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第1回:フォード・クーガ(渡辺敏史)

ヘビーユーザーにこそ薦めたい 2016.06.01 「フォード・クーガ」を語り尽くす<PR> 間もなく日本での正規販売が終了となるフォードのミドルサイズSUV「クーガ」。今あらためてこのクルマの実力を検証。2リッターモデルを借り出し、“うるさがた”のユーザーをも魅了するというその走りの出来栄えを確かめた。

返す返す、もったいない

フォードが正式に日本法人を設立したのは1925年。それ以前の日本に輸出されていた時期も含めると、第2次大戦中の接収期間を差し引いても、この地で実に1世紀以上の歴史を紡いだことになる。それを今更とやかく言うことに意味はないが、撤退の重みはわれわれが想像する以上に大きなものだろう。

仕方がないと思いつつも、現状のモデル群の出来栄えを考えると、思わず「もったいない」と口走ってしまう自分の至らなさにはこの際目をつぶっていただきたい。「フィエスタ」や「フォーカス」、このクーガのような欧州系フォードのプロダクトは特に日本の使用環境との親和性も高く、好みが合えば絶好の選択となるはずだ。現実的な話をすれば、現在はいわゆる在庫処分的な状況で、値引きもガッチリ期待できるという。そして詳細は発表されていないが、保証やアフターサービスは従来と同様のものを提供するとフォードは明言している。

とはいえ、最終的には自己責任。そこを踏まえてでも欲しいと思わせる最大の理由は他に類を見ない走りにある。ずどんと据わった直進性とシャープなコーナリングを支えるのは、ずばぬけたロードホールディング性能だ。初代フォーカスのころは、ライバルとは一線を画す運動性能の高さが前面に押し出されていた。以降、モデルチェンジごとに操作系の重さや乗り心地の粗さが改善され、現在のモデル群はタウンスピードでもおおむね快適な乗り心地を供している。

第2回:クーガを見ずしてSUVを選ぶなかれ(高山正寛)
→第3回:“いいクルマ”の典型(森 慶太)

→「フォード・クーガ」オフィシャルサイト

 

「フォード・クーガ」のインテリア。ステアリングホイールとシフトセレクターは全車本革巻きとなる。
「フォード・クーガ」のインテリア。ステアリングホイールとシフトセレクターは全車本革巻きとなる。 拡大
上級グレード「タイタニアム」に装備されるフルレザーシート。
上級グレード「タイタニアム」に装備されるフルレザーシート。 拡大
グレード構成は2種類、1.5リッターターボの「トレンド」と2リッターターボの「タイタニアム」が用意される。
グレード構成は2種類、1.5リッターターボの「トレンド」と2リッターターボの「タイタニアム」が用意される。 拡大

ハンドリングの質はトップレベル

大径タイヤを履くSUVの場合、重いバネ下の抑えこみが難しく、それがブルッとした残響感として車内に伝わることが多いが、クーガの場合、常速域での入力の収まりはすっきりしていて不快にさせられることはない。高速域で大きめなうねりや段差を踏めば多少の濁りは感じるが、この点はより肉厚なタイヤを履く1.5リッターモデルの側はさらにスッキリした乗り心地に仕上がっている。長きにわたって所有するなら、他のタイヤサイズや銘柄を試してみるのも面白い。そうやって、さらに違ったフィーリングを求めてみたいと思うのも、クルマそのものの出来がいいからだ。また、クーガはかつてのフォード銘柄、あるいは先代モデルと比べても、メカニカルノイズや風切り音の類いがしっかり整理されている。長距離ドライブではこの点も疲れの差として表れることだろう。

ハンドリングはこのクラスのSUVとして、間違いなくトップレベルにある。単純なコーナリングスピードもさることながら、注目したいのは運転のつながり感というところだ。近年はマツダもこの項目に注目したクルマ作りに挑んでいるが、欧州フォード系の銘柄はまさに初代フォーカスあたりから、この辺の作り込みがうまかった。

アクセルを抜き、ブレーキを踏み、ステアリングを回して、アクセルを踏む。コーナーを曲がる一連の操作は何も峠道だけのことを指しているわけではない。例えば街角の普通の交差点で、周囲の状況を注視しながらこの操作を行う場合でも、クーガのインターフェイスは何の癖も引っ掛かりも違和感もなくスムーズにこなすことができる。ブレーキの利きは踏力(とうりょく)に対してもストロークに対してもリニアで、操舵(そうだ)も量に応じて線形的にゲインが立ち上がる。アクセルの操作に対する応答の穏やかさは、トルコン式の6段ATを採用していることも大きい要因だろう。そういえばフォーカスも先のマイナーチェンジで中低速域のドライバビリティーを重視して6段ATを採用するに至ったが、これはこれでひとつの見識だと思う。トルコン式の伝達効率が向上している今、何が何でもDCTにこだわる必要もない。

