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モデューロの歴史を彩る新旧3台を比較試乗

受け継がれる哲学 2018.12.21 Moduloの25年史<PR> ホンダの純正カスタマイズブランド、Modulo(モデューロ)のコンプリートカー「ホンダS660モデューロX」に試乗。モデューロの用品を取り付けた「ビート」や初代「NSX」との比較なども通して、このブランドの特徴と、今日に受け継がれる走りの思想を探った。

コンプリートカーも手がける純正カスタマイズブランド

「モデューロ」という名称をご存じだろうか? ホンダの100%子会社である、ホンダアクセスが展開する純正カスタマイズアイテムのブランドである。1994年にローンチされたアルミホイールブランドを起源とし、その後は独自デザインのエアロパーツやスポーツサスペンションなどにも手を広げつつ、その歴史は間もなく四半世紀に及ぼうとしている。

そんなモデューロの作品で、当初から今に至るまで一貫している特徴は、「タイヤのポテンシャルを最大限に引き出すホイール」や「運転がうまくなったという感動を与えるサスペンション」など、ベースモデルに対してより高いパフォーマンスと、さらに上質な乗り味を追求している点にある。

そうした考え方は、他では「見た目のドレスアップこそが最大の目的」とされがちなボディーキットに関しても当てはまる。単なるコスメティックの変更にはとどまらず、必ず機能性の向上を伴っているところが大きな特徴だ。“自動車メーカー直系”というメリットを生かし、ホンダ所有の風洞実験設備やテストコースを活用することで、接地性のアップや姿勢の制御といったボディーキット本来の、すなわち“空力パーツ”としての機能向上を実現している。この点が、他の多くのアフターパーツメーカーの作品とは一線を画した、このブランドのボディーキットならではの見どころと評していい。

このように、長らく“優れた機能パーツのブランド”として存在感が光っていたモデューロだが、最近ではその発展形ともいえる「モデューロX」の高評価も見逃せない。こちらはズバリ、ベースであるホンダ車と並行して販売される“特別なコンプリートカー”である。すなわちモデューロとは、もはや単なる用品にとどまらず、新車販売も行う総合的なファインチューニングブランドに進化を遂げているのだ。

→コンプリートカー「Modulo X」の詳細はこちら

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神奈川・箱根のワインディングロードを行く「ホンダS660モデューロX」。モデューロとはホンダアクセスが手がけるホンダの純正カスタマイズブランドで、2019年で誕生25周年を迎える。
神奈川・箱根のワインディングロードを行く「ホンダS660モデューロX」。モデューロとはホンダアクセスが手がけるホンダの純正カスタマイズブランドで、2019年で誕生25周年を迎える。拡大
「S660モデューロX」に装着されるステルスブラック塗装の8スポークアルミホイール。モデューロの歴史は、1994年にリリースされたアルミホイールのブランドを起源としている。
「S660モデューロX」に装着されるステルスブラック塗装の8スポークアルミホイール。モデューロの歴史は、1994年にリリースされたアルミホイールのブランドを起源としている。拡大
「モデューロX」とはホンダアクセスが手がけるコンプリートカーであり、専用に開発されたカスタマイズパーツを生産ラインで組み込んでいる。
「モデューロX」とはホンダアクセスが手がけるコンプリートカーであり、専用に開発されたカスタマイズパーツを生産ラインで組み込んでいる。拡大
リアに装着された「Modulo X」のバッジ。現在「モデューロX」は、今回試乗した「S660」と、「フリード」「ステップワゴン」の、計3車種にラインナップされている。
リアに装着された「Modulo X」のバッジ。現在「モデューロX」は、今回試乗した「S660」と、「フリード」「ステップワゴン」の、計3車種にラインナップされている。拡大

このプライスタグにも納得できる

このような、モデューロならではの特徴が最大限に生かされたコンプリートカーの第5弾となる作、それが、2018年7月に発売されてからまだ間もないS660モデューロXだ。

日本自動車界の至宝ともいうべき軽規格のミドシップスポーツカー「S660」をベースとしながら、専用チューニングが施されたサスペンションやドリルドディスクローター+スポーツパッドからなるブレーキシステム、S660の車体剛性にマッチさせた前後異径ホイールなどを採用……といったポイントは、実は用品としてモデューロが用意するアイテムを標準仕様のS660に積み重ねていっても、おおむね実現可能ではある。ただし、当初からそうしたアイテムが標準で組み込まれたモデューロXに比べると、こちらはオリジナルパーツとの交換になるゆえに割高となってしまうことが避けられない。

