ハイブリッドシステムを搭載 新型「ホンダNSX」登場

2016.08.25 自動車ニュース
「ホンダNSX」
「ホンダNSX」

本田技研工業は2016年8月25日、新型「NSX」を発表し、注文の受け付けを開始した。

2015年の北米自動車ショーで世界初公開された新型「NSX」。北米ではアキュラブランドで販売される。
2015年の北米自動車ショーで世界初公開された新型「NSX」。北米ではアキュラブランドで販売される。
生産は、9段DCTや「ツインモーターユニット」などは日本の浜松製作所で、エンジンは米オハイオ州のアンナ工場で、車両の組み立ては同州の「パフォーマンス・マニュファクチュアリング・センター」で行われる。
生産は、9段DCTや「ツインモーターユニット」などは日本の浜松製作所で、エンジンは米オハイオ州のアンナ工場で、車両の組み立ては同州の「パフォーマンス・マニュファクチュアリング・センター」で行われる。
新型「NSX」のインテリア。ピラーの断面形状やサイドミラーの位置、ダッシュボードの形状などを工夫することで、広い視界を確保している。
新型「NSX」のインテリア。ピラーの断面形状やサイドミラーの位置、ダッシュボードの形状などを工夫することで、広い視界を確保している。

■実に11年ぶりのカムバック

ホンダNSXは、ミドシップレイアウトで搭載されたエンジンと、前後3基のモーターによって4輪を駆動する、ハイブリッドシステムを用いた高性能スポーツモデルである。ホンダでは1990年から2005年までにもNSXの車名でミドシップスポーツモデルを販売しており、今回、実に11年ぶりにその名が復活することとなった。

開発に際しては、初代NSXと同じく「ヒューマン・オリエンテッド」(人間中心)の姿勢が貫かれており、動力性能の高さに加えて運転のしやすさ、車内空間の快適さ、優れた安全性などを追求。同時に、ペダル操作に対して応答遅れの少ないモーターならではの特性と、2基の前軸用モーターを用いたトルクベクタリング機能により、エンジンだけを搭載した他のスーパースポーツでは味わえないスロットルレスポンスとコーナリング性能を実現しているという。

なお、同車の開発については日本(栃木)とアメリカ(オハイオ)の両拠点が共同で推進。生産はNSX専用工場として新設された「パフォーマンス・マニュファクチュアリング・センター(PMC)」において、約100人の生産技術者によって行われる。また、日本での販売およびアフターサービスについては、ホンダの販売店「ホンダカーズ」の中でも特別に認定を受けた「NSXパフォーマンスディーラー」が担当。店舗数は43都道府県で133店舗となっている。

ラインナップは標準グレードのみの展開で、価格は2370万円。

「スポーツハイブリッドSH-AWD」のシステム構成。
「スポーツハイブリッドSH-AWD」のシステム構成。
エンジンについては高出力であることと同時にコンパクトであることも重視。ドライサンプ式の潤滑システムの採用により、搭載位置も低く抑えている。
エンジンについては高出力であることと同時にコンパクトであることも重視。ドライサンプ式の潤滑システムの採用により、搭載位置も低く抑えている。
シリンダーについてはライナーを省略し、その代わりに内壁にプラズマで溶かした鉄粉を溶射。鋳鉄製ライナーを使った場合より熱伝導率を約52%高め、約3kgの軽量化を実現した。
シリンダーについてはライナーを省略し、その代わりに内壁にプラズマで溶かした鉄粉を溶射。鋳鉄製ライナーを使った場合より熱伝導率を約52%高め、約3kgの軽量化を実現した。
エンジンをアシストするモーターの出力やトルクは「レジェンド」と同じ。配置をデュアルクラッチ式ATのカウンターシャフト後端からエンジンのクランクシャフト側に変更することで、変速速度の短縮、ターボラグの解消などを実現している。
エンジンをアシストするモーターの出力やトルクは「レジェンド」と同じ。配置をデュアルクラッチ式ATのカウンターシャフト後端からエンジンのクランクシャフト側に変更することで、変速速度の短縮、ターボラグの解消などを実現している。
フロントのツインモーターユニットは、高速走行時でもモーターアシストが可能なように各部を改良。車速がモーターの許容回転域を超える場合は、プラネタリーギアのリングフリー制御によってモーターを保護する。
フロントのツインモーターユニットは、高速走行時でもモーターアシストが可能なように各部を改良。車速がモーターの許容回転域を超える場合は、プラネタリーギアのリングフリー制御によってモーターを保護する。

