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走りも見た目も大きく進化した最新の「ルーテシア」を試す

走りを極めたフルハイブリッド 2025.10.08 走りも楽しむならルノーのフルハイブリッドE-TECH<AD> 渡辺 敏史 ルノーの人気ハッチバック「ルーテシア」の最新モデルが日本に上陸。もちろん内外装の大胆な変化にも注目だが、評判のハイブリッドパワートレインにも改良の手が入り、走りの質感と燃費の両面で進化を遂げているのだ。箱根の山道でも楽しめる。それがルノーのハイブリッドである。

優れた燃費をさらにカイゼン

世界的な自動車技術の電動化トレンドや環境規制の基準強化に準じて、その販売比率を高めているのは電気自動車だけではない。ハイブリッド車もまた、新たな選択肢としてクローズアップされつつある。日本のユーザーにとっては当然の選択肢となって久しいが、欧米の市場では前述のような背景もあり、既存パワートレインの代替手段としての道が開けてきたというのが実情だろう。

さりとて、効率面で日本のハイブリッドパワートレインと肩を並べるのは相当難しい。エンジンとモーター、2つのパワートレインを並立させながらの統合制御は走りの質感にも直結するが、その点においてもノウハウの蓄積がものをいう。

マイナーチェンジが施された新しいルーテシアの燃費は日本のWLTCモード計測値で25.4km/リッターをマークした。初期型の途中から投入された「フルハイブリッドE-TECH」はこのマイナーチェンジを機に、システム最高出力を3PS高めた一方で、燃費を0.2km/リッター伸ばしたことになる。これによって2030年度燃費基準を達成し、エコカー減税率100%の対象車となった。

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新しい「ルノー・ルーテシア」の国内販売は2025年10月9日にスタート。フェイスリフトのレベルを超えた大規模な改良が施されている。
新しい「ルノー・ルーテシア」の国内販売は2025年10月9日にスタート。フェイスリフトのレベルを超えた大規模な改良が施されている。拡大
ドットパターンのグリルとヘッドランプから下に伸びるフィニッシャーが個性を主張するフロントマスク。左右を横断するマットシェルグレーのブレードはモータースポーツに着想を得たという。
ドットパターンのグリルとヘッドランプから下に伸びるフィニッシャーが個性を主張するフロントマスク。左右を横断するマットシェルグレーのブレードはモータースポーツに着想を得たという。拡大
最新モデルでは「エスプリ アルピーヌ フルハイブリッドE-TECH」のモノグレード展開に。フロントフェンダーには「A」マークのバッジが貼られる。
最新モデルでは「エスプリ アルピーヌ フルハイブリッドE-TECH」のモノグレード展開に。フロントフェンダーには「A」マークのバッジが貼られる。拡大
デザイン変更に合わせて17インチアロイホイールも刷新。センターにはルノーロゴとアルピーヌのブルーを組み合わせたカバーが装着される。
デザイン変更に合わせて17インチアロイホイールも刷新。センターにはルノーロゴとアルピーヌのブルーを組み合わせたカバーが装着される。拡大

2つのモーターを備えた独創的なトランスファー

ちなみに25.4km/リッターの燃費は輸入車トップというだけでなく、日本車に照らしてもB~Cセグメント級のハイブリッド車にほど近い。たとえ軽自動車であってもハイトワゴン系では達成が難しいほどシビアなスコアでもある。

それを達成する要となったのが、独創的なトランスファーだ。エンジン側に4段、駆動用モーター側に2段の変速機を備え、それを巧みに組み合わせながらモーターとエンジンの長所を引き出していく。モーター側とエンジン側のギアをドグクラッチで嵌合(かんごう)させる際に用いられるのはスタータージェネレーターの役割も果たすサブモーターで、これがエンジン側の回転合わせなども瞬時に行うことでモーター~エンジン間のトルク変動を抑えて駆動力をスムーズに引き出す仕組みだ。

一方で、減速時には駆動用モーターとともに回生エネルギーを回収するなど仕事をサボらせることはない。トヨタの「THS」はこの複雑で隙のない分担を遊星歯車に担わせるというアイデアが白眉だったが、ルノーのフルハイブリッドE-TECHはそれに準ずる効率的回答をよりシンプルに導いているところが見識だと思う。

