米国の電気自動車メーカー、リヴィアン・オートモーティブは2024年3月7日、4万0500ドル(約665万円)のミドルサイズSUV「R2」の予約受注開始と、さらに購入しやすい価格のクロスオーバー「R3」「R3X」の市場投入を発表しました。
リヴィアンは、2023年のR2の発表以来、同モデルを15億ドル相当の優遇措置を州などから確保したジョージア州アトランタに建設中の新工場で生産する計画でした。今回リヴィアンは、「ジョージア州の新工場ではなく、イリノイ州ノーマルの既存工場でR2の生産を開始することに計画を変更」すると発表しました。これにより、R2のデリバリー開始時期は2026年上期に前倒しされる見込みです。

リヴィアンは、「R1」シリーズや配送用大型バン「EDV」等を生産してきたイリノイ州ノーマル工場の製造チームと運用チームを効率的に活用し、その生産能力を拡大することで、R2の市場投入に必要な資金を大幅に削減。「ジョージア州新工場でR2の生産ラインを立ち上げるという当初の予測と比較すると、節約額は推定22億5000万ドル(約3350億円)を超える」としました。また、R2の発売と工場変更後に予想されるリヴィアンの総生産能力は、同社の現ラインナップである「R1T」「R1S」「EDV」「RCV」および「R2」で年間21万5000台となります。
2024年3月7日より、リヴィアンR2は、100ドルのデポジットを支払うことで予約可能となりました。このSUVは、R1Tが6万9900ドル、R1Sが7万4900ドルと、7万ドル程度だったこれまでのリヴィアンEVの価格を、「テスラ・モデルY(※)」の「RWD」(4万3990ドル)と「ロングレンジ」(4万8990ドル)の間に位置する、4万5000ドルという競争力のある価格まで引き下げました。
リヴィアンR2は、アウトドアなどに適した5人乗りのミドルサイズSUV 。完全にフラットに折り畳める1列目と2列目のシートを備えていて、アウトドア用品や荷物を運んだり、オートキャンプなどにも使用できます。R2の後で発売やデリバリー開始が予定されるR3は、パフォーマンス、オフロード性能や乗り心地、収納の点に優れたミドルサイズクロスオーバー。同シリーズのR3Xは、オンロードとオフロードの両方でより高い性能を発揮する、R3のパフォーマンスモデルです。

米国の老舗電気自動車メーカーとしてテスラとライバル視されながらも、ラインナップの少なさや高額な価格帯によって一般への訴求力がままならなかったリヴィアンですが、R2と、より手に取りやすい価格となるR3、R3Xの発表によって、活動的でアウトドア好きな層を中心に、新たなEVユーザーたちの注目を集めています。


今回発表されたミドルサイズプラットフォームでは、高圧ダイキャスト、パックの上部が床としても機能する構造バッテリーユニット、複雑さを大幅に軽減するクロージャーシステムなどのインテリジェントな設計によって、R2およびR3シリーズは、驚くべきパフォーマンスと航続距離、コスト効率を実現しています。

R2とR3には、シングルモーター(RWD)、デュアルモーター(AWD)、トライモーター(リアに2個、フロントに1個のモーター)の3種類が用意されていますが、最速のパワートレイン構成なら0-90mph加速を3秒未満で実現します。

また、R2とR3には2つのバッテリーサイズが用意され、大きなバッテリーパックでは、一回の充電で483km以上の航続距離が実現される見込みです。また、DC急速充電は NACS (標準搭載)と CCS (アダプター使用)の両方と互換性があり、米国全土に広がる急速充電ネットワークが使用可能。それらの急速充電器を使えば、30分以内に残量10%から80%まで充電することができます。
リヴィアンR2や、それに続くR3、R3Xは、米国においてこのクラスのEVの新たなスタンダードとなれるのでしょうか。デリバリーが開始される2026年以降、米国内でのEVシェアの勢力図にどのような影響を与えるか注目です。
(※)テスラ・モデルYの価格は、連邦税額控除前の現時点での価格です。