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トヨタ・プリウスPHV S“ナビパッケージ”(FF/CVT)/日産ノートe-POWER メダリスト(FF)

電動化への2つの道 2017.05.11 試乗記 外部から充電できるハイブリッド車「トヨタ・プリウスPHV」と、エンジンで発電した電力を使って走る「日産ノートe-POWER」。今が旬のエコカー2台をさまざまな道で乗り比べ、運転感覚や使い勝手の違いを詳しくリポートする。

“モーター付き”のライバル対決

ガチンコ対決第2弾である。前回は「ホンダ・フリード」と「トヨタ・シエンタ」を乗り比べた。どちらもコンパクトミニバンの人気車種で、実際に比較して購入するユーザーも多いだろう。売れ筋を並べてファミリーカーとしての資質をテストするという実用的な記事だった。

今回取り上げるトヨタ・プリウスPHVと日産ノートe-POWERも、ライバルではある。ただ、この2台のどちらを買おうかと迷っている人は、多分いないはずだ。車両本体価格を見ても、プリウスPHVの366万6600円に対しノートe-POWERは224万4240円。大きさも違っていて、まったく違うセグメントに属している。

バイヤーズガイド的な記事にはならないが、比べる意味はある。電動化が進む自動車の中で、この2台は最先端に位置しているからだ。日本ではハイブリッド車(HV)が普及し、当たり前の存在になった。特別な環境車というイメージは薄れている。将来の主流が電気自動車(EV)なのか燃料電池車(FCV)なのか、あるいはほかの道があるのかはわからないが、取りあえずは過渡期をどう乗り切るかが課題となっている。

本命と目されているのがプラグインハイブリッド車(PHV)だ。環境規制の厳しいアメリカのカリフォルニア州では、2018年からHVはエコカーとみなされなくなる。世界的にも同じような流れになっていて、ヨーロッパの各メーカーは続々とPHVを投入している。プリウスは先代モデルにもPHVをラインナップしていたが、販売成績は芳しくなかった。反省を踏まえて作り込んだ自信作が2代目である。

今回試乗した2台のエコカー。写真左は2016年11月に発売された「日産ノートe-POWER メダリスト」で、右は2017年2月発売の「トヨタ・プリウスPHV S“ナビパッケージ”」。
今回試乗した2台のエコカー。写真左は2016年11月に発売された「日産ノートe-POWER メダリスト」で、右は2017年2月発売の「トヨタ・プリウスPHV S“ナビパッケージ”」。拡大
テスト車の「ノートe-POWER」は、「メダリスト」と名付けられた上級グレード。メッキバンパーをはじめ、専用のエクステリアが与えられている。
テスト車の「ノートe-POWER」は、「メダリスト」と名付けられた上級グレード。メッキバンパーをはじめ、専用のエクステリアが与えられている。拡大
「プリウスPHV」のリアビュー。ノーマルの「プリウス」と大きく異なるデザインを採用することで、差別化が図られている。
「プリウスPHV」のリアビュー。ノーマルの「プリウス」と大きく異なるデザインを採用することで、差別化が図られている。拡大
1.8リッター直4エンジンをモーターがアシストする「プリウスPHV」のハイブリッドユニット。JC08モードの燃費値は、グレードにより37.2km/リッターまたは30.8km/リッター。
1.8リッター直4エンジンをモーターがアシストする「プリウスPHV」のハイブリッドユニット。JC08モードの燃費値は、グレードにより37.2km/リッターまたは30.8km/リッター。拡大
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対照的なトヨタと日産

HV路線を突き進んだトヨタに対し、日産はEVで勝負に出た。2010年に発売した「リーフ」は、「三菱i-MiEV」と並ぶ量産EVのパイオニアである。2016年に累計販売台数が20万台を超えたが、当初のもくろみほどには売れていない。高価格や航続距離の短さが懸念され、爆発的なEVシフトを起こすには至らなかった。

課題を解決するために投入されたのがノートe-POWERである。リーフと同様に駆動はモーターが担当するが、電気を供給するのはエンジンによる発電だ。要するに、シリーズ式HVである。エンジンとモーターの協働で走らせるプリウスのような複雑なシステムではなく、至ってシンプルだ。特に新しい技術ではないが、ブラッシュアップすることで高い商品性を得た。

電動化について、トヨタと日産はこれまで対照的な道筋をたどってきた。未来に向けて選んだ現時点でのソリューションも異なっている。トヨタはHVの先にある次世代環境車の柱にPHVを据えた。日産はEVが普及する条件が整う前にユーザーが求めるのは、よりシンプルなHVだと考えている。乗り比べれば、エコカーに関する両社の方針の違いが見えてくるはずだ。