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リアコンビランプはクリアタイプに変更し、印象を一新。新しいバンパーにはフロントのブレードと同じマットシェルグレーを使っている。
リアコンビランプはクリアタイプに変更し、印象を一新。新しいバンパーにはフロントのブレードと同じマットシェルグレーを使っている。拡大
インテリアはダッシュボードやドアパネルをグレーのファブリック張りとすることで、スポーティーでありながら高品質なアルピーヌらしい世界観を表現。縦長のセンターディスプレイも新しい。
インテリアはダッシュボードやドアパネルをグレーのファブリック張りとすることで、スポーティーでありながら高品質なアルピーヌらしい世界観を表現。縦長のセンターディスプレイも新しい。拡大
「A」マーク入りの新しいシートは従来型よりもホールド感、座り心地ともによくなった。背もたれ中央のY字模様はアスリートの体幹をイメージしたという。
「A」マーク入りの新しいシートは従来型よりもホールド感、座り心地ともによくなった。背もたれ中央のY字模様はアスリートの体幹をイメージしたという。拡大
青い縁取り付きのシートベルトが乗り込むたびに気分を高めてくれる。
青い縁取り付きのシートベルトが乗り込むたびに気分を高めてくれる。拡大

走りのダイレクト感こそが身上

その勘どころを先に記してしまうと、撮影の都合上、発進停止やアイドル待機が多く、かつ動力性能もチェックするなど、どうしても燃費面では不利になりがちな今回の試乗時での燃費は約20km/リッターだった。以前に前型のルーテシアやSUVの「アルカナ」などで幾度も取材しているフルハイブリッドE-TECHの燃費も、著しい差はないところに収まっている。ハイブリッド慣れした日本にいれば驚くほどの数値ではないかもしれないが、ディーゼルの代替手段を模索する欧州ならば、この燃費は驚きに値すると思う。そういう地域的な温度差もあってか、日本でのフルハイブリッドE-TECHの価格は欧州に対すれば相当頑張ったものになっているらしい。

と、ここまで効率的なことばかりを述べてきたが、クルマ好きにとってのフルハイブリッドE-TECHの本質はそれだけではない。日本のハイブリッドカーに準ずるような燃費を引き出せる一方で、走ればパワートレインと駆動輪とがカチッとつながったダイレクトなドライブフィールを味わえる。それが最大の効能と言っても過言ではないだろう。

コーナーではアクセル操作に対して想像どおりのアウトプットをタイヤに伝えることができるし、駆動力よりも音が先走るような位相ズレにめいることもない。いわゆるハイブリッドカーのラバーバンドフィールというのはユーザーの指摘を受けて年々抑えられつつあるが、やはり恒常的に駆動輪とつながっているか否かの差は大きい。フルハイブリッドE-TECHがドグクラッチに着目したのはまさにその点にあるのだろう。

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1.6リッターの「フルハイブリッドE-TECH」はエンジンのパワーアップに伴いシステム最高出力が143PSにアップ。WLTCモードの燃費も25.4km/リッターへと改善している。
1.6リッターの「フルハイブリッドE-TECH」はエンジンのパワーアップに伴いシステム最高出力が143PSにアップ。WLTCモードの燃費も25.4km/リッターへと改善している。拡大
メーターパネルは10インチのフル液晶タイプに変わった。過度な装飾はなく、ブラックの盤面にブルーのアクセントがキラリと光るアルピーヌらしいテイストだ。
メーターパネルは10インチのフル液晶タイプに変わった。過度な装飾はなく、ブラックの盤面にブルーのアクセントがキラリと光るアルピーヌらしいテイストだ。拡大
ステアリングホイールにはバイオ由来のポリエステル繊維を原料としたテップレザーが巻かれる。素材面からの環境へのアプローチも忘れないルノーだ。
ステアリングホイールにはバイオ由来のポリエステル繊維を原料としたテップレザーが巻かれる。素材面からの環境へのアプローチも忘れないルノーだ。拡大
BOSEのサウンドシステムも標準で装備。9スピーカーによってぜいたくなサウンドを味わえる。
BOSEのサウンドシステムも標準で装備。9スピーカーによってぜいたくなサウンドを味わえる。拡大

