クルマ好きなら毎日みてる webCG 新車情報・新型情報・カーグラフィック

オールシーズンタイヤ「NEXEN N'Blue 4Season」のウインター性能に迫る

トータルバランスで選ぶなら 2024.10.28 2024-2025 Winter webCGタイヤセレクション<AD> 山田 弘樹 ネクセンのオールシーズンタイヤ「エヌブルー4シーズン」のウインター性能を測るべく、雪の箱根山に挑戦。ドライ、雪、そして氷と、さまざまな路面が入り交じる峠道で、このタイヤはどんな走りを見せたのか。その実力にモータージャーナリストの山田弘樹が迫る。

寒冷時にもしなやかさを失わない

ネクセンのオールシーズンタイヤ、エヌブルー4シーズン。そのウインター性能にようやく触れる機会を得た。

そもそもオールシーズンタイヤといえば、サマータイヤとしての基本性能は押さえつつ、突然の雪にも対応できるウインター性能を持った、文字どおりオールシーズン使えるタイヤだ。このエヌブルー4シーズンに関しては、サマー性能はすでに報告しているものの(参照)、ウインター性能のリポートはまだだった。それではさすがに不十分だろうということで、今回はその冬場の実力を報告したい。タイヤ装着車にはサマー性能の検証時と条件をそろえるべく、同じ「フォルクスワーゲン・ゴルフeTSIアクティブ」を選択。タイヤサイズも標準装着と同じ205/55R16の組み合わせだ。

ちなみに、2023年末から2024年初にかけての気候は暖冬傾向で、関東地方は2月の終わりごろまで積雪がまるでなかった。ということで、例のごとく冬にわざわざ「雪探しの旅」を行うという矛盾が始まったわけだが、運よくいつもタイヤの試走コースとしている箱根方面には、直前の数日で降り積もった雪が路上に残されていた。

都心から箱根方面への道のりは、完全なドライ路面だった。一般路での評価は既報のとおりだが、気温は今回のほうがずっと低い。しかも冷え込みの厳しい早朝6時台に出発したことも勘案すると、エヌブルー4シーズンの“初動のよさ”にはあらためて感心させられた。街なかでは秋口のテスト時と変わらぬ乗り心地のよさが保たれており、高速巡航でもタイヤがきちんと路面を捉えている。そして当然、直進安定性も高い。

もっとも、ネクセンのウインタータイヤはスタッドレスタイヤ「ウインガード アイス2」でさえ「T」レンジ(最高速度190km/h)を実現しているほどだから、よりドライ性能が高いオールシーズンタイヤが高速道路をシッカリ走れても、なんら不思議はないのだが。ちなみにエヌブルー4シーズンの速度レンジは「H」(最高速度210km/h)だ。

→「NEXEN N’Blue 4Season」のより詳しい情報はこちら

 

webCGタイヤセレクション 他のリポートを読む

DUNLOP SYNCHRO WEATHER
KUMHO SOLUS 4S HA32
Cooper Discoverer Road+Trail AT

ネクセンのオールシーズンタイヤ「エヌブルー4シーズン」。欧州では“オールウエザー”と呼ばれる、乗用車用サマータイヤから発展した全天候型タイヤで、サマー性能とウインター性能のバランスのよさが特徴だ。
ネクセンのオールシーズンタイヤ「エヌブルー4シーズン」。欧州では“オールウエザー”と呼ばれる、乗用車用サマータイヤから発展した全天候型タイヤで、サマー性能とウインター性能のバランスのよさが特徴だ。拡大
「エヌブルー4シーズン」のドライブフィールを試す山田弘樹氏。ジュニアフォーミュラやスーパー耐久など、さまざまなレースに参戦してきた実践派のモータージャーナリストだ。
「エヌブルー4シーズン」のドライブフィールを試す山田弘樹氏。ジュニアフォーミュラやスーパー耐久など、さまざまなレースに参戦してきた実践派のモータージャーナリストだ。拡大
東名高速道路を走る「フォルクスワーゲン・ゴルフeTSIアクティブ」。「エヌブルー4シーズン」は、ゴルフの”母国”であるドイツをはじめ、欧州の国々で高い評価を得ている。
東名高速道路を走る「フォルクスワーゲン・ゴルフeTSIアクティブ」。「エヌブルー4シーズン」は、ゴルフの”母国”であるドイツをはじめ、欧州の国々で高い評価を得ている。拡大
冬にも利用可能であることを示す「M+S(マッド&スノー)」マークや、世界最大の標準化・規格設定機関「ASTM」の認証であるスノーフレークマークが刻印された「エヌブルー4シーズン」。このタイヤであれば、冬用タイヤ規制が敷かれた道も走行が可能だ。
冬にも利用可能であることを示す「M+S(マッド&スノー)」マークや、世界最大の標準化・規格設定機関「ASTM」の認証であるスノーフレークマークが刻印された「エヌブルー4シーズン」。このタイヤであれば、冬用タイヤ規制が敷かれた道も走行が可能だ。拡大

