用します。ベースとなるエンジンは1.8リッターと2リッターの2本立て。前者はKINTO用の「U」グレードとビジネス向けの「X」グレード用で、排気量で勝る後者は、より上級グレードにあたる「G」「Z」に搭載されています。
ハイブリッドモデルについては、全グレードでFF車のほか4WD車をラインナップ。静粛性や加速性能も向上しており、ストレスの少ないスムーズな走行が可能です。さらに、先進の安全装備や洗練されたデザインも特徴で、環境性能と快適性を両立した次世代のスタンダードカーといえます。
項目 | 駆動方式 | 新車価格 | 中古車価格 (支払総額) |
リンク |
Zグレード (最上位) |
FF/4WD | 370万円~392万円 | 269万円~799万円 | 中古車を探す |
Gグレード (エントリー) |
FF/4WD | 320万円~342万円 | 249万円~679万円 | 中古車を探す |
Xグレード (ビジネス向け) |
FF/4WD | 275万円~297万円 | 257万円~395万円 | 中古車を探す |
Uグレード (KINTO専用) |
FF/4WD | -- | 268万円~373万円 | 中古車を探す |
60系プリウス 各グレードの特徴
Zグレード(プラグインハイブリッド)

60系プリウスのZグレード(プラグインハイブリッド)は、電気とガソリンの両方で走れる高性能モデルで、仕様によっては電気だけで87km〜105km走行可能です。静かでスムーズな走りができる一方、2リッターエンジンと高出力モーターにより加速力も十分。遠出することになっても燃料(ガソリン)が使えるため安心感があり、燃費はWLTCモードで最大30.1km/リッターと優秀です。金属調シルバー塗装のロアグリルやグレースモークカラーのテールランプを持つ先進的な外観と、上質な内装、最新の安全装備など、環境性能と快適性の両立が図られた一台です。
Gグレード(プラグインハイブリッド)

60系プリウスのGグレード(プラグインハイブリッド)は、上記のZグレード(プラグインハイブリッド)に対して装備やデザインがややシンプルで、パワーバックドアやフロントガラスのスーパーUVカット&IRカット機能、パノラミックビューモニター、緊急時の操舵支援、トヨタチームメイトおよびパーキングサポートブレーキなどが省かれています。シート表皮もZの合成皮革とは異なり上級ファブリックになりますが、価格は70万円も抑えられています。2リッターエンジンと高出力モーターを搭載しており、パワーやトルク、EV走行換算距離といったスペックはZグレード(プラグインハイブリッド)と変わりません。
基本的な性能はほぼ同じであり、走行性能や快適性については十分に満たされるでしょう。Gグレードは、Zグレードほどの豪華さは求めないが、環境に配慮した高性能なクルマを求める方に最適な選択肢です。
どんな人におすすめ?
通勤や買い物など日常の移動を電気だけでこなしながら、週末の遠出も安心して楽しみたい人におすすめです。Zグレードほどの豪華装備は不要だけれど、燃費や走行性能、環境性能には妥協したくないという実用派に最適です。必要な機能をしっかり備えつつ、価格も抑えられているため、コストパフォーマンスを重視する方にもぴったりな選択肢です。
特別仕様車 ナイトシェード

特別仕様車“ナイトシェード”はプラグインハイブリッドの「G」グレードがベース。足まわりを中心に外装パーツをブラックで統一しているのが特徴です。
どんな人におすすめ?
定番のプリウスに個性とスタイルを求める人におすすめです。特に、シンプルで実用的な車に加えて「見た目にもこだわりたい」「都会的で引き締まった印象の車に乗りたい」という方にぴったりです。また、ブラックアクセントを活かした精悍なデザインは、若い世代やファッションに敏感なユーザーにも好まれます。
Zグレード(ハイブリッド)

60系プリウスのZグレード(ハイブリッド)は、2リッターエンジンと高出力モーターを組み合わせた上級モデルで、力強い加速と優れた燃費性能(WLTCモードで最高31.5km/リッター)を両立しています。スタイリッシュな外観に加え、本革調シートや大型ディスプレイ、最新の安全運転支援機能も標準で装備されており、快適で安心なドライブが楽しめます。上質さと先進性を兼ね備えたハイブリッドモデルです。
どんな人におすすめ?
先進装備や上質な内外装にこだわる人におすすめです。12.3インチの大型ディスプレイや本革ステアリング、快適装備、安全支援機能がフル装備されており、まさに最上級グレードにふさわしい内容です。ドライブの質感や見た目の高級感を重視する方、長距離運転が多い方、「せっかく買うなら良いものを」と考えるユーザーに適しています。中古でも高値傾向ですが、そのぶん満足度の高い一台といえるでしょう。
Gグレード(ハイブリッド)

