韓国の起亜自動車(Kia)は2025年10月6日、「プラットフォーム・ビヨンド・ビークル(PBV)」を採用した電動商用車「PV5」を発表しました。韓国で先行発売された後、数カ月以内に欧州市場へ展開し、日本市場には2026年春に導入される予定です。

Kiaは中型電動バンのPV5で日本市場に本格参入する計画です。日本国内ではこのサイズの電動バン市場がまだ十分に発展しておらず、競合モデルが少ないことから、物流企業やタクシー事業者からの需要を取り込むことを目指しています。
PV5は、次世代電気自動車プラットフォーム「E-GMP.S」をベースに開発された専用設計のモデルで、「パッセンジャー」「カーゴ」「シャシーキャブ」の3種類のボディースタイルを用意します。

バッテリーは、パッセンジャーモデルが容量51.5kWhまたは71.2kWhのニッケルコバルトマンガン(NCM)バッテリーを搭載し、カーゴモデルには43.3kWhのリン酸鉄リチウム(LFP)バッテリーも選択可能です。最高出力は120kW、最大トルクは250N・mを発生し、航続距離はWLTP基準で最大416km(カーゴモデル)を実現します。急速充電にも対応し、すべてのバッテリータイプで10%から80%まで30分以内に充電できるとうたわれます。

パッセンジャーモデルはクラス最低のフロア高を実現し、スライドドアのサイドステップ高はわずか399mm。2列目シートを折り畳むことで、5人乗りモデルは最大3615リッターのラゲッジ容量を確保します。カーゴモデルは、スタンダード仕様で4.0立方メートル、ハイルーフ仕様で5.2立方メートルの荷室容量となっています。


先進運転支援システム(ADAS)として、高速道路運転支援、スマートクルーズコントロール、ブラインドスポット衝突回避支援などを搭載。また、7.5インチの計器クラスターと12.9インチのナビゲーションスクリーンを装備し、Android Automotive OSをベースとしたPBV専用のインフォテインメントシステムを採用しています。
Kiaは、Uberをはじめとする世界中のモビリティープロバイダーやビジネスパートナーからのフィードバックを積極的に取り入れ、PV5の開発を進めてきました。取り外し可能な助手席や汚れにくい内装素材、ハイルーフ仕様でのウオークスルーなど、実用性を重視した設計が随所に施されています。

KiaのPBV事業部長を務めるキム・サンデ氏は、ソウルで開催された記者会見で、「日本の自動車メーカーは電動化の分野で大きく後れをとっており、これは当社にとって大きなチャンスです」と述べました。
Kiaは2030年までに25万台のPBV販売を目標としており、PV5に続いて2027年に「PV7」、2029年に「PV9」を発売する計画です。PV5の量産は韓国の華城EVO工場ですでに開始されており、今後、追加のバリエーションが順次展開される予定です。