2日に分けて、1台ずつほぼ同じコースを走った。東京から東名高速と小田原厚木道路で箱根に向かい、ワインディングロードを走った後にまた高速道路で戻る。燃費計測を行ったが、天候などの条件が異なるので厳密な比較ではないことをお断りしておく。

「ノートe-POWER」には、写真のギャラクシーゴールドを含む、計10色のボディーカラーが用意される。
「ノートe-POWER」には、写真のギャラクシーゴールドを含む、計10色のボディーカラーが用意される。拡大
「ノートe-POWER」では。1.2リッター直3エンジンは発電のみを行い、その電力を元にモーターが前輪を駆動する。
「ノートe-POWER」では。1.2リッター直3エンジンは発電のみを行い、その電力を元にモーターが前輪を駆動する。拡大
「ノートe-POWER」のインテリア。「プリウスPHV」よりも、オーソドックスな造形となっている。
「ノートe-POWER」のインテリア。「プリウスPHV」よりも、オーソドックスな造形となっている。拡大
「プリウスPHV」(写真手前)は、加速時に標準のモーターに加えてジェネレーターからも動力が得られる「デュアルモータードライブシステム」を搭載する。 
「プリウスPHV」(写真手前)は、加速時に標準のモーターに加えてジェネレーターからも動力が得られる「デュアルモータードライブシステム」を搭載する。 拡大

走らせ方を選べるプリウス

プリウスPHVには以前にも2回乗っている。最初はサーキットでの試乗で、2度目は限られた時間の試乗会だった。68.2kmに延びたEV走行距離を使い切るには至っていない。満充電、ガソリン満タンからどこまで走れるかを試すのは初めてである。システムを始動させると、メーターに示されたEV走行可能距離は56kmだった。カタログの数値より低いが、ほかのEVでも同様の現象が見られる。条件によって変動するのが普通らしい。ガソリンの残存量は890km分だった。

システムを始動させると、EVモードとECOモードの組み合わせになる。これがデフォルトの設定のようだ。PHVは夜間に充電して近距離はEVとして走ることが想定されているので、納得できる設定である。そのまま電池を使い切るまで走ろうかとも思ったが、長距離ドライブなのでできるだけ電池を温存することにした。EVボタンを押してHVモードに変える。この状態でも主にモーターを使って走るのは、HVの「プリウス」と同様である。

高速道路では基本的にECOモードで走った。特に急ぐのでなければ、動力性能は十分である。巡航では室内の静粛性は高く、エンジンがかかっても気になるほどのノイズは生じない。メーターを見るとEV航続距離は少しずつ減っていったが、40kmほどで下げ止まった。加速すると数値は下がるが、減速時には回復し、ほぼ同じ数字をキープする。車載燃費計が示す平均燃費は常に30km/リッターを上回っていた。

料金所からの加速や追い越しは、ECOモードでは少々重ったるい。キビキビ走りたい時は、POWERモードを選ぶとレスポンスが劇的に向上する。アクセルを踏み込むとエンジンが盛大に回って駆動力を供給し始めるのだ。大きな排気音も聞こえてきて、このクルマが内燃機関をベースにして成り立っていることをあらためて実感する。

高速道路を行く「プリウスPHV」。モーター駆動だけで走るEVモードは、最高135km/hまでの速度域で使用可能。
高速道路を行く「プリウスPHV」。モーター駆動だけで走るEVモードは、最高135km/hまでの速度域で使用可能。拡大
「プリウスPHV」のインテリア。ダッシュボード中央の天地に薄いメーターや、センターコンソールの11.6インチ縦型モニターが特徴的。
「プリウスPHV」のインテリア。ダッシュボード中央の天地に薄いメーターや、センターコンソールの11.6インチ縦型モニターが特徴的。拡大
「プリウスPHV」のシフト操作は、「プリウス」と同じバイワイヤ方式。シフトセレクターの左側には、走行モードの選択スイッチが並ぶ。
「プリウスPHV」のシフト操作は、「プリウス」と同じバイワイヤ方式。シフトセレクターの左側には、走行モードの選択スイッチが並ぶ。拡大
カラー液晶ディスプレイを用いた「プリウスPHV」のメーターパネル。燃費データをはじめ、さまざまな車両情報が表示される。
カラー液晶ディスプレイを用いた「プリウスPHV」のメーターパネル。燃費データをはじめ、さまざまな車両情報が表示される。拡大

