プレミアムタイヤの賢い選択 飯田裕子がNEXEN N‘FERA SU1を語る
本場が認めたマルチプレイヤー 2023.03.27 2023 Spring webCGタイヤセレクション<AD> 欧州メーカーのクルマを中心に、さまざまな車種に純正装着されるネクセンのタイヤ。その実力はどれほどのものなのか? 心地よさとスポーティネスを併せ持つプレミアムタイヤ「N‘FERA(エヌフィラ)SU1」を、モータージャーナリストの飯田裕子が試した。ポルシェやアウディも純正採用
「ほら、この感じ。いいでしょう? 信号で止まろうとしてブレーキを踏んだときの感触が、本当に好き!」
飯田裕子さんが感嘆したように言葉をもらす。乗っているのは「フォルクスワーゲン・ポロ」。ドイツ車らしい質実剛健なつくりと使い勝手のよさで知られる小型車だ。ただ、飯田さんが話しているのはクルマのことではない。装着したタイヤのネクセン・エヌフィラSU1についての感想である。
「走りだしからすごくなめらかな乗り心地。街なかを30~40km/hくらいで走っていると、若干硬さというか当たりはあるんだけど、それを“当たりっぱなし”にしない。まる~くしてくれるのがいいですね。もちろん、ポロの足もいいんでしょうけど」
装着しているタイヤのサイズは195/55R16。純正で付いてくるタイヤと同じサイズである。
「ヨーロッパのフォルクスワーゲンでは、ネクセンがポロの純正タイヤに採用されているんですよ。だから、マッチングが悪いわけがないんです。厳しい目でタイヤを選ぶことで知られるフォルクスワーゲンがお墨付きを与えているんですね。性能は保証付きです」
ネクセンのタイヤは多くの自動車メーカーに採用されている。新車販売の際に装着されている「OE(Original Equipment)タイヤ」と呼ばれるものだ。日本で手に入れられるエヌフィラSU1は、ヨーロッパのOEタイヤと同一の製品である。
「ネクセンは日本よりヨーロッパで広く認知されているんですね。なにしろ、ポルシェもOEタイヤに採用していますから。ほかにもアウディ、BMW、ルノー、フィアット、三菱など、ネクセンを選んでいるメーカーがたくさんあります」
ネクセンタイヤが創業したのは1942年。80年の歴史を持つ老舗タイヤメーカーだ。現在の社名になったのは2000年で、日本では2016年にネクセンタイヤジャパンが発足し、正規販売が開始された。ヨーロッパや北米で販売を伸ばしており、2020年の売上高は世界ランキング18位である。トラックや自転車などのタイヤも手がけるメーカーが多いなかで、ネクセンは乗用車用のタイヤに特化。ランキング以上の存在感がある。
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あらゆるシーンでストレスフリー
「ポロはもともとスイスイ走るクルマなんですが、エヌフィラSU1は速度を上手に乗せてくれる。サラッと乗れて、しっかり止まれる。ハンドルを切ったら切ったぶんだけ、タイヤが方向を変えてコーナーを曲がっていきます。しかも、それがドライバーにわかりやすいところもいいですね。止まるときも思ったところでピタリと止まれるし、意思疎通が図れるんですよ。普通のドライバーにとっては、なにも考えなくても意のままに運転できることが大事です」
飯田さんがいつも試乗で通ることにしているという、慣れ親しんだ道へ。少し路面が荒れていて、小さなバンプがある。サスペンションやタイヤの動きを知るにはうってつけのコースだ。
「路面のゴツゴツを多少は拾いますね。でも、きれいにいなす。安っぽいガサガサ感がありません。コンフォート系のタイヤだと突き上げを完全にわからないようにするものもあるんですが、私はコミュニケーションがとれないタイヤはあまり好きではないので、ちょうどいいと感じます。バンプを越えたときもスムーズですね。ハンドルの切り始めでは手応えが薄いんですが、スポーツタイヤのようにいきなりゴリッと動くのでは疲れてしまう。街なかではこのぐらいがいいんですよ」
ポロはいい意味で普通のクルマ。尖(とが)ったところはなく、誰でも快適に乗ることができる。エヌフィラSU1もピーキーなところがなく、マイルドで自然な感触だ。相性がいいのも納得である。
「ポロというクルマは、広くユーザーに開かれていますよね。欠点がなく、オールマイティーなんです。エヌフィラSU1も同じで、乗る人や装着するクルマを選ばないと思います。いろんなクルマに幅広くマッチするんじゃないでしょうか。セダンやコンパクトカー、日本のミニバンまでカバーできるタイヤですよね」
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タイヤに宿る“品質第一”の姿勢
高速道路に入ると、エヌフィラSU1の別の面が見えてきた。直進性が高く、しかも静か。巡航していると、この上なく快適である。