大事なのは“ミックス路面”での走行性能

舞台を箱根のワインディングロードに移す。日の当たる路面は残念ながら乾いていたが、道路の脇には除雪された雪がかなり高く積まれた状況だった。料金所のおじさんは「日陰はまだ(雪が)残ってますから、気をつけて」と親切に注意してくれたけれど、まさにそうしたシチュエーションこそ、今回の試走のターゲットである。

そもそも、日本においてオールシーズンタイヤが想定するマーケットは、「年に数回は雪が降るかもしれない」といった非降雪地域である。その性質上、冬場には深い積雪路などよりは、ドライ、ウエット、シャーベット、そして雪や氷が入り交じったミックス路面に遭遇するケースが多いのだ。そしてこの日の箱根は、そうした性能を試すのにおあつらえ向きの環境だった。

果たしてブラインドコーナーを抜けると、期待どおりに雪が現れた。しかも轍(わだち)は黒く光っており、そこができたての凍結路面となっていることがわかる。待ってました! とはいいつつも、一応はオールシーズンタイヤだ。ということで最初は極めて慎重にカーブを曲がったが、思いのほか普通にこれをクリアできてしまったから、ちょっと拍子抜けした。

「普通」といっても、どのくらいのものかはわからないだろうから具体的に書き記すと、慎重に運転すれば怖い思いをせずに走破できるといった感じだ。カーブの手前ではきちんと減速し切って、コーナリング中に慣性が働かないようにしたうえで、アクセルのコントロールで雪の上をジャリジャリ、シャカシャカと進んでいく。

→「NEXEN N’Blue 4Season」のより詳しい情報はこちら

 

webCGタイヤセレクション 他のリポートを読む

DUNLOP SYNCHRO WEATHER
KUMHO SOLUS 4S HA32
Cooper Discoverer Road+Trail AT

冬の間、雪と氷に覆われる降雪地より、「年に何度かは雪が降るかも」といった、非降雪地のユーザーを想定したオールシーズンタイヤ。その性質上、冬場にはドライ、ウエット、スノー、アイス……と、さまざまな状態が入り交じるミックス路面での性能が求められる。
冬の間、雪と氷に覆われる降雪地より、「年に何度かは雪が降るかも」といった、非降雪地のユーザーを想定したオールシーズンタイヤ。その性質上、冬場にはドライ、ウエット、スノー、アイス……と、さまざまな状態が入り交じるミックス路面での性能が求められる。拡大
取材日の箱根スカイラインの様子。日なたでも除雪された雪の“裾”が道にはみ出ていたり、雪から染み出た水が道を横断していたりして、油断がならない。
取材日の箱根スカイラインの様子。日なたでも除雪された雪の“裾”が道にはみ出ていたり、雪から染み出た水が道を横断していたりして、油断がならない。拡大
日陰に入るとたちまちご覧のとおり。道に雪が残っていたり、除雪はされていても、ウエットとアイスがまだらになった箇所があったりして、まさにオールシーズンタイヤを試すのに好適なシチュエーションとなっていた。
日陰に入るとたちまちご覧のとおり。道に雪が残っていたり、除雪はされていても、ウエットとアイスがまだらになった箇所があったりして、まさにオールシーズンタイヤを試すのに好適なシチュエーションとなっていた。拡大
雪と氷が入り交じった道を、慎重に走る「フォルクスワーゲン・ゴルフ」。
雪と氷が入り交じった道を、慎重に走る「フォルクスワーゲン・ゴルフ」。拡大