■システム全体で581psの最高出力を発生

NSXに搭載されるハイブリッドシステム「スポーツハイブリッドSH-AWD」は、主に3.5リッターV6 DOHCツインターボエンジンと、後輪の駆動をアシストするリアモーター、フロントに搭載される「ツインモーターユニット(TMU)」によって構成される。

このうち、エンジンについてはNSX専用に開発されたもので、電動ウェイストゲートバルブや吸排気VVT(連続可変バルブタイミングコントロール機構)、ポート噴射と筒内直接噴射の両方を備えた燃料噴射システム、ターボ車としては高めとなる10.0の圧縮比などにより、507ps(373kW)/6500-7500rpmの最高出力と56.1kgm(550Nm)/2000-6000rpmの最大トルクを実現。ノッキングの発生を抑えるため、大容量の空冷式インタークーラーや、筒内に鉄粒子膜を吹き付けたプラズマ溶射シリンダー、3ピースウオータージャケットシリンダーヘッドなどを用いている。またコンパクトな設計もその特徴で、Vバンク角を一般的な60度ではなく75度とすることで嵩(かさ)を抑えるとともに、ヘッドまわりを小型化するためにスイングアーム式のロッカーアームを採用。ドライサンプ式のオイル循環システムにより、エンジンの搭載高も60mm低めている。

このエンジンをアシストするのが「ダイレクトドライブモーター」と呼ばれるリアモーターで、最高出力48ps(35kW)/3000rpm、最大トルク15.1kgm(148Nm)/500-2000rpmを発生。「レジェンド」などとは異なり、エンジンのターボラグを補うためにクランクシャフトに直結する形で搭載されている。トランスミッションは9段デュアルクラッチ式ATで、高剛性のシフトフォークやダブルコーンシンクロの採用などにより、ライバル車を上回る素早い変速を実現しているという。

一方で、フロントに搭載されるTMUは最高出力37ps(27kW)/4000rpm、最大トルク7.4kgm(73Nm)/0-2000rpmを発生する2つのモーターと、ワンウェイクラッチ、減速機構、減速機構のプラネタリーギアを制御するブレーキからなる。基本的な構造はレジェンドのリアアクスルに使われているものと同じだが、1万5000rpmという高い許容回転数と、よりハイレシオ化された減速機構のギア比により、200km/hまでの車速域でのモーターアシストを実現。アクセルオン時のトルク供給、アクセルオフ時のマイナストルク発生を左右個別に制御することで、高度なトルクベクタリングも可能にしている。

なお、これらを統合したシステム全体の最高出力は581ps(427kW)、最大トルクは65.8kgm(645Nm)/4700rpmとなっている。

フレームにはアルミ材を中心にさまざまな素材を採用。ホンダによると、3次元形状のホットプレス鋼管やアブレーション鋳造によるアルミ材の採用は、自動車生産では世界初とのこと。
フレームにはアルミ材を中心にさまざまな素材を採用。ホンダによると、3次元形状のホットプレス鋼管やアブレーション鋳造によるアルミ材の採用は、自動車生産では世界初とのこと。
フレームと同様、ボディーパネルにも複数の素材を採用。日本仕様ではカーボンルーフは標準装備となる。
フレームと同様、ボディーパネルにも複数の素材を採用。日本仕様ではカーボンルーフは標準装備となる。
左がフロントの、右がリアのサスペンション。バネ下重量を軽減するため、アルミが用いられている。
左がフロントの、右がリアのサスペンション。バネ下重量を軽減するため、アルミが用いられている。