第2回:クーガを見ずしてSUVを選ぶなかれ(高山正寛)
→第3回:“いいクルマ”の典型(森 慶太)

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安全装備としては「タイタニアム」に自動緊急ブレーキを標準装備するほか、全車に横転の危険を抑制する「アンチ・ロールオーバー・ミティゲーション」付きの横滑り防止装置を搭載している。
安全装備としては「タイタニアム」に自動緊急ブレーキを標準装備するほか、全車に横転の危険を抑制する「アンチ・ロールオーバー・ミティゲーション」付きの横滑り防止装置を搭載している。 拡大
足元には「トレンド」「タイタニアム」ともにアルミホイールが標準装備される。「タイタニアム」のタイヤサイズは235/55R18。
足元には「トレンド」「タイタニアム」ともにアルミホイールが標準装備される。「タイタニアム」のタイヤサイズは235/55R18。 拡大
「クーガ」にはブレーキ制御を利用したトルクベクタリング機構が装備される。
「クーガ」にはブレーキ制御を利用したトルクベクタリング機構が装備される。 拡大
トランスミッションには「トレンド」「タイタニアム」ともにトルコン式6段ATが採用される。
トランスミッションには「トレンド」「タイタニアム」ともにトルコン式6段ATが採用される。 拡大

“うるさがた”も認める出来栄え

これらの一連の動作がシームレスにつながるだけでなく、クーガはパワステのアシスト設定やペダル類のバネレートなど、インターフェイスの調律もクルマの反応に対してつじつまが合っている。例えば100km/hの巡航を保持するにあたっては、足首の角度を決めるアクセルのストローク量のみならず自然な踏み込みに対する戻り側の反力も疲れに大きく左右するが、クーガはそのあたりのチューニングも十分合格ラインにあるといえるだろう。

残念ながらオフロード環境を試したことがないので、クーガの四駆の能力に関しては正直なところ未知数ではある。オンロードでの仕事は大抵が黒子レベルではあるだろうが、アクセル操作に対する反応は敏感で、旋回時に後輪側にしっかり駆動力が行き渡っている様子もうかがえた。そういう、アクセルを踏み込んで積極的にコーナーを曲がるような乗り方では多くの場合小さなエンジンの方がその軽快さから好印象となるものだが、クーガの場合は2リッターモデルでも十分に素直で、鼻先の重ったるさを感じることはない。動力性能は余裕綽々(よゆうしゃくしゃく)ゆえ、乗員や荷物を積む機会の多い向きには2リッターモデルがお薦めできる。

仕事仲間であるカメラマンたちは、相当な重さの機材を積んで年に2~3万kmは走るというのが普通だ。ある意味、僕のような仕事よりもクルマに対する要求はよほどシビアである。彼らとの会話の中でこのクーガを含めたフォードのモデルがよく挙がるのも、長距離を疲れず確実にこなせるタフなハコという印象を抱いているからだろう。本気組からも愛される、こういうクルマを購入できる機会が失われるのは、返す返すも残念だ。

(文=渡辺敏史/写真=向後一宏)

第2回:クーガを見ずしてSUVを選ぶなかれ(高山正寛)
→第3回:“いいクルマ”の典型(森 慶太)

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ダート路を走る「クーガ」。駆動システムは全車フルタイム4WDとなっている。
ダート路を走る「クーガ」。駆動システムは全車フルタイム4WDとなっている。 拡大
「タイタニアム」の2リッターターボエンジン。242psの最高出力と35.2kgmの最大トルクを発生する。
「タイタニアム」の2リッターターボエンジン。242psの最高出力と35.2kgmの最大トルクを発生する。 拡大
荷室の容量は406リッター。後席は6:4分割可倒式となっている。
荷室の容量は406リッター。後席は6:4分割可倒式となっている。 拡大
外観では前後のバンパーガードなどでSUVらしい力強さを表現。「トレンド」「タイタニアム」ともにルーフレールが標準装備される。
外観では前後のバンパーガードなどでSUVらしい力強さを表現。「トレンド」「タイタニアム」ともにルーフレールが標準装備される。 拡大

車両データ

フォード・クーガ タイタニアム

ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4540×1840×1705mm
ホイールベース:2690mm
車重:1720kg
駆動方式:4WD
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ
トランスミッション:6AT
最高出力:242ps(178kW)/5500rpm
最大トルク:35.2kgm(345Nm)/2000-4500rpm
タイヤ:(前)235/50R18 101V/(後)235/50R18 101V(コンチネンタル・コンチスポーツコンタクト5)
燃費:10.0km/リッター(JC08モード)
価格:424万円

第2回:クーガを見ずしてSUVを選ぶなかれ(高山正寛)
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フォード・クーガ タイタニアム
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