日産がEVを活用したエネルギーマネジメントサービス「ニッサンエナジーシェア」を開始

日産がEVを活用したエネルギーマネジメントサービス「ニッサンエナジーシェア」を開始

 

日産自動車は2024年2月2日、電気自動車(EV)のバッテリーを蓄電池として充放電制御を行うエネルギーマネジメント「ニッサンエナジーシェア」の提供を、同年3月1日に開始すると発表しました。EVを活用した新しい試みとはどのようなサービスなのでしょうか?

日産は、「アリア」「リーフ」「サクラ」などのEVの製造や販売だけでなく、世界初となるV2H(Vehicle to Home)の市場投入や、バッテリーの二次利用を行う「4Rエナジー」の設立など、ライフサイクル全体でEVの価値を提供しています。また、2018年にスタートした日本電動化アクション「ブルースイッチ」では、それらを活用することによって全国200カ所以上の地域の課題解決にも取り組んでいます。

その一環で同社は、2021年2月以降、福島県浪江町などにおいて、EVの充放電を自律的に行う独自の制御技術を用いたエネルギーの効率的な利活用の検証を行ってきました。この浪江町での検証では、同町の商業施設が保有する、再生可能エネルギー発電設備および、PCS(パワーコントロールシステム)と浪江町の公用車であるEV「日産リーフ」を活用。日産の充放電制御システムをPCSに搭載することで、効率的なエネルギー運用を検証し、クリーンエネルギーを促進するエネルギーマネジメントシステムを構築しています。これらの検証に基づき、今回日産がスタートさせる事業が、主に法人や事業者、自治体に向けたエネルギーマネジメントサービス「ニッサンエナジーシェア」です。

 

日産が福島県浪江町で実施した、EVの充放電制御技術を用いたエネルギー利活用の検証
EVの充放電制御技術を用いたエネルギー利活用の検証を福島県浪江町で実施した。

 

では、実際にこの「ニッサンエナジーシェア」を利用することによって、企業にはどのようなメリットがあるのでしょうか?

近年、環境への配慮や経営コストの観点からEVを活用する企業が増えてきていますが、オフィスの電気需要のピーク時に複数台のEVが同時に充電を行うと、それによって電気利用がピークを超えてしまうことで、年間の電気料金が増加してしまう可能性もあります。これを避けるためには、企業側がピーク時のEV充電を制限するマネジメントの仕組みが必要となってきます。その仕組みとは、常に変動するオフィスの電力需要をリアルタイムで監視し、EV充電の出力やタイミングを調整していくというもので、同時に、EV走行に支障が出ないように、EVの利用状況に基づいた充電制御もしなければなりません。これらのマネジメントにおいて、日産がサービス構築、保守運用までを提供するサービスが「ニッサンエナジーシェア」なのです。

 

 

このサービスの特徴は、スマート充電によりピークシフトをすることにあります。EVのバッテリーは、クルマの動力源としてだけでなく、移動可能な蓄電池として建物や地域へ電力を供給することができますが、「ニッサンエナジーシェア」で活用されるエネルギーマネジメント技術では、充電器もしくは充放電器に接続した充放電制御システムが、クルマの使用予定やバッテリー残量、建物の電力使用状況をリアルタイムに把握しながら、最適な受給電タイミングを自律的にコントロール。充放電器を活用しているオフィスで電力使用がピークに達する時に、EVからオフィスへ電気を戻すことでピークカットを実現します。

また、「ニッサンエナジーシェア」では、太陽光の発電電力を積極的にEVへ充電でき、オフィスとEVの電力をより多くの再生エネルギーで賄うことが可能となります。

 

ピークカットのイメージ図
ピークシフトのイメージ図

 

EVとしての利便性を損なうことなく、電力のピークシフトやピークカットを図るとともに、太陽光パネルなどでつくられた再生可能エネルギーと連携しエネルギーの地産地消や脱炭素化にも貢献するのが「ニッサンエナジーシェア」。EVの価値を最大限に引き出す、クルマの使われ方を熟知した日産ならではのエネルギーマネジメントの仕組みといえるでしょう。

日産は新サービスの「ニッサンエナジーシェア」において、導入目的に応じたソリューションの提案から、機器や施工業者の選定、補助金の申請など、スムーズな導入をサポートするとともに、導入後の保守運用や状況変化に応じた改善提案までをワンストップのサービスで提供していく予定です。

 

「ニッサンエナジーシェア」が発表されたイベント「ゼロ・エミッションフォーラム2024」。
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