モデューロの技が生きるミニバン2台を試す
乗れば乗るほど楽しくなる 2018.12.21 Moduloの25年史<PR> 長年培ってきた“匠の技”を生かし、誰もが夢中になれるクルマを目指して開発されたコンプリートカー「モデューロX」。今回は、家族で乗れるミニバン2台をピックアップし、最新モデューロならではの走りを堪能した。信頼性と個性で人気
ホンダ車をカスタマイズしたい人にとって、真っ先に思い浮かぶブランドがモデューロだろう。
ホンダ直系のホンダアクセスが手がけるこの純正カスタマイズブランドからは、ホイール、サスペンション、エアロパーツといった走りに直結するパーツが提供されている。そのモデューロのアイテムを開発するエンジニアが、持てるノウハウを注ぎ、丸々一台つくり上げたコンプリートカーがモデューロXである。
モデューロXの現在のラインナップは「ステップワゴン」「フリード」「S660」の3モデル。他のホンダ車と同じようにメーカーの工場で組み立てられ、正規ディーラーで購入することができるモデューロXは、その信頼性や安心感から人気が高まっている。今回は、この中からミニバン2台を連れ出し、モデューロXが掲げる“上質な走り”とはどのようなものか、確かめることにした。
まずは、「ステップワゴン スパーダ」がベースの「ステップワゴン モデューロX」を試す。ステップワゴン モデューロXは2016年10月のデビューで、2018年12月にモデルチェンジを実施。いま最も新しいモデューロXなのだ。一番のハイライトは、この変更を機に待望のハイブリッドモデルが追加になったこと。スポーツハイブリッドの「i-MMD」を手に入れたステップワゴン モデューロXがどんな走りを見せてくれるのか楽しみである。
ミニバンの苦手を見事に克服
コンプリートカーの醍醐味(だいごみ)は、まず大胆に変更されたエクステリアデザインだ。このステップワゴン モデューロXも、専用デザインのフロントグリルをはじめ、前後バンパーやテールゲートスポイラー、ディフューザーなどによって、ベースのステップワゴン スパーダよりもさらに精悍(せいかん)で躍動感あふれるルックスに仕上げられている。中でもフロントマスクは、ワイドさが強調されるとともに、バンパーに配される大型のエアインテークが、このクルマのスポーティーさを際立たせている。
そうなると気がかりなのが乗り心地だが、これが予想に反して快適で、洗練されているのがモデューロXらしいところだ。足まわりは、ノーマルよりも締め上げられているはずなのだが、ゴツゴツした感じは一切なく、むしろ乗り心地はマイルドなくらいで、道路の目地段差を越えたときのショックも軽くいなす優等生ぶりだ。
それでいて、走行時の動きには落ち着きがあり、高速道路を走るときのフラット感も上々である。そのうえ、高速域での走行安定性は抜群で、見た目だけでなく、空気の流れを最適化するエアロパーツが、ステップワゴン モデューロXの走りに安心感を与えている。
ミニバンが苦手とするコーナリングも、しなやかな動きで路面を捉えるサスペンションのおかげで、安心してコーナーに進入できるのがうれしいところ。それなりにロールの動きはあるが、ロールスピードが抑えられていることもあって、余裕ある大きさのボディーからは想像できないくらい軽快なハンドリングが楽しめてしまう。
パワートレインはノーマルのままだが、アクセルペダルの動きに素早く、力強く、そしてスムーズに反応するi-MMDが、走りにさらなる上質さを加える。乗れば乗るほど運転が楽しくなるミニバンである。
ホットハッチに通じる走り
ホンダのコンパクトミニバンであるフリードがベースの「フリード モデューロX」も、実に運転が楽しいクルマに仕上がっていた。フリード モデューロXにもハイブリッド車とガソリン車がラインナップされているが、今回試乗したのは後者で、最高出力131psを発生する1.5リッター直列4気筒エンジンとCVTが搭載されている。
パワートレインには手をつけずに、エアロパーツとサスペンションで走りのレベルを引き上げていく手法は、このフリード モデューロXも同じ。どちらかといえば優しい顔つきのノーマルモデルに対し、モデューロXはデザイン上の精悍さと空力性能を両立したエアロパーツにより、強い存在感を放っている。