オプションで用意されるカーボンセラミックブレーキディスク。


	オプションで用意されるカーボンセラミックブレーキディスク。
「インテグレーテッドダイナミクスシステム」では、走行モードに応じてメーター内の表示が切り替わる。(写真をクリックすると、走行モードごとの表示が見られます)
「インテグレーテッドダイナミクスシステム」では、走行モードに応じてメーター内の表示が切り替わる。(写真をクリックすると、走行モードごとの表示が見られます)

■使用する箇所に応じて最適な素材を使い分け

パワートレインに加え、NSXでは車両の構造の面でも運動性能が追求されている。車体の骨格は押し出し成形アルミ材を中心とした複合素材によるスペースフレーム構造で、必要に応じて3次元形状のホットプレス鋼管やアブレーション鋳造のアルミ材といった特殊な部材も採用。軽さや曲げ剛性、ねじり剛性の高さだけでなく、優れた衝突安全性も実現しているという。また、ボディーパネルについてもパネル剛性の向上や軽量化、歩行者保護性能向上などのため、アルミやカーボンファイバー、耐熱プラスチックといった複数の部材を使い分けている。

パッケージングに関しても、ガソリンタンクを2つに分けてエンジンの前方に搭載するなど、低重心化、マスの集中、前後重量配分の最適化を目的に主要コンポーネンツの設計やレイアウトを工夫。前後重量配分は42:58となっている。

サスペンションは前後とも総アルミ製で、形式はフロントがダブルウイッシュボーン、リアがマルチリンク。ともにロワアームとアッパーアームをホイールの内側に収めたインホイールタイプで、フロントについてはロワアームをダブルジョイント式とすることでトルクステアの抑制をはかっている。これに組み合わされるダンパーは磁性流体を用いた減衰力可変式で、4輪のストロークセンサーとボディーの3カ所に設けられた加速度センサーによって車体の姿勢をセンシング。状況に応じて、ミリ秒単位で減衰力を調整することができるという。また、操舵(そうだ)機構には可変ギアレシオを用いたデュアルピニオン式の電動パワーステアリングを採用している。

回生ブレーキと摩擦ブレーキを用いた制動機構もNSX独自の設計となっており、制動力の制御についてはペダルの踏み始めではストローク量をセンシングし、踏み込みが増えるにしたがって踏力(とうりょく)のセンシングに切り替えていく独自のシステムを新開発。市街地での低速走行からサーキットでのスポーツドライビングまで、幅広いシチュエーションにおいて優れたコントロール性能を実現しているという。また摩擦ブレーキはブレンボ製で、フロントに6ピストン、リアに4ピストンのアルミモノブロックキャリパーを装備。オプションで約23.5kgの軽量化と優れた耐フェード性能を実現するカーボンセラミックブレーキも用意されている。

さらにNSXには、これらのパワーユニットやドライブトレインを統合制御する「インテグレーテッドダイナミクスシステム」が標準装備される。走行モードは「クワイエット」「スポーツ」「スポーツ+」「トラック」の4種類で、トラックモードにはローンチコントロール機能も備わる。

風洞実験はオハイオ州レイモンドと栃木の風洞施設で行われた。
風洞実験はオハイオ州レイモンドと栃木の風洞施設で行われた。
ラジエーターやインタークーラーといった冷却システムのレイアウト。
ラジエーターやインタークーラーといった冷却システムのレイアウト。
ホイールについては、通常のペイント仕上げに加え、オプションで切削加工やポリッシュ加工のものも用意されている。
ホイールについては、通常のペイント仕上げに加え、オプションで切削加工やポリッシュ加工のものも用意されている。
ボディーカラーは全11色、インテリアカラーは4色を設定。オプションでカーボン装飾パーツも用意されている。
ボディーカラーは全11色、インテリアカラーは4色を設定。オプションでカーボン装飾パーツも用意されている。