「直進性が高いということは、長距離ドライブでも疲れないということです。路面のアンジュレーションを拾って進路が乱されると、常に修正舵をあてなければなりません。エヌフィラSU1ならハンドルに手を添えていればまっすぐ走るので、ストレスフリーです。路面のつなぎ目を通過するときに段差の存在はわかるけど、揺れの収まりはいいし、乗り越え感にも丸みがあります。嫌な揺れがありません。そして、この静粛性! メーカーは特にアピールしていなかったと思うのですが、とても静かですね」
高速性能が高いのは、考えてみれば当然のこと。ドイツではエヌフィラSU1を装着したポロがアウトバーンを200km/hを超えるスピードで走っているのだ。より高い速度域での性能と信頼性が評価されているのだから、日本の高速道路での安定性と安心感は約束されているようなものだ。
「まっすぐ走るのは、タイヤの真円性が高いことを示していると思います。ネクセンの工場は高度にオートメーション化されていて、製造クオリティーが高いんです。不良率がものすごく低いらしいですよ。精緻な工程でしっかり管理しているから、高い品質を保てるんでしょうね」
真円性が高いのは、タイヤの構造がしっかりしているから。大切なのは、ケーシング。良い骨組みの上に良いコンパウンドを適切に使うことが重要なのだ。
「ネクセンは、1987年からミシュランと技術提携して、メイド・イン・コリアのミシュランタイヤを製造していたんですよ。その経験を生かして、ヨーロッパ的な手法でタイヤづくりをしているんです。設備投資には惜しみなくお金を使い、最新鋭の高価な機械を使って製造しているから高品質になります。実は、エヌフィラSU1開発時にベンチマークにしたのは『ミシュラン・パイロットスポーツ』。大メーカーの製品に限りなく近い性能を持ちながら、価格は驚くほどリーズナブルです」
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“走り好き”のアナタにも試してほしい
今回の試乗では試すことはできなかったが、ウエット性能や耐久性、燃費性能も高い。ヨーロッパのラベリングでは高い評価を得ているし、北米のUTQG(Uniform Tyre Quality Grading)でも十分な性能が証明されている。パフォーマンスの高さは確かだが、日本ではまだまだ認知されているとはいえないので、有名メーカーのタイヤと比べれば破格で手に入るのだ。 “松” の性能が“梅”の値段。ネクセンタイヤを選ぶことは、スマートチョイス、つまり賢明な選択ということになる。
「ネクセンは最近モータースポーツにも力を入れていますね。ワンメイクレースの『TGR GR86/BRZ Cup』に4年連続で参戦していますよ。だんだん好成績をあげられるようになってきました。スポーツ性能にも定評があるんです」
ワインディングロードへと向かい、飯田さんは少しペースを上げた。コーナーを抜けると、思わず歓声を上げる。
「本当にいいですよね! 攻めるというほどのスピードで走るわけではないけれど、それでも楽しい。ちゃんと踏ん張りもきくし、コーナーで加速しても横に持っていかれない。スポーツタイヤ系の、マッスル感のあるバスっという感じではなく、サラッとスルッといけちゃうんですよね。ちゃんと接地しているから不安感もありません」
ポロは1リッターエンジンでさほどパワーはないが、ワインディングロードで気持ちよく走れる。街なかでの快適さに加え、スポーツ性能も高いレベルなのだ。
「マッチョなタイヤだと普段からステアリングが重めだったり、低速でハンドルをとられやすかったりします。エヌフィラSU1は日常使いができて、そのうえペースを上げて走るときにもちゃんとサポートしてくれる。ポロとの組み合わせもよくて、コーナーで4輪が接地して、しっかりと上から荷重がかかってグリップしているのがよくわかります。運転好きにとっても、タイヤの素性のよさを感じさせてくれるのがうれしい。ただの万人向けのタイヤじゃないんですよ」
エヌフィラSU1は、日本のフォルクスワーゲンディーラーで取り扱っている。アウディでも販売しているし、カー用品店やタイヤ専門店でも人気の商品になっているのだ。飯田さんも太鼓判を押す。
「高性能で低価格なのは間違いありません。“お、ねだん以上”なんですよ(笑)」
(語り=飯田裕子/文とまとめ=鈴木真人/写真=荒川正幸)
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車両データ
フォルクスワーゲン・ポロTSIスタイル
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4085×1750×1450mm
ホイールベース:2550mm
車重:1160kg
駆動方式:FF
エンジン:1リッター直3 DOHC 12バルブ ターボ
トランスミッション:7段AT
最高出力:95PS(70kW)/5000-5500rpm
最大トルク:175N・m(17.9kgf・m)/1600-3500rpm
タイヤ:(前)195/55R16 91V XL/(後)195/55R16 91V XL(ネクセン・エヌフィラSU1)
燃費:17.1km/リッター(WLTCモード)
価格:324万5000円