ポルシェ・マカン
ポルシェ・マカンに乗るということ 2016.04.28 A Life with PORSCHE MACAN<PR> ポルシェのコンパクトSUV「マカン」。手ごろなボディーサイズで人気だが、2リッター直4ターボエンジンを搭載するエントリーグレードは639万円という比較的リーズナブルな価格も魅力だ。あらためて同モデルに試乗することで、その価値について考えてみた。日常生活でも使い勝手がいい
ポルシェのSUV、マカンはとても好ましい一台だ。SUVは、最初のアルファベットが“スポーツ”を意味しているように、そもそも運転を楽しむために乗るクルマである。スポーツとは、クルマの場合、楽しさの同義語なのだ。世のなか、しかし、たいていのクルマがSUVを名乗っている。そこにあって、スポーツカーの本家本元といえるポルシェが手がけるのがマカンである。
ポルシェ・マカンはしかも、意外と付き合いやすい。そのことを知らない人が多いようだけれど、スターティングプライスは639万円なのだ。ポルシェは高級スポーツカーのイメージが強いけれど、高価格というより高品質スポーツカーといったほうが適切である。ピュアに運転を楽しめるクルマを作る能力ゆえに高級であって、ごく限られた人しか手に入らないクルマづくりをしているわけではない。
洗練性もポルシェ・マカンの魅力だ。重さとか大きさとか武骨さとかを、SUVの魅力と考えている人もいる。かつて70年代にパリなど欧州の都市でクロスカントリー型ビークルに乗るのが、少し流行(はや)ったのと似ているだろう。意外性がおもしろがられたせいだ。ポルシェ・マカンは、しかしながら、アクティブな印象を持ちつつ、日常生活で使い勝手のよさがしっかりある。取り回しのいいボディーサイズをはじめ、街中でも違和感はまったくない。スタイリングのエレガントさゆえ、ワークブーツというより、現在の高級・高品質スポーツウエアに近い感覚だ。スーツやワンピースととらえてもおかしくないかもしれない。
「自動車開発におけるスタイリングの役目とは、新しい“顔”を作ることではなく、本当にいいものを求めるところにある」。そう述べたのは、創設者フェルディナント・ポルシェの孫であり、初代「911」のスタイリングを指揮したフェルディナント・アレグザンダー・ポルシェ(1935年~2012年)である。その思想は今も息づいていると思う。
過去の「ポルシェ・マカン」試乗記一覧
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ポルシェ・マカン(4WD/7AT)【試乗記】
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大人4人が乗っても快適
マカンの魅力は、機能性がしっかり考えられているところにある。乗る人全員に優しいクルマだ。たとえば、高い目線から遠くまで見渡せる着座位置は、渋滞に巻き込まれても閉塞(へいそく)感がないばかりか、前方の事故などを早く見つけられるので、トラブルに巻き込まれる可能性が低い。
安全性ということでは、正確なステアリングや利きのよいブレーキという、クルマの根幹的な性能が抜きんでて優れていることがあげられる。さらに衝突安全性も高いうえに、後席にはチャイルドシートをしっかり固定するISO FIXも備わるので家族の年齢にかかわらず、安心感はかなり高い。
安全性と同時に重要なのは快適性だろう。2805mmのホイールベースを効率的に使ったパッケージングを持つマカンの室内空間はかなり余裕がある。そのため成人が4人でも窮屈な思いとは無縁でいられる。室内の各部分は高い品質の部材を使い、組み立て精度も高いため、気分がよい。ファミリーのためのクルマはよくできた家のようだとたとえるなら、これらの質感はとても重要だ。
家族でのドライブの目的地を選ばないのも、スタイリングや性能とともに機能性を追求したマカンの特長といえる。さきに触れたように高い目線は操縦時に安心感を与えてくれるうえに、全長4680mmの車体はフロントオーバーハングが短いので取り回しも緊張感を強いられない。そのためスーパーマーケットでもいいし、また500リッターの荷室容量を生かしてデイキャンプなどでもかなり活躍してくれるだろう。マカンで行くキャンプこそ、まさにグランピングではないか。
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ポルシェならではの走り