そもそもLEDフォグランプを内蔵したグリル一体型の専用フロントバンパーや、後端部にガーニーフラップを備えた専用アクティブスポイラー、専用ロゴ入りのスポーツシートやツートンカラーの専用ステアリングホイールなど、コンプリートカーならではのコーディネートにこだわって仕上げられたモデューロXのみの装備も少なくないのだ。

MT仕様/CVT仕様で同一の285万0120円という価格設定は、軽自動車というカテゴリーで考えれば「飛び切りの高さ」ということになるだろうが、その内容の充実ぶりを考慮すれば、実は「むしろ割安」との見方もできる。そして何より、走りの実力を味わったときには「なるほどこれなら決して高価とは言い切れないナ」と納得させられてしまう。S660モデューロXは、軽自動車うんぬんという話題は別にして、世界屈指のウルトラコンパクトなスポーツカーとして、何とも留飲の下がる本格的な走りを見せてくれるのである。

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軽規格のミドシップスポーツカー「S660」をベースとした「S660モデューロX」。「真のスポーツドライビングの喜び」というコンセプトのもとに開発され、2018年7月に発売された。
軽規格のミドシップスポーツカー「S660」をベースとした「S660モデューロX」。「真のスポーツドライビングの喜び」というコンセプトのもとに開発され、2018年7月に発売された。拡大
LEDフォグランプ付きのグリル一体型フロントバンパー。「モデューロX」専用の品で、個別で購入できるモデューロのフロントフェイスキットとはデザインが異なっている。
LEDフォグランプ付きのグリル一体型フロントバンパー。「モデューロX」専用の品で、個別で購入できるモデューロのフロントフェイスキットとはデザインが異なっている。拡大
「Modulo X」のロゴが刺しゅうされた、本革とラックススエードのコンビシート。ボルドーレッドとブラックのツートンカラーが目を引く。
「Modulo X」のロゴが刺しゅうされた、本革とラックススエードのコンビシート。ボルドーレッドとブラックのツートンカラーが目を引く。拡大
「S660モデューロX」の価格は285万0120円。軽自動車としては高値だが、装備される用品や、開発の手間を思えば、むしろ割安とさえ思えてしまう。
「S660モデューロX」の価格は285万0120円。軽自動車としては高値だが、装備される用品や、開発の手間を思えば、むしろ割安とさえ思えてしまう。拡大

優れた接地性と快適な乗り心地を両立

そんなS660モデューロXの走りにおける唯一ともいうべき“残念賞”なポイントは、実はその動力性能にある。せっかくターボチャージャーで武装したエンジンを搭載するにも関わらず、その最高出力は、旧態依然たる自主規制によってわずか64psに抑えられている。MT仕様の場合は「高回転まで回す楽しさを高めるべく、CVT仕様の7000rpmに対して許容回転数を7700rpmまでアップ!」と紹介されているものの、そもそも7000rpmの手前にしてすでに回転上昇の頭打ち感が激しい。「64psを超えないよう、意図的にパワーの伸びを抑えている」という印象がとても強いのだ。

一方で、そんな理不尽(?)なポイントに目をつぶってしまえば、念入りにセッティングされた足まわりはさまざまな路面の凹凸に見事なまでに追従し、結果として常に優れた接地性と望外なまでのしなやかな乗り心地を両立させている。

2.3mに満たないホイールベースに起因する、せわしないピッチモーションだけは避け難いものの、それでも乗り味は「軽自動車で随一」と評しても決して大げさには過ぎない。同時に、ミドシップならではのヨー慣性モーメントの小ささや低重心がより徹底されたような感覚もあり、黒子的に動作する“ブレーキ片利き”を用いたベクタリング機能などとも相まったゴキゲンでダイナミックなハンドリングは、「これが日本専用モデルであるとは、何とももったいないナ」とさえ思えてしまうほどだ。

また、ベース車では速度が高まると前傾姿勢が強くなり過ぎるという解析の結果を踏まえ、エアロパーツ類にはそうした挙動を是正するためのチューニングが盛り込まれている。これらのパーツはオリジナルをさらにしのぐスタイリッシュな仕上がりも特徴で、S660モデューロXのボディーキットはまさに、“機能美”という表現がふさわしいカッコ良さも手に入れているというわけだ。