早速走らせると、そのスポーティーさに驚く。ステップワゴン モデューロXから乗り換えると、明らかに乗り心地は硬めだが、それが不快というわけでなく、むしろ心地よく感じるほどで、ハーシュネスの遮断もまずまず。高速走行時はステップワゴン モデューロXに輪をかけて安定しており、路面に吸い付くように走るセッティングのおかげで、スタビリティーは非常に高い。
ドライバーが全高の高さを忘れてしまうほどコーナーできっちりとロールを抑え、俊敏な動きを見せるフリード モデューロXは、まるで、よくできたドイツの“ホットハッチ”を操っているかのようだ。
“マジック”と呼びたくなる
後日、モデューロXの開発エンジニアと会う機会があり、この2台について話したのだが、クルマを仕上げるうえでライバルとしたのが「フォルクスワーゲン・ゴルフGTI」だったというのだ。ミニバンとホットハッチの定番モデルを同じ土俵に上げるというのはあまりに大胆かとも思えたが、その一方で、ステップワゴン モデューロX、フリード モデューロXの軽快なハンドリング、硬めでも気持ちのいい乗り心地、高速道路での優れたスタビリティー、そして一般道での扱いやすさなど、さまざまな部分でドイツを代表するコンパクトスポーツの乗り味を垣間見ることができた。ちなみに、私の愛車はそのゴルフGTIである。
モデューロXのすごいところは、その乗り味をサスペンションとエアロパーツでつくりだしていることだが、硬めでも不快にならないサスペンションや、空力的なバランスの取れたエアロパーツにより4輪の接地性を高め、「4輪で舵を切るセッティング」を生み出しているという。そのために、開発エンジニアは、ベースモデルの性能を引き出す絶妙なバランスを探し求め、テストを繰り返しながらていねいに一台のクルマを仕上げていく。それが、走りの上質さにつながるのだが、その作業はカスタマイズというよりも、調律という意味のチューニングに近いと思う。
その結果、モデューロ/モデューロXならではの乗り味を実現しているというわけだが、その熟練の技は“モデューロ マジック”と呼びたいほどで、一度それを味わってしまうと忘れられない魅惑の世界でもある。
話をステップワゴン モデューロXとフリード モデューロXに戻すと、ミニバンだからといって走りを諦めたくない人に、ぜひ一度試してほしいクルマに仕上がっている。それでいて快適さや、運転のしやすさなど、家族から不満がでない乗り味もある。見逃せない存在だろう。
(文=生方 聡/写真=郡大二郎)
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車両データ
ホンダ・ステップワゴン ハイブリッド モデューロX ホンダセンシング
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4760×1695×1840mm
ホイールベース:2890mm
車重:1840kg
駆動方式:FF
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ
モーター:交流同期電動機
エンジン最高出力:145ps(107kW)/6200rpm
エンジン最大トルク:175Nm(17.8kgm)/4000rpm
モーター最高出力:184ps(135kW)/5000-6000rpm
モーター最大トルク:315Nm(32.1kgm)/0-2000rpm
タイヤ:(前)205/60R16 92H/(後)205/60R16 92H(グッドイヤー・エフィシェントグリップ)
燃費:--km/リッター
価格:399万6000円
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ホンダ・フリード モデューロX ホンダセンシング
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4290×1695×1710mm
ホイールベース:2740mm
車重:1380kg
駆動方式:FF
エンジン:1.5リッター直4 DOHC 16バルブ
トランスミッション:CVT
最高出力:131ps(96kW)/6600rpm
最大トルク:155Nm(15.8kgm)/4600rpm
タイヤ:(前)185/65R15 88S/(後)185/65R15 88S(ダンロップ・エナセーブEC300)
燃費:--km/リッター
価格:283万0680円