マカンに2つの側面があるとしたら、ひとつは日常で優れたパートナーになってくれること。もうひとつはワインディングロードでの楽しさだ。そもそもポルシェが世界中のファンに尊敬されているのは、モータースポーツへの貢献ゆえだ。1949年に量産第1号車を発表したポルシェは、早くも51年にはレースに参戦。70年代から80年代にかけては、速い速度でまる一日競い合う苛酷なルマン24時間レースで、立て続けに勝利をものにした。2015年にも17年ぶりに出走したルマン24時間レースで優勝を手中におさめたのである。
モータースポーツをブランドのDNAと呼ぶなら、マカンにもそれが息づいている。操縦すると、世界最高峰のスポーツカー作りを熱心に行ってきたポルシェだからこそ、と感心する出来であることがすぐにわかる。さきに触れたように、SUVのSはスポーツの意味だとよく理解できるクルマづくりなのだ。
軽さを感じる出足から、ぐんぐん速度が上がっていくときの気持ちよさ、そして正確なステアリングによる安定したコーナリングまで、一連の操作が楽しい。走りだすと、頭のなかが幸福感でいっぱいになる。家族で出掛けるのに使えて、いっぽうで、スポーツカーのような楽しみを味わわせてくれる。マカンは希有(けう)なクルマなのだ。
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日常と非日常を併せ持っている
ポルシェ・マカンがまるでスポーツカーだと聞くと、尻込みする人もいるかもしれないけれど、じつはその本質は、サイズの合った服や、歩きやすいスポーツシューズと似ている。運転者への負担をできるかぎり少なくして、かつ楽しさを与えてくれるものなのだ。マカンにはエンジン排気量などでバリエーションがいくつもあるけれど、2リッター4気筒モデルで十分楽しい。かつライバルとは確実に一線を画しているから、乗る価値がある。
マカンは1984ccの4気筒ターボエンジンと、7段ツインクラッチ式「PDK」変速機を搭載する。最高出力は237ps(174kW)。最大トルクは35.7kgm(350Nm)。最新モデルだとそれぞれ252ps(185kW)と37.7kgm(370Nm)に強化されている。最大トルクはどちらも1500rpmから4500rpmのあいだで発生する設定だ。7段PDKを介して4つの車輪を駆動する。走りだしから力強く、回転の伸びもよい。
2リッターエンジンながら、加速に息つぎ感がない。静止から100km/hまで加速するのに6.9秒しかかからないのも、ボディーサイズを考えたら驚くばかり。燃費は13.0km/リッター(JC08モード)。低回転域のトルクを厚くして回転を上げなくても加速をよくし、燃費とバランスさせている。
ポルシェの魅力を堪能できるSUV。日常と非日常を併せ持った希有なキャラクター。マカンは希少な魅力にあふれたモデルなのだ。
(文=小川フミオ/写真=田村 弥)
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テスト車のデータ
ポルシェ・マカン
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4680×1925×1625mm
ホイールベース:2805mm
車重:1830kg
駆動方式:4WD
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ
トランスミッション:7段AT(PDK)
最高出力:237ps(174kW)/5000-6800rpm
最大トルク:35.7kgm(350Nm)/1500-4500rpm
タイヤ:(前)265/45R20 104Y/(後)295/40R20 106Y(ミシュラン・ラティチュード スポーツ3)
燃費:13.0km/リッター(JC08モード)
価格:639万円/テスト車=821万7000円
ボディーカラー<インパルスレッドメタリック>(43万円)/インテリアカラー<ブラック/ガーネットレッド>(32万2000円)/ポルシェダイナミックライトシステム<PDLS>内蔵バイキセノンヘッドライト(28万3000円)/ポルシェアクティブサスペンションマネージメント<PASM>(21万円)/20インチマカンスポーツデザインホイール(45万4000円)/カラークレストホイールセンターキャップ(3万円)/シートヒーター<フロント>(7万6000円)/フロアマット(2万2000円)
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