ステランティスが中国の新興EVブランドと合弁会社を設立 100万〜200万円台の最先端EVが世界へ!

ステランティスが中国の新興EVブランドと合弁会社を設立 100万〜200万円台の最先端EVが世界へ!

ステランティスと中国の電気自動車会社であるリープモーターは2024年5月14日、ステランティスが主導する合弁会社「リープモーター・インターナショナル」の設立を発表しました。 

オランダのアムステルダムに本社が置かれるリープモーター・インターナショナルは、ステランティス・チャイナの元幹部であるティエンシュ・シンCEOの下、2024年9月にリープモーター製BEVを欧州200カ所の販売拠点で発売。2026年までにその拠点を500カ所に増強する予定です。また2024年後半には、中華圏を除くインド・アジア太平洋地域、中東・アフリカ、南米に販売網を拡大、これらの市場に今後3年間、毎年1車種以上のニューモデルを投入していく計画となっています。

リープモーター・インターナショナルは、今後3年間、ステランティスとともに毎年1つ以上の新モデルを投入する計画
リープモーター・インターナショナルは今後3年間、ステランティスとともに毎年1車種以上のニューモデルを投入する計画。

 

2015年に設立されたリープモーターは、中国浙江省杭州市に本社を置くインテリジェント電気自動車企業。BEVの製造開発、インテリジェント運転、電気モーター制御、バッテリーシステム開発、クラウドコンピューティングベースの車両ネットワーキングソリューション等を事業範囲とし、2023年には、中国EV新興ブランドトップ3にランキングされました。

2023年10月、ステランティスは約15億ユーロを投資してリープモーターの株式の約20%を取得すると発表。同時にリープモーター・インターナショナル設立の概要も示され、同社は、リープモーター製品の中国国外への輸出、販売、製造の独占権を持つこととなりました。

今回のパートナーシップにより、世界最大のEV市場である中国におけるリープモーターの販売基盤はさらに強化。ステランティスの確立されたグローバル販売網を活用することで、他地域でのリープモーターブランド商品の販売力も大幅に増強されることとなります。

ステランティス の カルロス・タバレスCEO(左)とリープモーター創設者兼会長兼 CEO の朱江明氏
ステランティスのカルロス・タバレスCEO(左)とリープモーター創設者兼会長兼CEOの朱江明氏(右)。

 

そんな新会社、リープモーター・インターナショナルによって2024年9月から欧州で販売される電気自動車がリープモーターの「C10」と「T03」です。

C10は、同社初のグローバルモデルで、2023年9月にドイツ・ミュンヘンで開かれた自動車展示会「IAA MOBILITY 2023」で世界デビュー。2024年1月10日に中国で先行販売を開始しました。中国で発売されているC10には、BEV仕様と長距離運転時用の1.5リッターエンジンによる発電機(レンジエクステンダー)が搭載されたエクステンデッドレンジ電気自動車(EREV)仕様があります。C10 EREVのサイズは、全長4739mm×全幅1900mm×全高1680mm、ホイールベースは2825mmとなっています。

リープモーター初のグローバルモデル、C10
リープモーター初のグローバルモデルである「C10」。

 

C10 BEVには4つのバージョンがあり、2024年3月の一般発売時の価格は、エントリーモデルが12万8800人民元(約1万7900ドル=約280万円)、その他は13万8800人民元、14万8800人民元、16万8800人民元。また、C10 EREVでは3つのバリエーションが設定されていて、販売価格はそれぞれ13万5800人民元、14万5800人民元、16万5800人民元です。

C10エントリーモデルの価格は約280万円
「C10」のエントリーモデルの価格は約280万円。

 