60系プリウスのGグレード(ハイブリッド)も2リッターエンジンとハイブリッドシステムを搭載しており、燃費性能と走行性能のバランスに優れたモデルといえます。Zグレード(プラグインハイブリッド)のように、長い距離を電力のみで走行し続けることはできませんが、そのぶん価格が抑えられ、手軽にハイブリッドのメリットを享受できます。
装備面では、Zグレードに標準の本革調シートをはじめ特別な装備は非搭載ですが、必要な安全機能や快適装備はしっかり備えており、実用性の高い仕様です。デザイン性も高く、燃費重視でコストパフォーマンスを求める方に最適な一台です。
どんな人におすすめ?
装備・価格・快適性のバランスを重視する人におすすめです。Xよりも装備が充実しており、アルミホイールやLEDライト、快適装備が多数標準搭載されています。一方で、Zグレードほど高価ではなく、中古車でも比較的手ごろな価格帯で流通しています。通勤からレジャーまで幅広く使いたいファミリー層や初めてのハイブリッド車を検討する方にぴったりの選択肢です。実用性と質感のバランスが良く、迷ったらGが安心です。
Xグレード(ハイブリッド)
60系プリウスのXグレード(ハイブリッド)は、シリーズ中で最もベーシックなモデルで、装備のレベルを必要最低限としつつ、275万円からという低価格を実現しているのが魅力です。上位のGグレードに比べた場合、内装が簡素化され、安全装備の一部が簡略化されているのは当然、エンジンも1.8リッターと、排気量の小さなものになっています。ただし、同じ1.8リッターのUグレード(後述)がサブスクリプションサービスのKINTOで扱われるのに対し、Xグレードは一般販売されています。
どんな人におすすめ?
すばり、仕事上のパートナーとしてプリウスを使いたい方。装備は最もシンプルで、アルミホイールではなくスチールホイール、シート素材もファブリックと質素ですが、Toyota Safety Senseなど基本的な安全装備は標準搭載されています。内外装の豪華さにはこだわらず、燃費性能と走行性能を重視する実用派の方や法人・営業用車両として向いています。中古市場では価格が比較的安価なため、コスパ重視で探す方にも適しています。
Uグレード(ハイブリッド)

トヨタのサブスクリプションサービス、KINTO専用のグレードで、先進技術と経済性を両立させたモデルという位置づけです。パワートレインはXグレードと同じ、1.8リッターのハイブリッドシステム。WLTCモードで最高32.6km/リッターという優れた燃費性能を実現しています。
少数ながら、Uグレードのユーズドカーも売買されてはいます。KINTOで提供された車両は、サブスクリプションサービスにおいて一定期間利用された後、整備・点検を経て「中古車」として再販されることがあるからです。
どんな人におすすめ?
コストを抑えつつ基本性能を重視する人におすすめです。もともとサブスクリプションサービス「KINTO」向けに設定されたグレードで、装備はGグレードよりやや簡素ながら、必要十分な安全機能と燃費性能はしっかり確保されています。中古市場では希少ですが、価格が手ごろで走行距離の少ない車両が見つかれば、非常にコスパの良い選択肢となり得ます。通勤や街乗りがメインで、最新装備にあまりこだわらない方に向いています。
どのグレードを選ぶべき? 選び方を専門家に聞いてみた
最新世代(60系)のプリウスについては、中古市場ではPHEVまたはハイブリッドが選択でき、主にZグレードとGグレードが流通しています。最上位グレードのZグレードにするか、あるいは必要な機能が十分に備わっているGグレードにするか。自らのニーズに合わせて判断することになります。価格は394万7300円(プラグインハイブリッドのGは384万7300円)