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空力については、走行時に車体が浮き上がるような挙動を抑えるべく、リフトバランスをブラッシュアップ。タイヤの接地性向上を実現している。
空力については、走行時に車体が浮き上がるような挙動を抑えるべく、リフトバランスをブラッシュアップ。タイヤの接地性向上を実現している。拡大
サスペンションは5段階の減衰力調整機構付き。限界領域でのコントロール性の高さと、常用域でのしなやかで上質な乗り心地が追求されている。
サスペンションは5段階の減衰力調整機構付き。限界領域でのコントロール性の高さと、常用域でのしなやかで上質な乗り心地が追求されている。拡大
「S660モデューロX」のリアまわり。車速に応じて自動で昇降するアクティブスポイラーには、専用フロントバンパーの空力特性に合わせてガーニーフラップが装着された。
「S660モデューロX」のリアまわり。車速に応じて自動で昇降するアクティブスポイラーには、専用フロントバンパーの空力特性に合わせてガーニーフラップが装着された。拡大
ブレーキには放熱性や摩擦粉の除去に優れたディスクローターと、コントロール性のよさと耐フェード性の高さを重視したブレーキパッドを採用。スポーティーな走行を安心して楽しめる。
ブレーキには放熱性や摩擦粉の除去に優れたディスクローターと、コントロール性のよさと耐フェード性の高さを重視したブレーキパッドを採用。スポーティーな走行を安心して楽しめる。拡大

走りの根底に宿る不変の哲学

このように、まさに“世界一小さなスーパースポーツカー”という表現がふさわしく感じられるS660モデューロX。カタログ上で「走りのこだわりを貫く、もうひとつのS660」と紹介されるこのクルマに触れると、その系譜として紹介してもあながち的外れとはならなそうな2つのホンダ製ミドシップモデルが存在していた事を思い出す。

ひとつは、軽自動車の全長/全幅規定に現在より厳しい制約のあった、1991年に登場したビートというモデル。もうひとつは、世界のスーパースポーツカーと肩を並べるべく、ニュルブルクリンク北コースを模したテストコースや専用の工場まで造らせて1990年に誕生したピュアスポーツカー、初代NSXだ。

実はモデューロは、そんな歴史に残る2つのミッドシップモデルに対し、いずれもその生誕から20年という節目のタイミングで、専用のアイテムをリリースした過去がある。大切に乗り続けているオーナーへの感謝も込めて特別に提供されたアイテムは、ビートではサスペンションやフューエルリッド、エンブレム、NSXではサスペンションとドライカーボン製のトランクスポイラーだった。実は今回の取材では、今ではNSX用サスペンションを除き絶版となったこれらのアイテムを装着した、貴重な2モデルにも同行を願うことができた。

最新のS660モデューロXを交えての、時空を超えた3台の共演。そこから教えられ、驚かされることになったのは、モデューロというブランドの狙いどころが昔も今も決してブレていないという事実だった。実際の収縮より大きなストローク感があり、しなやかに動くビートの脚は、確かにS660モデューロXに通じる素晴らしい快適性を備えていた。ミドシップならではのトラクション能力の高さやブレーキング時の優れたバランス感覚は残しつつ、シャープなハンドリング感覚とクルージング時の高い安定感を実現させたNSXの走りも、ボディーのサイズや搭載エンジンのスペックはまるで違えども、やはりS660モデューロXに脈々と受け継がれているように感じられたのだ。

メーカーの息が掛かったことを売り物とするチューニングブランドは数々あれど、ここまで一本筋の通った仕上がりの作を送り出すメーカーは珍しい。それを見事に実現させているところに、モデューロならではの走りのフィロソフィーを実感させられるのである。

(文=河村康彦/写真=郡大二郎)