価格に見合う高級感

ワインディングロードで楽しいのは、EVモードとPOWERモードの組み合わせだ。コーナーの立ち上がりは電気モーターの得意とするところで、音もなく鋭い加速を見せる。モーターならではの感覚だ。サーキットでも通用するシャシー性能が、スポーティーな走りを演出する。上り坂を飛ばすと電池の消耗が激しいので、延々とEV走行を続けるわけにはいかない。そこでHVモードに切り替えると勇ましいエンジン音が響き、ガソリンエンジン車と似た感覚が味わえる。こちらのほうが好みに合うという人もいるだろう。

穏やかに走っている分には、山道でも電池の残量はあまり減らない。回生ブレーキの性能は高く、コツをつかめば減速時に残量を増やすことも可能だ。ブレーキひと踏みで0.2~0.3km回復することもある。下り坂でジェネレーターをフルに働かせると、上りで消費した電力の半分くらいは取り戻せた。

再び高速道路を走り、サービスエリアで充電することにした。走った距離は141.3kmで、電池残量は31km分である。ガソリン残量は、806km分にまで減少していた。プリウスPHVは100Vや200Vの家庭用電源で充電するほかに、CHAdeMO規格の急速充電にも対応している。充電器の画面では、電池の残量は75%ほどの表示だった。最大で30分間充電することができる設定だが、6分5秒で終了。急速充電では満充電にはできない。充電量は1.7kWhで、電池残量は46.1km分にまで回復していた。

プリウスPHVは日常的にEVとして使用することで最大のメリットが発揮される。その上で、安心して長距離ドライブに出掛けられることが魅力だ。HV性能も高く、重いバッテリーを積んでいるとは思えない好燃費をたたき出す。車体の重さは重厚な走りにつながっていて、HV版プリウスをしのぐ高級感がある。価格差を超えるプラスアルファを持っていると言っていい。

PHVならではの上質な乗り味に感心したが、ノートe-POWERに乗り換えるとまた別の世界が広がっていた。
後編につづく

(文=鈴木真人/写真=田村 弥/編集=関 顕也)

光沢フィルムを織り込んだ専用の表皮が採用された、「プリウスPHV」のファブリックシート。前席には、シートヒーターが標準で備わる。
光沢フィルムを織り込んだ専用の表皮が採用された、「プリウスPHV」のファブリックシート。前席には、シートヒーターが標準で備わる。拡大
「プリウスPHV」には、ドライブや車両の管理に役立つ専用のアプリケーションが用意される。
「プリウスPHV」には、ドライブや車両の管理に役立つ専用のアプリケーションが用意される。拡大
「プリウスPHV」の車体右側後部にある給電口。普通充電用(写真左)と急速充電用(同右)の2タイプが用意される。
「プリウスPHV」の車体右側後部にある給電口。普通充電用(写真左)と急速充電用(同右)の2タイプが用意される。拡大
「プリウスPHV」の荷室後端には、充電ケーブルの収納スペースが確保される。
「プリウスPHV」の荷室後端には、充電ケーブルの収納スペースが確保される。拡大
「プリウスPHV S“ナビパッケージ”」(写真左)と「ノートe-POWER メダリスト」(同右)。今回は、高速道路からワインディングロードまで走らせ、各車の特徴を確かめた。
「プリウスPHV S“ナビパッケージ”」(写真左)と「ノートe-POWER メダリスト」(同右)。今回は、高速道路からワインディングロードまで走らせ、各車の特徴を確かめた。拡大
トヨタ・プリウスPHV S“ナビパッケージ”
トヨタ・プリウスPHV S“ナビパッケージ”拡大
オプションの「アクセサリーコンセント」を選択したテスト車は、荷室の左側面(写真)とセンターコンソールの後端に、外部給電用のコンセントが備わる。
オプションの「アクセサリーコンセント」を選択したテスト車は、荷室の左側面(写真)とセンターコンソールの後端に、外部給電用のコンセントが備わる。拡大
「プリウスPHV」の後席は2人掛け。左右座席間には小物入れが設けられている。
「プリウスPHV」の後席は2人掛け。左右座席間には小物入れが設けられている。拡大
荷室の容量は360~1200リッター。「プリウスPHV」の場合、フロアの高さは、ハイブリッド車の「プリウス」に比べて約7cm高くなっている。(写真をクリックすると荷室のアレンジが見られます)
荷室の容量は360~1200リッター。「プリウスPHV」の場合、フロアの高さは、ハイブリッド車の「プリウス」に比べて約7cm高くなっている。(写真をクリックすると荷室のアレンジが見られます)拡大

テスト車のデータ

トヨタ・プリウスPHV S“ナビパッケージ”

ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4645×1760×1470mm
ホイールベース:2700mm
車重:1530kg
駆動方式:FF
エンジン:1.8リッター直4 DOHC 16バルブ
モーター:交流同期電動機
トランスミッション:CVT
エンジン最高出力:98ps(72kW)/5200rpm
エンジン最大トルク:142Nm(14.5kgm)/3600rpm
モーター(1MN)最高出力:72ps(53kW)
モーター(1MN)最大トルク:163Nm(16.6kgm)
モーター(1SM)最高出力:31ps(23kW)
モーター(1SM)最大トルク:40Nm(4.1kgm)
タイヤ:(前)195/65R15 91S/(後)195/65R15 91S(ブリヂストン・エコピアEP150)
燃費:37.2km/リッター(ハイブリッド燃料消費率、JC08モード)
価格:366万6600円/テスト車=383万2920円
オプション装備:ITS Connect(2万7000円)/アクセサリーコンセント<AC100V・1500W、コンセント2/ビークルパワーコネクター付き>(7万5600円)/ETC 2.0ユニット(2万7000円) ※以下、販売店オプション フロアマット<ラグジュアリータイプ>(3万6720円)

テスト車の年式:2017年型
テスト開始時の走行距離:3311km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2)/高速道路(7)/山岳路(1)
テスト距離:379.0km
使用燃料:11.8リッター(レギュラーガソリン)
参考燃費:32.1km/リッター(満タン法)/32.9km/リッター(車載燃費計計測値)

日産ノートe-POWER メダリスト
日産ノートe-POWER メダリスト拡大
フロントグリルには、エコカーの象徴としてブルーのアクセントカラーが添えられる。
フロントグリルには、エコカーの象徴としてブルーのアクセントカラーが添えられる。拡大
「ノートe-POWER メダリスト」の15インチアルミホイール。タイヤは「ブリヂストンB250」が組み合わされていた。
「ノートe-POWER メダリスト」の15インチアルミホイール。タイヤは「ブリヂストンB250」が組み合わされていた。拡大
テスト車には、荷室空間を仕切ったりフロア高を変化させたりすることで積載時の利便性を高める、オプションの「マルチラゲッジボード」が備わっていた。
テスト車には、荷室空間を仕切ったりフロア高を変化させたりすることで積載時の利便性を高める、オプションの「マルチラゲッジボード」が備わっていた。拡大

日産ノートe-POWER メダリスト

ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4100×1695×1520mm
ホイールベース:2600mm
車重:1220kg
駆動方式:FF
エンジン:1.2リッター直3 DOHC 12バルブ
モーター:交流同期電動機
エンジン最高出力:79ps(58kW)/5400rpm
エンジン最大トルク:103Nm(10.5kgm)/3600-5200rpm
モーター最高出力:109ps(80kW)/3008-10000rpm
モーター最大トルク:254Nm(25.9kgm)/0-3008rpm
タイヤ:(前)185/65R15 88S/(後)185/65R15 88S(ブリヂストンB250)
燃費:34.0km/リッター(JC08モード)
価格:224万4240円/テスト車=286万2689円
オプション装備:日産オリジナルナビ取り付けパッケージ<ステアリングスイッチ+リア2スピーカー+GPSアンテナ+TVアンテナ+TVアンテナ用ハーネス>(2万7000円)/特別塗装色<ギャラクシーゴールド>(3万7800円)/SRSカーテンエアバッグシステム(4万8600円)/インテリジェントアラウンドビューモニター<移動物 検知機能付き>+スマート・ルームミラー<インテリジェントアラウンドビューモニター表示機能付き>+踏み間違い衝突防止アシスト+フロント&バックソナー(9万7200円)/プレミアムホワイトインテリアパッケージ(5万4000円)/PTC素子ヒーター+リアヒーターダクト+高濃度不凍液(1万4040円) ※以下、販売店オプション ETCユニット 日産オリジナルナビ連動モデル MM516D-W、MM316D-W用<SRSカーテンエアバッグシステム付き車用>(2万6179円)/日産オリジナルナビ取り付けパッケージ付き車用 MM516D-W(21万8667円)/デュアルカーペット<ブラック>e-POWER車およびe-POWER寒冷地仕様車用(2万4300円)/マルチラゲッジボード(2万7052円)/ルーフスポイラー<ギャラクシーゴールド>(4万3611円)

テスト車の年式:2017年型
テスト開始時の走行距離:7672km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2)/高速道路(7)/山岳路(1)
テスト距離:368.7km
使用燃料:21.5リッター(レギュラーガソリン)
参考燃費:17.1km/リッター(満タン法)/21.1km/リッター(車載燃費計計測値)

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プリウスPHVノートトヨタ日産試乗記

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