カーライフ・ジャーナリスト 渡辺陽一郎さんからのアドバイス
2009年に発売された3代目「プリウス」は、2010年から2013年にかけて、1カ月平均で2万台以上が登録されていました。ところが、その後は売れ行きが下がり、2022年(4代目の末期)は月販約2700台となっています。トヨタのさまざまな車種でハイブリッドモデルが選べるようになった結果、ハイブリッド専用車のプリウスに対する需要が減り、需要は最盛期の10分の1にまで落ち込みました。
そんなプリウスを廃止するという選択肢もありましたが、伝統あるハイブリッド車ですからトヨタは存続させる判断をしました。そこで5代目の現行型プリウスは、失地回復を賭けて、“ハイブリッドの低燃費”ではなく“電動車の付加価値”を重視して開発されました。
この新しいコンセプトに基づいて生まれたのが、空力特性を突き詰めた背の低い5ドアクーペ風のボディーと、モーター駆動による機敏で滑らかな加速感を追求した、2リッターエンジンによるパワフルなハイブリッドシステムです。
5代目プリウスには、先代と同じ1.8リッターエンジンのハイブリッドもありますが、搭載するグレードは、装備がシンプルな法人向けの「X」と、KINTO(定額制カーリース)専用の「U」だけです。一般ユーザーに販売するグレードは、動力性能を高めた2リッターエンジンのハイブリッドと、2リッターのプラグインハイブリッド(PHEV)、つまり充電可能なハイブリッドです。
機能や装備と価格のバランスをみると、一般的な推奨グレードはハイブリッドG・FF(320万円)です。衝突被害軽減ブレーキや運転支援機能などを標準装着して、死角を補うパノラミックビューモニターなどもオプション装着できます。最上級の「Z」は装備が充実しますが、価格も50万円高く、Gが割安です。
ただしそれ以上の注目グレードとして、PHEV・G・FF(390万円)もあります。価格はハイブリッドGよりも70万円高くなりますが、PHEVでは補助金の交付を受けられます。国の補助金額は、2025年度は前年度よりも5万円高い60万円です。価格差は70万円でも、実質10万円で充電機能を得られます。エンジンを始動させずにWLTCモードで87km走行できて、エンジンとモーターの相乗効果によるシステム最高出力も、ハイブリッドの196PSに対してPHEVでは223PSに向上します。
さらに自治体によっては、国とは別に補助金が交付されます。例えば東京都の場合は45万円ですから、国からの支給と合計すれば105万円に達します。千代田区などは別途10万円も加わり、補助金額は合計115万円です。高機能なPHEV・Gが、ハイブリッドGよりも実質45万円安く入手できます。新車でプリウスを買うならば、PHEV・Gも検討しましょう。
2.プリウスの年式別 中古車相場
プリウスには固定のファンが多く、モデルチェンジのたびに買い替えを行う人が少なくありません。結果的に中古市場に出回る台数は多く、供給過多ともいえる状態になりやすくなっています。その結果、プリウスの中古車価格は新車価格に対して安くなる傾向にあります。
この項では、「webCGの中古車検索」をもとに、プリウスの中古車相場を年式別に紹介します。年式ごとの、おおよその価格帯をご参照ください。(※支払総額の値や在庫数は、2025年4月現在のもの)
年式 | 中古車価格 (支払総額) |
在庫数 | リンク |
2025年 | 300万円~500万円 | 76件 | 中古車を探す |
2024年 | 260万円~570万円 | 272件 | 中古車を探す |
2023年 | 248万円~799万円 | 997件 | 中古車を探す |
2022年 | 144万円~420万円 | 292件 | 中古車を探す |
2021年 | 144万円~346万円 | 326件 | 中古車を探す |
2020年 | 127万円~352万円 | 479件 | 中古車を探す |
2019年 | 119万円~346万円 | 913件 | 中古車を探す |
2018年 | 90万円~357万円 | 563件 | 中古車を探す |
2017年 | 90万円~316万円 | 675件 | 中古車を探す |
2016年 | 77万円~326万円 | 1669件 | 中古車を探す |
プリウスの中古車販売価格は、2023年以降の直近3年はやや高めになっていますが、それ以前は安くなる傾向がみられます。
3.プリウスの歴代モデル
以上、対象を最新世代のプリウスに絞ってその特徴をグレード別に紹介しましたが、これ以前に誕生した初代から4代目までの歴代プリウスも、ぞれぞれ大いに人気を集めた、魅力的なモデルです。在庫が多く価格も落ちているので、比較的安価に手に入れることができます。
では、どんなクルマだったのか。ここでは、1997年12月に発売された初代プリウスからの変遷をたどっていきます。
初代プリウス・10系(1997年~2003年)