雪と氷の入り交じる道で高い性能を発揮

ここで慎重を期したのは、オールシーズンタイヤにとって最大の難敵である、アイスバーンでのスリップに備えたからだ。エヌブルー4シーズンは、そのトレッドパターンをくさび型の「V-Typeグルーブ」とすることで、ウエット路面では効率よく接地面の水を排出し、雪上路面ではシャーベット状の雪をかき分けることができる。とはいえスタッドレスタイヤと比較してサイプの量は少なく(だからトレッド剛性は高いのだが)、トレッドゴムも相対的には硬めだから、0℃付近の気温では、溶けた氷上の水膜を除去する能力が低くなる。

しかし、こうした状況(=雪と氷が入り交じった路面)でも、エヌブルー4シーズンは突然グリップを失うようなことはなかった。むしろごくごく普通に、この路面を走り抜けた。ならばと徐々に速度を上げてみたが、常識的な範囲内では操作性も良好。今まで試したオールシーズンタイヤのなかでは、一番ミックス路面に強い印象を持った。

もちろん、この路面にどの程度のアイスバーンが含まれていたかを精査することはできない。またこれが、急な登坂路であったり(とはいえ箱根のワインディングロードだから、上り下りは十分にあったのだが)、さらに厳しくコンパウンドの追従性が求められる乾いた氷路面であったりしたとしても、同じグリップを発揮できたかはわからない。しかし、少なくともオールシーズンタイヤで一番不安視されるアイスバーンに対し、手も足も出ないということはなかった。

→「NEXEN N’Blue 4Season」のより詳しい情報はこちら

 

webCGタイヤセレクション 他のリポートを読む

DUNLOP SYNCHRO WEATHER
KUMHO SOLUS 4S HA32
Cooper Discoverer Road+Trail AT

「エヌブルー4シーズン」のV字型のトレッドパターンに注目。このデザインにより、ウエット路面における耐アクアプレーニング性能と、シャーベット路における雪上性能を同時に高めているのだ。
「エヌブルー4シーズン」のV字型のトレッドパターンに注目。このデザインにより、ウエット路面における耐アクアプレーニング性能と、シャーベット路における雪上性能を同時に高めているのだ。拡大
トレッド面の中央には、雪や氷をしっかり噛(か)むために「3Dサイプ」と呼ばれる細かい溝を配置。雪道でのグリップ性能を高めている。
トレッド面の中央には、雪や氷をしっかり噛(か)むために「3Dサイプ」と呼ばれる細かい溝を配置。雪道でのグリップ性能を高めている。拡大
独自のトレッドパターンに加え、均一に路面に触れる接地面形状も「エヌブルー4シーズン」の特徴。あらゆる路面で、安定したグリップを発揮するのだ。
独自のトレッドパターンに加え、均一に路面に触れる接地面形状も「エヌブルー4シーズン」の特徴。あらゆる路面で、安定したグリップを発揮するのだ。拡大
タイヤサイズは13インチから18インチまでの28種類。軽自動車用のサイズもあるので、興味のある人はぜひ調べてみよう。
タイヤサイズは13インチから18インチまでの28種類。軽自動車用のサイズもあるので、興味のある人はぜひ調べてみよう。拡大

高いコストパフォーマンスを期待できる

対して積雪路面では、2通りの考え方ができると感じた。ひとつは、「オールシーズンタイヤとしてはかなりグリップ性能が高い」という考え方だ。折しも試乗コースを進むと、そこそこ以上に雪深い路面が現れた。ここでエヌブルー4シーズンは、ある程度積極的にアクセルを踏み込むことでトラクションが得られる印象だった。

つまりは、雪道で踏めるドライバーになら「かなりのトラクション性能がある」と感じられるのだ。逆に一般的には、雪の量が多いほど「やっぱり、スタッドレスタイヤのほうが走りやすい」と感じられることだろう。路面に対するコンパウンドの追従性は、当然スタッドレスタイヤであるウインガード アイス2のほうが高いはずなのだが、エヌブルー4シーズンのほうがゴムをソフトに感じたのは、すなわち雪にかみつく性能が足りないからだ。だから余計に、タイヤを回していかねばならなくなる。

