注目のID. Buzz、米国市場での価格と航続距離を発表
フォルクスワーゲンの新型電気自動車「ID. Buzz」の、米国市場向け価格と航続距離がついに発表されました。ID. Buzzは多くのEV愛好家や自動車業界関係者から注目を集めていましたが、今回の発表の内容は必ずしも期待に沿うものではなかったようです。
2024年8月21日、フォルクスワーゲン・オブ・アメリカは、ID. Buzzの米国市場向けラインナップ、価格、そしてEPA推定航続距離を公開しました。ID. Buzzは、かつて人気を博した「タイプIIバス」、通称「ワーゲンバス」の電動化バージョンと位置づけられており、フォルクスワーゲンのEVラインナップのなかでも象徴的な存在です。

価格は約869万円から、4WD車の航続距離は372km
ID. Buzzの価格は、エントリーモデルの「Pro S」が5万9995ドル(約869万円)からスタートします。これに続いて「Pro S Plus」が6万3495ドル(約921万円)、限定モデルの「1st Edition」が6万5495ドル(約949万円)となっています。これらの価格設定は、多くの人々の予想を上回るものでした。
航続距離に関しては、後輪駆動モデルが234マイル(約376km)、4MOTION(全輪駆動モデル)が231マイル(約372km)のEPA推定値となっています。これらの数字は、容量91kWhのバッテリーパックを搭載しているにもかかわらず、多くの人々の期待を下回るものでした。

この発表に対する市場の反応は、必ずしも好意的とはいえません。米国のメディア『INSIDEEVs』の記事によると、多くのインターネットユーザーが価格と航続距離のバランスに不満を示しています。
ソーシャルニュースサイト『Reddit』のあるユーザーは「この航続距離では高すぎる。しばらくは楽しい考えだったが」とコメントしています。また別のユーザーは「価格が少し高すぎる。280~300マイル(約450~483km)の航続距離で5万5000〜6万5000ドル(約798万~943万円)くらいを期待していた」と述べています。
これらの反応には、ID. Buzzが7500ドル(約109万円)の連邦税控除の対象外であることも含まれています。最終組み立てがドイツのハノーバーで行われるため、米国での税控除が適用されないのです。

独自のデザインと機能性を兼ね備えたID. Buzz
しかし、ID. Buzzには注目すべき特徴もあります。フォルクスワーゲンはこのモデルを、独自のデザインと機能性を兼ね備えた車両として位置づけています。
外観は、オーバーサイズの「VW」ロゴ、短いオーバーハング、広々としたグリーンハウスなど、レトロな要素を現代的にアレンジしています。インテリアも3つのカラーワールド(Copper、Moonlight、Dune)が用意され、外装色とのマッチングが考慮されています。

Pro Sモデルには、7人乗りの2列目ベンチシート、20インチアルミホイール、LEDヘッドライト(アダプティブフロントライティングシステム付き)、3ゾーンクライマトロニック自動エアコン、12.9インチインフォテインメントディスプレイなどが標準で装備されています。
またPro S Plusモデルでは、ヘッドアップディスプレイ、700Wのharman/kardonサウンドシステム、デュアルパワースライディングリアドア、電動開閉テールゲートなどが追加されます。また、オプションで電動調光パノラマガラスルーフも選択可能です。

内装色「Dune」のインテリア。

価格に対して航続距離が短すぎるという意見はあるものの、ワーゲンバスは世界中で根強い人気を誇る、特別なブランドカーです。そのEV版として注目を集めるID. Buzzが、2024年末の発売後、米国市場にてどんな売れ行きを示すのか、大注目です。
ID. Buzzの米国における価格と航続距離
モデル | 駆動方式 | 価格 | 航続距離 |
Pro S | RWD | 869万円 | 376km |
Pro S Plus | RWD | 921万円 | 376km |
Pro S Plus | 4MOTION | 986万円 | 372km |
1st Edition | RWD | 949万円 | 376km |
1st Edition | 4MOTION | 1015万円 | 372km |
4MOTIONは、前輪駆動をベースとした全輪駆動モデルです。航続距離はEPA推定値。
ID. Buzzは、全モデルに1550ドル(約22万円)のデスティネーションチャージが追加されます。