“世界初の量産型ハイブリッド車”として1997年に登場した初代プリウスは、トヨタのエコプロジェクトの旗艦として、当時の環境技術と先進性を象徴する存在でした。その核となる「THS(トヨタハイブリッドシステム)」は、1.5リッターガソリンエンジンと電気モーターを組み合わせることで、28.0km/リッター(10・15モード)という低燃費を実現。従来の純ガソリンエンジン車に対して燃費は約2倍となり、CO2排出量は半分に削減されました。

Cd値(空気抵抗係数)=0.30という空力性能に優れたエクステリアデザインや、軽量・高剛性のボディー、高効率な電動パワーステアリング、回生ブレーキおよびエンジン停止システムなど、あらゆる技術が低燃費に貢献。徹底した品質保証体制も整えられ、国内外で高い評価を受けました。栄えある日本カー・オブ・ザ・イヤーも受賞しています。
2代目プリウス・20系(2003年~2009年)

2003年に登場した2代目プリウスは、ハイブリッド車の新時代を切り開いた革新の一台です。初代から大きく進化したこのモデルは、ボディーデザインが一新され、セダン型から5ドアハッチバックへと変わり、運転席の上を頂点とし車体の前後に向かってなだらかに下降する“トライアングルシルエット”を採用することで優れた空力性能を実現しました。また、全長やホイールベースを延長することで室内空間も拡大。車内の快適性も高められています。
トヨタ独自のハイブリッドシステムは「THSII」へと進化し、燃費は35.5km/リッター(10・15モード)にアップ。走りの力強さや操舵に対する応答性も大幅に向上しています。安全技術にも力を入れ、ブレーキ制御(VSC、ABSなど)と電動パワーステアリングを協調させた、世界初の「S-VSC(ステアリング協調車両安定性制御システム)」や、駐車時のハンドル操作を自動化できる「インテリジェントパーキングアシスト」など、先進的な運転支援システムも採用されています。また、低速走行時にはモーターのみで走行できる(55km/h以下の速度で数百mから2km程度走行可能)「EVドライブモード」もトピックのひとつでした。
スマートエントリー&スタートやプッシュボタンスタートなども、当時の先進技術を象徴する使い勝手にも優れた機能・装備です。こうした進化により、2代目プリウスは日本だけでなく世界中で大ヒットし、累計販売台数119万2000台を記録しました。
3代目プリウス・30系(2009年~2015年)

プリウスは2009年5月に2度目のフルモデルチェンジを受け、3代目へと移行しました。肝となるハイブリッドシステムはベースエンジンの排気量が1.5リッターから1.8リッターへとアップ。「リダクション機構付きのTHSII」へと進化を果たし、世界トップクラスの38.0km/リッター(10・15モード)という燃費を実現しました。一方でトヨタの2.4リッターガソリンエンジン車並みの動力性能を発揮できるなど、環境性能と走行性能の高次元での両立が図られています。

ルーフ上のソーラーパネルで発電した電力を使用する「ソーラーベンチレーションシステム」や、乗車前に車外からエアコンを作動させて空調を行う「リモートエアコンシステム」など、先進的な装備でも話題となりました。
国内外で圧倒的な人気車種となった3代目プリウス。デビュー年には、プリウスとして2度目となる日本カー・オブ・ザ・イヤーも受賞しています。
4代目プリウス・50系(2015年~2023年)

2015年12月に発売された4代目プリウスは、トヨタの新しいプラットフォーム&パワートレイン戦略「TNGA(Toyota New Global Architecture)」に基づいて開発され、基本性能の大幅向上を実現しました。エクステリアは、進化したトライアングルシルエットと空力デザインが特徴で、Cd値=0.24という世界トップレベルの空力性能を得るとともに、低重心化とボディー剛性の向上により、安定した走行性能と上質な乗り心地を実現していました。

ハイブリッドシステムの1.8リッターエンジンは、吸気ポートやピストンの形状を改良することで、最大熱効率40%を達成。大容量のクールドEGR(排ガス再循環)の導入や、ハイブリッドシステムそのもののコンパクト化などにより、JC08モード燃費は驚異の40.8km/リッターにまで到達しています。
メカニズムのうえでは、それまでニッケル水素電池だったバッテリーをリチウムイオン電池としたのもトピック。プリウスとして初めて、4WD車(E-Four)もラインナップされるようになりました。さらに、先進的な安全技術「Toyota Safety Sense P」や「ITS Connect」を装備したのも、商品力を高めた要素といえるでしょう。
5代目プリウス・60系(2023年~)