■エアロダイナミクスと冷却性能を追求したスタイリング

エクステリアデザインはミドシップ車ならではのキャビンフォワードなスタイリングが特徴で、エアロダイナミクス性能と冷却性能に配慮した設計となっている。

特にエアロダイナミクスに関しては、空気抵抗を最小限に抑えつつ車体の前後に適切にマイナスリフトが発生することを重視。マイナスリフトの配分はフロントが1、リアが3というバランスが最適であるとし、フロントでは冷却用に取り入れた空気をボンネットフードやホイールアーチ後方から放出することで、リアではトランクリッドスポイラーを装着することで、マイナスリフトを発生させている。

さらにボディー下部については、全体をフラット化させることで空気の流速を速めるとともに、負圧によって車体を地面に押し付けるために、リアに独自形状のディフューザーを装着。ボディーを形づくる各パネルや、フローティング式のリアピラー、ドアミラーをはじめとした各構成部材の形状および厚みなど、すべてが空力にのっとったデザインとなっている。

ボディーカラーは全8色。このうち「130Rホワイト」「クルバレッド」「ベルリナ ブラック」の3色は無償で選択可能で、「ノルドグレイ・メタリック」「ソースシルバー・メタリック」「カジノホワイト・パール」の3色が8万5000円の、「バレンシアレッド・パール」と「ヌーベルブルー・パール」の2色が67万円の有償色となっている。一方、インテリアカラーは「エボニー」「オーキッド」「レッド」「サドル」の全4色。オプションで内外装を飾るカーボンファイバー製のパーツや、セミアニリンレザーの電動調整機構付きシートなどが用意されており、またカーボンセラミックブレーキ装着車では、キャリパーの色をブラック、シルバー、レッドの3色から選択することができる。

(webCG)

→新型「ホンダNSX」のより詳しい写真はこちら(その1)
→新型「ホンダNSX」のより詳しい写真はこちら(その2)
→新型「ホンダNSX」のより詳しい写真はこちら(その3)
→関連記事「新型『ホンダNSX』発表会の会場から」

この記事の大きな画像を見るためには、画像ギャラリーをご覧ください。

NSXの他の画像を見るためには、写真一覧をご覧ください。

関連記事
  • ホンダNSX(4WD/9AT)【試乗記】 2016.12.1 試乗記 初代の生産終了から10年あまりの時を経て、ようやく現実のものとなった新型「NSX」。ホンダ渾身(こんしん)のハイブリッド・スーパースポーツの走りと、それを支える技術的ハイライトについて詳しく報告する。
  • レクサスLC500hプロトタイプ(FR/CVT)/LC500プロトタイプ(FR/10AT)【レビュー】NEW 2016.12.9 試乗記 レクサスの新たなラグジュアリークーペ「LC」シリーズにスペインで試乗。新世代のハイブリッドシステムを搭載した「LC500h」と、5リッターV8エンジンを搭載した「LC500」には、それぞれにまったく異なる魅力が宿っていた。
  • メルセデスAMG S63 4MATICカブリオレ(4WD/7AT)【試乗記】 2016.11.28 試乗記 メルセデス・ベンツのトップエンドモデルに、44年ぶりとなる「カブリオレ」が復活。ぜいたくなオープン4シーターが実現する世界とは……? パワフルな5.5リッターV8ツインターボを積む「メルセデスAMG S63 4MATICカブリオレ」で確かめた。
  • トヨタ、「マークX」をマイナーチェンジ 2016.11.22 自動車ニュース トヨタ自動車は2016年11月22日、FRセダン「マークX」にマイナーチェンジを実施し、販売を開始した。“洗練された格好良さと遊び心を両立した大人のスポーティセダン”をテーマとして、フロントを中心にデザインが一新されている。
  • BMW X1 xDrive18d Mスポーツ(4WD/8AT)【試乗記】 2016.12.5 試乗記 「BMW X1」に、ディーゼルエンジンを搭載した4WDモデル「xDrive18d」が追加された。BMW SUVラインナップのエントリーレベルを担うコンパクトモデルの実力を、ガソリンエンジン搭載車に対するアドバンテージとともにリポートする。
ホームへ戻る