ロングドライブで知るルノー・メガーヌ スポーツツアラーの実力
いながらにして味わう本場の味 2021.10.08 新しくなったルノー・メガーヌを味わう<AD> 新しい「ルノー・メガーヌ スポーツツアラー」はラインナップが「インテンス」に一本化されている。バカンスの国であるフランスの人々が生活に旅にと使い倒す標準グレードである。いわば“フランスの地物”ともいえる最新モデルをロングドライブに連れ出してみた。よく切れるペティナイフ
千葉県の東の突端(とったん)、屛風ケ浦に到着し、高さ40~50mの断崖絶壁が続くさまを眺むれば、異国情緒も極まれり。右手にはドーバー海峡、フランス側だとノルマンディー地方にも似たその景色。左手にはヤシの木が数本、ステキなヨットが並ぶ様子は、ここはハワイか南仏か……。クルマがルノー・メガーヌ スポーツツアラーゆえ、ああ、ニッポンのノルマンディーにしておこう。♪ダバダ、ダバダという、映画『男と女』の音楽が聴こえてきそうではありませんか。
ルノー・メガーヌがマイナーチェンジを受けて、2021年8月に生まれ変わった。内外装をアップデートし、ダイムラーと共同開発した1333ccの直4直噴ターボを搭載、これに7段DCT(デュアルクラッチトランスミッション)を組み合わせ、充実したモデルライフの後半に向けて、新装開店したのだ。もちろん、先進の運転支援システムも標準装備。ボディーはハッチバックもあるけれど、ここではワゴンのスポーツツアラーで、千葉県の銚子、――犬吠埼の灯台、水揚げ日本一、しょうゆに高校野球の名門・銚子商業でも有名な港町へ、常磐道~圏央道経由で行ってみた。グーグルマップによるとウチから123km、およそ2時間ちょっと。牛久大仏の背中を拝み、東関道の大栄ICからは一般道を1時間、50kmほど走るドライブは、退屈からの脱出、刺激に満ちていた。
フランス車というとソフトな足で、ゆったりとした乗り心地を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれないけれど、メガーヌ スポーツツアラーはそうではない。これは美食の国でもあるフランスのペティナイフのような実用車なのだ。誠に鋭利でよく切れる。キレッキレッ。誠に扱いやすくもあるのは、よく切れるからなのだ。
さらに魅力を増したエクステリア
もうちょっと具体的に申し上げると、まずもってエクステリアが磨き上げられている。ワイド&ローで筋肉質なスタイルはそのままに、先に発売となった改良型「メガーヌR.S.」と同様、フロントはバンパー下部のダクトのデザインがいっそうシャープになって、グリルにはクロームのパーツが採用されて輝度を増している。人間というのは、あなたも私も光る物に引かれる。つまり、魅力を増している。「Cシェイプ」と呼ばれるLEDのライトまわりにはストライプが入り、ひと手間増えているのは、最新のルノー各車と同じだ。
リアのウインカーはシーケンシャルタイプとなり、曲がる方向に光が流れる。かつて自転車にもありました。流れるライト! フラッシャー! ルーフにはこれまたクロームのレールが装備され、足元は花弁を思わせる新デザインの18インチホイールでキメている。
「マスキュリン」というのは、女性が男性的な装いをすることを指すファッション用語だそうですけれど、ルノーのデザイナーはおそらく、ファミリーカーのメガーヌで、ジェーン・バーキンみたいなところを狙っている。フレンチシック!!