現行モデルである5代目のプリウスが発表されたのは、2022年11月のこと。「“Hybrid Reborn”をコンセプトに、一目ぼれするデザインと虜(とりこ)にさせる走りを併せ持つエモーショナルなモデルを目指した」といううたい文句のとおり、従来のイメージとは異なる、スポーツカーを思わせる姿で大いに話題になりました。
ハイブリッドシステムのエンジンは、1.8リッター(システム最高出力140PS)と2リッター(同193PS)の2本立て。特に後者は、先代(1.8リッター)比で1.6倍となるパワーを獲得するなど、スポーティーに生まれ変わったプリウスにふさわしい動力性能を実現しています。
燃費性能については、WLTCモードの計測値で、1.8リッターモデルのFF車が32.6km/リッター、4WD車が30.7km/リッター。2リッターモデルのFF車が28.6km/リッター、4WD車が26.7km/リッター。同じWLTCモード値で比べた場合、1.8リッターモデルは先代をしのぐ燃費性能を実現しています。

また5代目プリウスでは、2リッターのプラグインハイブリッドシステムを採用したPHEVもラインナップ。高効率のダイナミックフォースエンジンと高出力の駆動用リチウムイオンバッテリーを組み合わせることで、223PSというシステム最高出力を実現するなど、外部充電機能だけでなく、優れた動力性能もセリングポイントとなっています。
4.新車・登録済未使用車・中古車の違い
プリウスを含め、クルマを購入するにあたっては、新車/登録済未使用車/中古車のなかから選ぶことになります。それぞれのメリット・デメリットをよく知ったうえで、自ら希望する予算と納期、その他のこだわりポイントに応じて選ぶのがおすすめです。
項目 | 新車 | 登録未使用車 | 中古車 |
所有履歴 | なし | 登録のみされており実質未使用 | 過去に所有者あり |
走行距離 | ほぼ0km | 数十km程度 (わずかな移動のみ) |
数千km~数万km以上 |
仕様・装備の 自由度 |
高い (自由に選択可能) |
低い (在庫車から選択) |
低い |
価格 | 高め | 新車より安いのが一般的 | 程度に応じて安価になる |
保証の内容 | 最大限のメーカー保証 が付帯できる |
メーカー保証あり (短い場合も) |
状態による (保証なしもあり) |
納期 | 長期にわたることがある | 登録済みのため比較的短い | 即納可能な場合も多々ある |
新車のメリット・デメリット
新車とは、つまり新品のこと。あなたが最初の注文者であり、メーカーの工場から手元に届くまで、まだ誰にも所有されていないクルマです。当然、走行距離は“ほぼ0km”。注文に際し、グレードやオプションを自由に選べるのが魅力です。特に値引きをされない限り、価格は高めになりますが、きれいなクルマに安心して長く乗りたい人にとっては、最も望ましい選択肢になります。
登録済未使用車のメリット・デメリット
登録済未使用車とは、その呼び名のとおり「(自動車検査登録制度上は)すでに登録されているが、ディーラーからエンドユーザーにはわたっておらず、まだ路上で使用されていないクルマ」です。つまり、走行距離もごくわずか。実質的に新車と同様の状態でありながら、価格が新車よりも安く設定される傾向にあるのが魅力です。デメリットとしては、すでにオーダー済みの車両であるため、オプションやボディーカラーの選択ができない点が挙げられます。
中古車のメリット・デメリット
過去にあなた以外の人が所有・使用していたクルマです。走行距離や年式、使用状態によって価格や品質に差が出てきます。なかには趣味性・希少性の観点から高価になっているものもありますが、基本的には新車や登録済未使用車に対しては安く、選択肢も豊富になります。ただし「使用済み」であるがゆえの劣化や故障のリスクは付きもの。購入に際しては、価格だけでなく、車両の状態や整備履歴をしっかり確認することが重要です。予算に合わせて、自らの知識や選択眼で賢く選びたい人に向いているといえるでしょう。
5.新型プリウスに関するよくある質問
Q.プリウスの4代目(50系)と5代目(60系)の違い・進化のポイントは?
プリウスの4代目(50系)と5代目(60系)では、性能・デザイン・装備など、全般的に違いがみられます。まずデザイン面では、4代目が未来的かつ個性的な外観を特徴としたのに対し、5代目はスポーツカーと見まごうばかりの、シャープでアグレッシブなクーペ風スタイルをまといました。走行性能では、5代目は第2世代のTNGAを採用し、低重心化とボディー剛性の向上によって、より安定した走りと静粛性を実現しています。
