テスラが米国で、新エントリーグレード「モデルYスタンダード」「モデル3スタンダード」を発表

テスラが米国で、新エントリーグレード「モデルYスタンダード」「モデル3スタンダード」を発表

テスラは2025年10月7日、新たなエントリーグレードとなる「モデルYスタンダード」および「モデル3スタンダード」を米国市場で発表しました。モデル3スタンダードは3万6990ドル(約562万円)、モデルYスタンダードは3万9990ドル(約608万円)という価格設定で、従来のRWDモデルから約5500ドルの値下げを実現。特にモデルYスタンダードは、SUVとして4万ドルを切る初のテスラ車両となり、EV市場の大衆化に向けた大きな一歩となる可能性があります。

モデルYスタンダード(写真提供:Tesla, Inc. )
テスラ・モデルYスタンダード(写真提供:Tesla, Inc. )

今回の発表により、テスラのモデル3およびモデルYシリーズは「スタンダード」「プレミアム」「パフォーマンス」の3グレードに再編されました。従来の「RWD」「ロングレンジ」モデルはプレミアムへと改名され、より明確な差別化が図られています。スタンダードは米国市場専売で、数週間以内に納車が開始される予定です。

スタンダードモデルの最大の特徴は、バッテリー容量を69kWhに削減しながらも321マイル(約517km)の航続距離を確保した点です。バッテリーモジュールの削減により、モデル3では約60kg、モデルYでは約56kgの軽量化を達成。特にモデルYスタンダードは、RWDプレミアムモデルと比較して5%の効率向上を実現しています。

モデル3 スタンダード(写真提供:Tesla, Inc. )
テスラ・モデル3スタンダード(写真提供:Tesla, Inc. )

スタンダードモデルにはハードウエア4(HW4)が搭載されており、別途8000ドルを支払うと監視付き自動運転(FSD)機能も追加可能です。

内装は、前席のみのシートヒーター、7スピーカーオーディオシステム(プレミアムは15スピーカー)など、日常使用に必要な機能に絞り込まれています。注目すべきは、新設計の18インチホイールで、テスラ史上最小の転がり抵抗を実現。モデルYスタンダードには、「サイバートラック」スタイルのセンターコンソールが採用されるなど、細部にもこだわりが見られます。

モデルYスタンダードのインテリア(写真提供:Tesla, Inc. )
「モデルYスタンダード」のインテリア。(写真提供:Tesla, Inc. )

今回のスタンダードモデルの投入は、テスラの思想の進化を示しています。4万ドル以下という価格帯は、多くの消費者にとって重要な心理的障壁であり、その突破は市場拡大に直結します。航続距離321マイルは日常使用には十分で、「EVは高価で航続距離が長くなければならない」という固定観念を覆すものです。

なお、この発表日のNASDAQ市場において、テスラ($TSLA)の株価は4.45%下落しました。テスラは「必要十分な性能」を適正価格で提供することで、EV市場のさらなる拡大を目指していますが、テスラファンが求めるテスラ車は、それとは違う内容なのかもしれません。

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