とはいえ、これも普通に走るだけならなんら問題がないからややこしい。例えば「エヌブルー4シーズンでスキーに行けますか?」と聞かれたら、「行けないことはないけれど、油断しないでくださいね」とアドバイスすることになる。恐らく非降雪地域で突然雪が降ったとしても、油断しなければこのタイヤなら家まで帰れる。でもウインタースポーツをしに行くのなら、道程で気を張って疲れてしまうくらいなら、スタッドレスタイヤを履くほうがいいんじゃないですか? ……というのが、このタイヤに対する印象だった。

総じてネクセン・エヌブルー4シーズンは、夏・冬ともに高いパフォーマンスを発揮する、ハイバランスなオールシーズンタイヤであることがわかった。市場価格はぜひ店頭や価格比較サイトなどでチェックしてほしいが、その買いやすさも含めて、高いコストパフォーマンスが得られることだろう。

(文=山田弘樹/写真=荒川正幸)

→「NEXEN N’Blue 4Season」のより詳しい情報はこちら

 

webCGタイヤセレクション 他のリポートを読む

DUNLOP SYNCHRO WEATHER
KUMHO SOLUS 4S HA32
Cooper Discoverer Road+Trail AT

積雪路面でも高いコントロール性を発揮する「エヌブルー4シーズン」。積極的にアクセルを踏むと、雪をかきながら前へ、前へと進んでいく。
積雪路面でも高いコントロール性を発揮する「エヌブルー4シーズン」。積極的にアクセルを踏むと、雪をかきながら前へ、前へと進んでいく。拡大
さすがに雪上でのグリップ力ではスタッドレスタイヤに譲るが、それでもオールシーズンタイヤとしては、ウインター性能はかなり高いといえそうだ。
さすがに雪上でのグリップ力ではスタッドレスタイヤに譲るが、それでもオールシーズンタイヤとしては、ウインター性能はかなり高いといえそうだ。拡大
非降雪地のユーザーが使うのであれば、十分以上の性能を有している「エヌブルー4シーズン」だが、過信は禁物。降雪地のユーザーや、あるいはウインターレジャーなどで頻繁に降雪地を訪れるユーザーであれば、同じネクセンならスタッドレスタイヤの「ウインガード」シリーズを選んだほうがいいだろう。
非降雪地のユーザーが使うのであれば、十分以上の性能を有している「エヌブルー4シーズン」だが、過信は禁物。降雪地のユーザーや、あるいはウインターレジャーなどで頻繁に降雪地を訪れるユーザーであれば、同じネクセンならスタッドレスタイヤの「ウインガード」シリーズを選んだほうがいいだろう。拡大
サマー性能、ウインター性能ともに申し分のないパフォーマンスを有していた「エヌブルー4シーズン」。総じて、オールシーズンタイヤに求められるさまざまな要件を、高い次元でバランスさせたタイヤという印象だった。
サマー性能、ウインター性能ともに申し分のないパフォーマンスを有していた「エヌブルー4シーズン」。総じて、オールシーズンタイヤに求められるさまざまな要件を、高い次元でバランスさせたタイヤという印象だった。拡大

車両データ

フォルクスワーゲン・ゴルフeTSIアクティブ

ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4295×1790×1475mm
ホイールベース:2620mm
車重:1310kg
駆動方式:FF
エンジン:1リッター直3 DOHC 12バルブ ターボ
トランスミッション:7段AT
最高出力:110PS(81kW)/5500rpm
最大トルク:200N・m(20.4kgf・m)/2000-3000rpm
タイヤ:(前)205/55R16 91H M+S/(後)205/55R16 91H M+S(ネクセン・エヌブルー4シーズン)
燃費:19.1km/リッター(WLTCモード)
価格:365万9000円







 

フォルクスワーゲン・ゴルフeTSIアクティブ
フォルクスワーゲン・ゴルフeTSIアクティブ拡大
「ネクセン・エヌブルー4シーズン」とモータージャーナリストの山田弘樹氏。
「ネクセン・エヌブルー4シーズン」とモータージャーナリストの山田弘樹氏。拡大
ネクセン・エヌブルー4シーズン
ネクセン・エヌブルー4シーズン拡大