「CES 2025」訪問記 気になったEVを“テスラー”目線でご紹介

「CES 2025」訪問記 気になったEVを“テスラー”目線でご紹介

CES 2025の会場より最新EVをリポート

アメリカ・ラスベガスで2025年1月7日から10日まで開催された「CES 2025」に行ってきました。5日、6日はプレスデーに設定されていて、ソニー・ホンダモビリティの「AFEELA 1(アフィーラ1)」発売とか、ホンダの「Honda 0」シリーズとか、トヨタとNVIDIAの提携など、かなりの大型案件が発表されており、テレビなどでその模様をご覧になった方も多いことでしょう。

しかし私が現地入りした1月8日には、こうした熱狂はほとんど収束しており、重大なプレス発表やメーカートップのプレゼンテーションなども一切なく、各社のブースに並んだ展示車をひたすら見学するという行動に明け暮れました。

EVに関して展示車をひととおり眺めてきた結果、印象に残ったいくつかを、“テスラー”目線で紹介することにします。

 

話題のソニー・ホンダモビリティ「アフィーラ1」

ホンダ関連から行きましょう。まず、ソニー・ホンダのブースでは、話題のアフィーラ1を見ることができました。これは実質的な完成車で、先行受注を1月6日から開始したとのことです。そのスペックに対する価格の高さ(8万9900ドル=約1423万円から)も話題ですが、個人的には、フロントシールドの上部にあるエアスクープみたいな突起が気になりました。カメラが収納されているのでしょう。しかも昨年は中央に1個しかなかった突起が、合計で3個に増えています。

1月6日から先行受注を開始したソニー・ホンダのアフィーラ1
2025年1月6日に先行受注を開始したソニー・ホンダモビリティの「アフィーラ1」。

 

フロントシールド上部の突起が3個に増えたアフィーラ1
「アフィーラ1」では、フロントシールド上部の突起が3個に増えた。

 

これ、デザイン的にはちょっと微妙な感じです。フロントスポイラーの下部分にもカメラらしきものが見えますので、前方の認知能力は相当に高めの設定なんでしょうが、ちょっと出っ張り過ぎですよね。

 

ホンダが世界に発信する「Honda 0」シリーズ

続いて、ホンダ単体のブース。アフィーラの後にこちらを訪れると、デザイン的にはかなり洗練されてきた趣のHonda 0に遭遇できます。こちらは、まだプロトタイプのようです。

よく見ると、「Honda 0サルーン」のほうには、やはりフロントシールドの上に突起カメラがあります。しかし、先のアフィーラと比較するとやや控えめな印象。

ホンダ0 サルーンのプロトタイプ
「Honda 0サルーン」のプロトタイプ。

 

ホンダ0 サルーンには、フロントシールドの上に突起カメラが
「Honda 0サルーン」にもフロントシールドの上に突起カメラが……。

 

また、「Honda 0 SUV」のほうはより完成度も高めで、市販モデルに近いと感じます。リアからのビューもかなり未来的です。OSも「ASIMO OS(アシモOS)」という、かつての人型ロボットにちなんだものが搭載されるそうで、ちょっとワクワクしますね。

ホンダ0 SUVは、より完成度も高め
「Honda 0 SUV」は、より完成度も高めな印象。

 

リアからのビューも未来的なホンダ0 SUV
リアからのビューも未来的な「Honda 0 SUV」。

 

それにしても、「ホンダ単体」「ソニー・ホンダ」、さらには、経営統合が実現するなら「日産や三菱と共同でのクルマづくり」と、ホンダにはとてもややこしい未来が待っているような不安を覚えます。うまく交通整理しながら、カッコいいEVをつくってほしいと思います。

 

Waymoの自動運転ライドシェアに採用された「ヒョンデ・アイオニック5」

続いては、ヒョンデのEVに行きましょう。「IONIQ 5(アイオニック5)」ですね。

こちら、先のアフィーラ1やHonda 0サルーンとは比較にならないほどデカい突起物が天井に乗っかっていますね。パトカーのランプみたいな存在感。

自動運転タクシー「Waymo One(ウェイモ ワン)」で運用される IONIQ5
自動運転タクシー「Waymo One」で運用される「アイオニック5」。

 