また、パワートレインも進化しており、4代目に対しては、1.8リッターモデルは燃費性能が向上。排気量の大きな2リッターモデルは、特に動力性能がアップしています。先進運転支援システム「Toyota Safety Sense」の進化版が搭載されるなど、安全装備も充実。総じて5代目は、全方位的に進化したモデルといえるでしょう。
Q.5代目(60系)プリウスには何年乗れますか?
プリウス5代目(60系)は、トヨタの高い品質と信頼性を背景に、適切なメンテナンスを行えば15年・20万km以上は十分に乗れる耐久性があると考えられます。特にハイブリッドシステムは熟成が進んでおり、モーターやバッテリーについても長寿命化が図られています。
ハイブリッドバッテリーに関しては、一般的に10〜15年・10万〜20万km程度が寿命と考えられていますが、5代目ではさらに性能や寿命が向上している可能性があります。また、消耗品(ブレーキパッド、タイヤ、オイルなど)の定期交換や車検時の点検をしっかり行えば、トラブルのリスクは低くなります。
長く乗るためには、ディーラーや信頼できる整備工場での定期的なメンテナンスが鍵となります。プリウスはもともと耐久性に優れた車種なので、きちんと手入れをすれば10年以上は安心して乗ることができるでしょう。
Q.プリウス5代目(60系)を値引きする方法はありますか?
ディスカウントについては強引に要求することはせず、丁寧に交渉するのがベターです。考え得るノウハウについては、以下のとおりです。
1.複数のディーラーを回る(競合させる)
自宅からアクセスできる範囲内に、複数のトヨタディーラーがありますか? 同じ車種でも別の店舗で価格に差が出ることがあるため、複数店舗で見積もりをとってもらうのは有効といえます。「他店では○万円引いてくれる話になりました」と事実を伝えることで、さらなる値引きの余地が生まれます。
2.決算期やボーナス時期を狙う
3月・9月(決算期)や6月・12月(ボーナス時期)は、売る側も販売ノルマ達成のため、値引きに応じやすくなる場合があります。
3.下取り車を高く売る
ディーラーでの下取りは安く見積もられがちです。一括査定サービスや買取専門店で事前に査定しておき、下取り額を交渉材料にしましょう。
4.オプション付与というかたちでの値引き
本体価格の値引きが難しい場合、フロアマットやカーナビ、コーティングなどのオプションをサービスしてもらうという手もあります。
5.ローン・保険の契約を含め値引き交渉を行う
販売店によっては、ローン契約や自動車保険の加入を条件に値引きを拡大するケースもあります。
6.まとめ
- ハイブリッドカーとして有名なトヨタ・プリウスは、2023年に発売された最新世代のモデルが5代目にあたり、新車・中古車ともに人気を集めている。
- 5代目プリウスはハイブリッドモデル(4グレード)とプラグインハイブリッドモデル(2グレード)に大別され、計6グレードをラインナップ。ハイブリッドモデルにはビジネスユースのグレードや、サブスクリプションサービス用のグレードも含まれる。
- 中古車価格は、5代目プリウスの価格帯がほかの世代に比べて高く、webCGの中古車検索では、2025年4月時点で248万円~799万円。プリウスに限らず、自動車業界はここ数年“売り手市場”になっているが、複数店舗で交渉したり、購入時期を調整したりすることで、値引きが期待できるようになる。
プリウスの中古車相場については年式や走行距離により幅がありますが、一般的に5年から10年落ちで走行距離5万kmから10万kmの車両は80万〜150万円程度で取引されています。燃費性能が高く、故障も少ないため中古市場でも人気です。選ぶ際は、ハイブリッドバッテリーの状態や整備履歴、保証の有無をしっかり確認するのが大事です。その点では、信頼できる販売店を選んで購入することも重要といえるでしょう。
どんな人におすすめ?
環境に配慮しながらも、上質なデザインや快適な装備にもこだわりたい人におすすめです。電気だけで長距離を走れるため、普段はEV感覚で経済的に使え、旅行などの遠出もエンジンがあるから安心。レザー調シートや先進安全装備が標準で、日常も特別な時間に変えてくれるモデルです。高性能と上質さを両立させたい方にぴったりといえます。