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1990年代に活躍した「ビート」は、「S660」と同じ軽規格のミドシップスポーツカー。今でも根強い人気を誇っている。
1990年代に活躍した「ビート」は、「S660」と同じ軽規格のミドシップスポーツカー。今でも根強い人気を誇っている。拡大
「ビート」が発売20周年を迎えた2011年には、同車用のスポーツサスペンションやフューエルリッド、エンブレム、フロアカーペットマット、サウンドコンポ、スピーカー、ハーフボディーカバーなどが数量限定で販売された。
「ビート」が発売20周年を迎えた2011年には、同車用のスポーツサスペンションやフューエルリッド、エンブレム、フロアカーペットマット、サウンドコンポ、スピーカー、ハーフボディーカバーなどが数量限定で販売された。拡大
総アルミ製のボディーに3リッターもしくは3.2リッターのV6エンジンを搭載したミドシップスポーツカー「NSX」。モータースポーツでも大いに活躍した。
総アルミ製のボディーに3リッターもしくは3.2リッターのV6エンジンを搭載したミドシップスポーツカー「NSX」。モータースポーツでも大いに活躍した。拡大
リアに装着されたドライカーボン製のトランクスポイラー。「NSX」の誕生20周年に際しては、このスポイラーに加えて5段階の減衰力調整機構付きスポーツサスペンションも販売された。
リアに装着されたドライカーボン製のトランクスポイラー。「NSX」の誕生20周年に際しては、このスポイラーに加えて5段階の減衰力調整機構付きスポーツサスペンションも販売された。拡大
モデューロの用品が装着された「NSX」と「ビート」には、今日の「S660モデューロX」に通じる走りの特性が確かに感じられた。
モデューロの用品が装着された「NSX」と「ビート」には、今日の「S660モデューロX」に通じる走りの特性が確かに感じられた。拡大
ホンダS660モデューロX
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車両データ

ホンダS660モデューロX

ボディーサイズ:全長×全幅×全高=3395×1475×1180mm
ホイールベース:2285mm
車重:830kg
駆動方式:MR
エンジン:0.66リッター直3 DOHC 12バルブ ターボ
トランスミッション:6段MT
最高出力:64ps(47kW)/6000rpm
最大トルク:104Nm(10.6kgm)/2600rpm
タイヤ:(前)165/55R15 75V/(後)195/45R16 80W(ヨコハマ・アドバン ネオバAD08R)
燃費:21.2km/リッター(JC08モード)
価格:285万0120円

【装着部品】

  • S660専用スカイサウンド インターナビVXU-192SSi(21万3840円)
  • スカイサウンド インターナビ取り付けアタッチメント(4320円)
  • 発話型ETC 2.0車載器(GPS付き/アンテナ分離型)(2万7000円)
  • 発話型ETC 2.0車載器 取り付けアタッチメント(4320円)
ホンダ・ビート モデューロパーツ装着車(1991年型)
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ホンダ・ビート モデューロパーツ装着車(1991年型)

ボディーサイズ:全長×全幅×全高=3295×1395×1175mm
ホイールベース:2280mm
車重:760kg
駆動方式:MR
エンジン:0.66リッター直3 SOHC 12バルブ
トランスミッション:5段MT
最高出力:64ps(47kW)/8100rpm
最大トルク: 60Nm(6.1kgm)/7000rpm
タイヤ:(前)155/65R13 73S/(後)165/60R14 75H(ヨコハマECOS ES31)
燃費:17.2km/リッター(10モード)
価格:142万9640円(消費税3%を含む)

【装着部品】

  • Moduloスポーツサスペンション(13万円)
  • フューエルリッド(2万1000円)
  • エンブレム(3000円)
  • フロアカーペットマット(1万円)
  • Gathersスカイサウンドコンポ(6万4000円)
  • スカイサウンドコンポ取り付けアタッチメント(8000円)
  • Gathersスカイサウンドスピーカー(3万3000円)

※消費税5%を含む

ホンダNSXタイプS モデューロパーツ装着車(1999年型)
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ホンダNSXタイプS モデューロパーツ装着車(1999年型)

ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4430×1810×1160mm
ホイールベース:2530mm
車重:1320kg
駆動方式:MR
エンジン:3.2リッターV6 DOHC 24バルブ
トランスミッション:6段MT
最高出力:280ps(206kW)/7300rpm
最大トルク:304Nm(31.0kgm)/5300rpm
タイヤ:(前)215/40R17 83W/(後)255/40R17 94W(ヨコハマ・アドバン ネオバAD08R)
燃費:9.0km/リッター(10・15モード)
価格:1087万4850円(消費税5%を含む)

【装着部品】

  • Moduloスポーツサスペンション(29万1900円)
  • Moduloトランクスポイラー(81万9000円)

※消費税5%を含む

→コンプリートカー「Modulo X」の詳細はこちら

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