これ、実はWaymoのブースに展示されていた自動運転車両でした。今回、LA在住の友人とCESの会場で遭遇したのですが、つい最近LAでもWaymoがサービスインしたそうです。サービスは非常に使い勝手がよく、「もうUberなんか要らない。Waymo一択になってしまった」と話していました。なんてうらやましい。

Waymoの完全自動運転技術が搭載される予定のIONIQ5
Waymoの完全自動運転技術が搭載される予定の「アイオニック5」。

 

アマゾン傘下Zooxの自動運転車

自動運転車、もう一台ありました。アマゾン傘下のZooxです。ラスベガスでテスト中とのことで、街で見られるか期待していましたが、残念ながら遭遇はできませんでした。このクルマは運転席もなく、恐ろしく潔いデザインですね。ロボタクシー用途だけじゃなくて、アマゾンの配送などにも使えそう。

Zooxの自動運転車
Zooxの自動運転車。

 

最新EV「ノイエクラッセ」へ注力するBMW

次はBMWです。BMWは今回、コンベンションセンター外の別棟一棟を丸ごと使い、自動車メーカーのなかでは最も派手に展示を行っていました。題して「HEART AND SOUL INSIDE.」。

「HEART AND SOUL INSIDE」を実施したBMW
「HEART AND SOUL INSIDE.」を実施したBMW。

 

BMWは、コンベンションセンター外の別棟に最新EVを展示
BMWは、コンベンションセンター外の別棟に最新EVを展示

 

次世代EVの「ノイエクラッセ」が2台。現行のBMW各モデルに比べ、かなり上品なデザインだと個人的には思います。これは売れそうなEVですね。

上品なデザインのビジョン・ノイエクラッセ
上品なデザインの「ビジョン ノイエクラッセ」。

 

ビジョン・ノイエクラッセのシンプルなエクステリア
「ビジョン ノイエクラッセ」のシンプルなエクステリア。

 

BMWを象徴するキドニー・グリルが美しいSUV 、ビジョン・ノイエ・クラッセX
BMWを象徴するキドニーグリルが美しいSUV 「ビジョン ノイエクラッセX」

 

さらにBMWは、シアター形式の会場を使って、自社開発の新たなOSのプレゼンテーションを行っていました。

サタデーナイトライブでおなじみのコメディアンも登壇し、場内を盛り上げます。BMWはタッチパネルに加えて、その奥にあるバータイプのディスプレイの2面展開を採用するようです。

フロントガラス下部のAピラーからAピラーまでの範囲に情報を投影する「BMWパノラミックビジョン」を活用した「BMW パノラミック iDrive」システムをCES2025で初公開
フロントガラス下部のAピラーからAピラーまでの範囲に情報を投影する「BMWパノラミックビジョン」を活用した「BMW パノラミックiDrive」システムをCES 2025で初公開。

 

このあたりは、エンターテインメント性に全振りしているアフィーラなどとは対象的に感じました。あくまでドライバー本位。安全性と利便性が高そうですね。テスラー目線で他のEVを試してみると、欧州勢は結構プアーなOSが多いと感じるので、このBMWのヤツは使ってみるのが非常に楽しみです。タッチパネルの形状は、右ハンドル向けも別途つくってくださいね。

 

これもEV? 『バック・トゥ・ザ・フューチャー』仕様の「デロリアン」

最後に、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』でおなじみの「デロリアン」。これは、Clariosというバッテリーソリューションの会社のブースに展示されていた「DMC-12」ですが、EVとしてコンバートされた車両かどうかは不明でした。映画に登場した車両を忠実に再現していますね。足を止めて「へえ〜」って感じで眺めている人がけっこうたくさんいましたよ。

「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のデロリアンを再現
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の「デロリアン」を再現。

 

(文と写真=EVcafe編集長 駒井尚文 @tesla365days)

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