中国最大手のEVメーカーであるBYDは2025年1月17日、新たなフラッグシップモデルとなる新型セダン「Han(漢)L」と、SUV「Tang(唐)L」を中国で発表しました。両モデルには純電気自動車(BEV)とプラグインハイブリッド(PHEV)の2種類のパワートレインが設定され、同年3月の旧正月明けに発売予定。価格は30万元(約637万円)前後からとなる見込みです。



中国の自動車業界専門サイト『CarNewsChina.com』の報道によると、今回発表されたHan LとTang Lの最大の特徴は、その高性能なパワートレイン。BEVモデルはRWD(後輪駆動)で500kW(670PS)、AWD(全輪駆動)では最大810kW(1086PS)という圧倒的な高出力を実現。特にAWDモデルは、後軸に世界第2位となる580kW(777PS)のTZ210XYW同期永久磁石eモーターを搭載。これは「ケーニグセグ・ジェメラ」に次ぐ強力な電気モーターとされています。このパワートレインによってHan Lは、0-100km/h加速をわずか2.7秒で達成します。
一方、PHEVモデルには第5世代となるDM5.0システムを採用し、燃費重視のDM-iとパフォーマンス重視のDM-pの2つのバリエーションを展開。これらは、200kWのeモーターと、115kWのパワーを発生する1.5T ICEを備えていて、AWDのDM-pは、さらに200kWのeモーターを備えています。





BEVモデルの充電性能は進化しています。Han Lでは、945V高電圧プラットフォームによってマイナス30℃の極寒環境下でも、16%から80%までわずか10分、80%から100%まで14分の、合計24分での満充電を実現します。また、同モデルには2つの充電ポートを同時に使用するデュアルガン充電システムも搭載されるとのこと。このシステムは、すでにBYDの「DENZA D9」や「N7」で実証済みの技術です。
ボディーサイズは、セダンのHan Lが全長×全幅×全高=5050×1960×1505mm(ホイールベースは2970mm)、SUVのTang Lが全長×全幅×全高=5040×1996×1760mm(ホイールベースは2950mm)と、ともに従来モデルからサイズアップ。特にTang Lは2+3+2の7人乗りレイアウトを採用し、3列目シート使用時で675リッター、3列目折りたたみ時で960リッター、2列目も折りたたむと1960リッターという大容量の荷室を確保しています。





「Han」は漢王朝、「Tang」は唐王朝にちなんで名づけられており、この2モデルはBYDの「王朝シリーズ」の主力モデルとして位置づけられています。Tangは、2015年にPHEVモデルとして登場し、2018年にはBEVモデルと純ガソリン車を追加。Tangは、0-100km/h加速時間が約4秒の中国初のNEVとなりました。Hanは、2020年にBEVとPHEVモデルを同時発売し、初代EVモデルで中国車として初めて0-100km/h加速約3秒を実現しました。同シリーズにはほかに「Song(宋)」「Qin(秦)」「Yuan(元)」「Xia(夏)」といったラインナップが存在し、累計販売台数は10年間で700万台を突破しており、中国市場における同社の基幹モデルとなっています。