このEVのベースとなるのは、リープモーターが独自に開発した最先端技術のフレームワーク「LEAP 3.0テクノロジー・アーキテクチャー」。中央のスーパーコンピューティングプラットフォームを通じてクルマ全体をシームレスに統合する「中央統合電子・電気アーキテクチャー」やセルを車両のフレームに直接組み込むことで高い空間効率を可能にする「セル・ツー・シャシー(CTC)テクノロジー」、クアルコムのSnapdragon 8295チップを搭載した「フラッグシップ・インテリジェント・コックピット」など、C10 は業界をけん引するインテリジェント・エレクトリック・テクノロジー満載のEVとなっています。

C10 は、インテリジェント・エレクトリック・テクノロジーが搭載された最先端EV
「C10」は、さまざまなインテリジェント・エレクトリック・テクノロジーが搭載された最先端EV。

 

C10 BEVのエントリーモデルは、容量52.9kWhのバッテリーパック、WLTP航続距離420kmで、ヨーロッパで実施されている自動車安全テスト「ユーロNCAP」では最高評価の5つ星を獲得しました。また、ドライビングにおいてプレミアムな乗り心地とハンドリングが体験できるだけでなく、自然な美しさを備えたデザインが評価され「2023年国際CMFデザイン賞」を受賞した後、最近では「French Design Awards 2024」の金賞も受賞しています。

C10のWLTP航続距離は420km
「C10」のWLTP航続距離は420kmと発表されている。

 

9月に欧州で発売されるもうひとつのEV、T03は、BEVのみで展開されているコンパクトカー。最も小さなAセグメントの小型5ドアでありながら、Bセグメントに匹敵する広さの室内空間を持つシティーコミューターです。中国国内では3つのバリエーションがあり、販売価格は4万9900人民元(約6900ドル=約100万円)、5万9900人民元、6万9900人民元となっています。

価格はなんと約107万円! リープモーターのシティーコミューターT03は、BEVとのしての評価も高い
価格はなんと約100万円。リープモーターのシティーコミューター「T03」は、BEVとしての評価も高い。

 

T03は、スタイリッシュなデザインだけでなく、運転する喜びも味わえ、そのWLTP航続距離は265km。米国の有名な調査会社JDパワーが実施した初期品質調査では、小型BEVセグメントで第1位を獲得しています。

Bセグメント並みの室内空間を有するT03
Bセグメント並みの室内空間を有する「T03」。

 

今回の合弁会社について、ステランティスのカルロス・タバレス最高経営責任者(CEO)は、欧州にあるステランティスの拠点でリープモーターの車両を生産することを示唆するとともに、次のように述べました。

「リープモーター・インターナショナルの設立は、世界の主要市場において、既存の中国ブランドと競合できる最先端BEVモデルによって、地球温暖化問題に対処するための大きな前進といえます。当社は間もなく、顧客の期待を上回る価格競争力と技術を有する電気自動車を提供できるようになります」

ステランティスのラインアップに、他の中国EVメーカーと競合できる手頃な価格帯のEVが追加される
ステランティスのラインナップに、他の中国EVメーカーと競合できる手ごろな価格帯のEVが追加されます。

 

同社が販売するリープモーターの製品は、価格面でもステランティスのブランドを補完。世界中の顧客に、より手ごろなBEVという新たなラインナップを提供できるようになります。また、ステランティスとリープモーターの提携がもたらすインテリジェント電気自動車産業の将来についても、タバレスCEOは期待を寄せました。

「リープモーターとステランティスのパートナーシップは、中国のインテリジェント電気自動車産業の世界的統合における新たな章を開きます。リープモーターの最先端技術と製品を活用し、ステランティスが海外チャンネル、サービス、マーケティングなどの分野でサポートすることで、世界中のユーザーがリープモーター製品によってもたらされる卓越したドライビングを体験できることを願っています。今回の提携によって、リープモーターが尊敬されるワールドクラスのインテリジェント電気自動車企業になる後押しができると信じています」

ステランティスジャパンによると、C10とT03をはじめとしたリープモーター製品の日本国内における販売については、現在未定とのことです。

 

写真:ステランティス、リープモーター

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