アクセル操作に即応するパワートレイン

マイナーチェンジを受けたルーテシアでは、そのフルハイブリッドE-TECHの進化が乗り味としても実感できた。パワートレインの切り替わりの制御がきめ細かくなったことも奏功してだろう、エンジンの始動やドグクラッチの嵌合時の音や振動の変化もよほど注意深く観察していないと気づかないほどになっている。1.2kWhとハイブリッドとしては大きめなバッテリー容量自体に変化はないが、そのマネジメントにも変更を受けて、モーター走行の領域や力感も初期よりもリッチになったようにうかがえる。40~80km/hはモーターとエンジンとが協働する時間が長くなるわけだが、その域でエンジンを加勢するように働くモーターアシストと合わせての力感は、内燃機にして2.5リッター級くらいの貫禄を感じるところだ。それがアクセルの操作ときれいに連動して引き出せる。そこにフルハイブリッドE-TECHのうれしさがある。

新しいルーテシアはエクステリアデザインのみならず、内装の仕立てや質感も引き上げられた。Bセグメント銘柄ながら車格や存在感においてCセグメントに近いものがある。「エスプリ アルピーヌ」はその名のとおり、スポーティネスを前面に押し出したしつらえで、シートのサポートなどもしっかり体を拘束するタイプだが、乗り心地的には時折引き締まった感を伝える程度で、ファミリーカーとしても活躍できる快適さは備わっている。そしてロードホールディングやバウンドの受け止めなどは、フランス車らしさというわれわれの期待に応えてくれることだろう。

環境と引き換えに運転する喜びや操る気持ちよさが痩せてしまっては意味がない。新しいルーテシアの目指すところは、ありふれた日常でさえ過ごす時の豊かさに貪欲な、フランスの人々のマインドと重なるところがあるのかもしれない。

(文=渡辺敏史/写真=郡大二郎)

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国内向けの「フルハイブリッドE-TECH」搭載車は小さいほうから「ルーテシア」「キャプチャー」「アルカナ」の3モデル。ルーテシアは最も軽量かつコンパクトなボディーによるスポーティーな走りが持ち味だ。
国内向けの「フルハイブリッドE-TECH」搭載車は小さいほうから「ルーテシア」「キャプチャー」「アルカナ」の3モデル。ルーテシアは最も軽量かつコンパクトなボディーによるスポーティーな走りが持ち味だ。拡大
縦長のセンターディスプレイは9.3インチの大画面。「Apple CarPlay」もご覧のとおりの見やすさだ。
縦長のセンターディスプレイは9.3インチの大画面。「Apple CarPlay」もご覧のとおりの見やすさだ。拡大
360度カメラシステムも標準で装備する。右側の映像は前方、右側方、後方から選べる。
360度カメラシステムも標準で装備する。右側の映像は前方、右側方、後方から選べる。拡大
ドライブモードは「マイセンス(=ノーマル)」「スポーツ」「エコ」の3タイプ。操舵感や回生ブレーキの強さなどが変化するが、どれを選んでも小気味いい走りが味わえるのは変わらない。
ドライブモードは「マイセンス(=ノーマル)」「スポーツ」「エコ」の3タイプ。操舵感や回生ブレーキの強さなどが変化するが、どれを選んでも小気味いい走りが味わえるのは変わらない。拡大

車両データ

ルノー・ルーテシア エスプリ アルピーヌ フルハイブリッドE-TECH

ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4075×1725×1470mm
ホイールベース:2585mm
車重:1300kg
駆動方式:FF
エンジン:1.6リッター直4 DOHC 16バルブ
モーター:交流同期電動機
トランスミッション:4段AT(エンジン用)+2段AT(モーター用)
エンジン最高出力:94PS(69kW)/5600rpm
エンジン最大トルク:148N・m(15.1kgf・m)/3200pm
メインモーター最高出力:49PS(36kW)/1677-6000rpm
メインモーター最大トルク:205N・m(20.9kgf・m)/200-1677rpm
サブモーター最高出力:20PS(15kW)/2865-1万rpm
サブモーター最大トルク:50N・m(5.1kgf・m)/200-2865rpm
タイヤ:(前)205/45R17 88H XL/(後)205/45R17 88H XL(コンチネンタル・エココンタクト6)
燃費:25.4km/リッター(WLTCモード)
価格:399万円

ルノー・ルーテシア エスプリ アルピーヌ フルハイブリッドE-TECH
ルノー・ルーテシア エスプリ アルピーヌ フルハイブリッドE-TECH拡大
 
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