ダッシュボード中央には7インチのタッチ式スクリーンが装備されていて、スマートフォンのミラーリングももちろん可能だ。
運転モードなどを変えられる「ルノーマルチセンス」を装備しており、パワートレインのモードを、「レギュラー」「スポーツ」「エコ」と切り替えることができる。電動パワーステアリングやエンジンサウンドも任意に選べるけれど、取りあえず、すべてレギュラーにして走るのが、つくり手への敬意でもあり、王道でもあろう。
珠玉のパワートレイン
エンジンは1.3リッターと小排気量ながら、最高出力159PS/5500rpm、最大トルク270N・m/1800rpmを発生する。「ルーテシア」の同型エンジンはそれぞれ131PS/5000rpmと240N・m/1600rpmだから、より高回転型にすることで、さらに28PSと30N・mを得ている。車重1390kgには十分以上で、爽快な加速が楽しめる。7段の湿式デュアルクラッチ式ATとのコンビネーションもあってレスポンシブでもある。排気量に惑わされてはいけない。自然吸気エンジンで言えば、3リッター弱ぐらいの最大トルクをわずか1800rpmで生み出す高効率・高性能ユニットなのだ。
基本的に静粛性の高いユニットでもある。80km/h程度の巡航だと、ロードノイズが目立たない路面では、今回だと圏央道の一部がそれにあたったけれど、まるで電気自動車みたいに静かで、巡航時にはルーフレールが空気を切る音が上からわずかに伝わってくるのみ。
ちなみに100km/h巡航は1800rpmぐらいで、もしも望むなら、そこから軽くアクセルを踏み込むだけで、ダウンシフトすることなく、さらなる加速を手に入れることができる。ぴったり、最大トルクを発生する回転数だからだ。全開にして6500rpm近くまで回してやると、タービンのサウンドか、キーンという高周波の金属音が控えめに聞こえてくる。筆者には、これが高精度の機械だけが発する音に感じられ、思わずニンマリする。
この活発なユニットに加え、筆者がフランスのペティナイフに例えたくなったゆえんのもうひとつがシャシー性能である。プラットフォームは、かのニュルブルクリンク北コースで最速ラップ記録を更新した「メガーヌR.S.」と共用している。実用ワゴンだというのに、もともとR.S.ありきで開発された軽量・高剛性シャシーを基本にしている。
充実の運転支援装備
印象的なのは、ステアリングの正確性だ。225/40R18という偏平タイヤも、いい仕事をしているのだろう。走りだした途端、開口部の大きなワゴンなのに、そのボディーの剛性感の高さに一驚し、交差点を曲がるときのライントレース性のキレキレ具合にハッとする。リンゴの皮がスイスイむけちゃうがごとしの切れ味なのだ。
ブレーキもよく利く。爽快に加速するように、爽快に止まる。高速巡航はとても静かで、乗り心地はいま自分が走っている路面を生き生きと映し出す。
おまけに、アダプティブクルーズコントロール(ACC)やドライバー疲労検知アラート、リアクロストラフィックアラートなどの先進運転支援システムも充実している。
スポーツツアラーはハッチバックよりホイールベースが40mm長くて、オーバーハングは200mm伸びている。おかげで後席居住空間も荷室も広い。荷室側から後席の背もたれを倒すことも簡単にできる。見かけよりも大きな収納能力を持っているところがフランス車に共通する特徴でもある。
早朝に出て撮影を済ませ、銚子に到着したわれわれ取材班は、地物のネタがたっぷりと乗ったイワシ丼やサバ丼を食した。その地でしか味わえない口福。銚子近辺では、ヨーロッパさながらの発電用の風車にもギョッとした。ルノー・メガーヌ スポーツツアラー インテンス。日本にいながらにして、現代フランスの地の物が味わえるのもまた、ひとつの幸福であり、ぜいたくであるにちがいない。
(文=今尾直樹/写真=郡大二郎)
車両データ
ルノー・メガーヌ スポーツツアラー インテンス
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4635×1815×1495mm
ホイールベース:2710mm
車重:1390kg
駆動方式:FF
エンジン:1.3リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ
トランスミッション:7段AT
最高出力:159PS(117kW)/5500rpm
最大トルク:270N・m(27.5kgf・m)/1800rpm
タイヤ:(前)225/40R18 92W XL/(後)225/40R18 92W XL(コンチネンタル・プレミアムコンタクト6)
燃費:16.6km/リッター(WLTCモード)
価格:330万円