ピュア電気自動車となった新型「ポルシェ・マカン」とは?
ポルシェは、「タイカン」に続くバッテリー式電気自動車(BEV)に、人気のSUV「マカン」を選びました。同社は、2024年1月25日にシンガポールでワールドプレミアを実施し、新型の「マカン4」 と「マカン ターボ」を発表。2014年の発売から10年たったマカンは、今回発表された第2世代モデルからすべてBEVとなります。
新型マカン4とマカン ターボは、先進的で時代を超越したデザイン、ポルシェ特有のパフォーマンス、長い航続距離、日常における高い実用性において、SUVを購入するポルシェユーザーのニーズを完全に満たすことを目指して開発されました。発表会場で、ポルシェAG取締役会会長のオリバー・ブルーメは「卓越したEパフォーマンス、新しいドライバーエクスペリエンス、そして非常に印象的なデザインにより、マカンは全く新しいレベルのクルマになりました」と新型マカンの質の高さを強調しました。

シンガポールにおけるワールドプレミアで、マカンの製品ライン副社長のヨルグ・ケルナーが「私たちの目標は、フルエレクトリックのマカンを、そのセグメントで最もスポーティーなモデルとして提供することです」と述べたように、ポルシェは優れたEパフォーマンスを実現するべく、マカン4とマカン ターボのデュアルモーター(全輪駆動)のパワートレインに最新の永久磁石シンクロナスモーター(PSM)を搭載しました。
これにより、マカン4は最高出力408PS(オーバーブースト時)で最大トルク650N・m、マカン ターボは最高出力639PS、最大トルク1130N・mに達します。またローンチコントロールとの組み合わせで、マカン4は0-100km/h加速5.2秒、最高速度220km/hを実現。マカン ターボは、0-100km/h加速3.3 秒、最高速度260km/hというパフォーマンスを誇ります。


新型マカンのバッテリー性能は?
新型マカンは、ポルシェとアウディが共同開発したEV専用アーキテクチャー「プレミアムプラットフォームエレクトリック(PPE)」をポルシェとして初採用したモデルです。
ボディーの下に搭載された総容量100kWhのリチウムイオンバッテリーから電気モーターにエネルギーが供給され、そのうちの最大95kWhを使用することができます。DC充電出力は最大270kW、適切な急速充電ステーションならば約21分以内で10%から80%までの充電が可能です。
また、400Vの充電ステーションでは、バッテリー内の高電圧スイッチにより、800Vのバッテリーをそれぞれ定格電圧400Vの2つのバッテリーに分割することでバンク充電ができます。これによって、HVブースターを追加しなくても、最大135kWの充電が可能です。家庭用充電器では最大11kWのAC充電ができます。
走行中に電気モーターを介して最大240kWのエネルギーを回生できるインテグレーテッドパワーボックス(IPB)も、軽量化と省スペース化を実現しつつ、新型マカンの効率化に貢献します。このコンパクトなIPBはオンボードAC充電器、高電圧ヒーター、DC/DC コンバーターの3つのコンポーネントが組み合わさっていて、欧州WLTPモードの最大航続距離は、マカン4が613km、マカン ターボが591kmです。

マカンのデザインはどう変わった?
新型マカンのボディーサイズは、全長4784mm、全幅1938mm、全高1622mm。新しいマカンには、最大22インチのホイールが装備されていて、ホイールベースは先代モデルの2893mmから86mmも延長されていますが、前後のオーバーハングを短くすることで全長はプラス58mmにおさまっています。
ヘッドライトは2つの部分に分かれています。4つのデイタイムランニングライトを備えたアッパーライトユニットは、ウイングに埋め込まれて車幅を強調。オプションのマトリクスLEDテクノロジーを採用したメインヘッドライトモジュールは、フロントエンドの少し低い位置に配置されています。
ルーフからボディー後方へなだらかに下っていく伝統的なポルシェ車のシルエット、ポルシェフライラインは、フラットなリアウィンドウと一体化、サイドブレードを備えたフレームレスドアとの組み合わせによってスタイリッシュでスポーティーなデザインが体現されています。

またポルシェは新型マカンでも、接地圧を高める可変式のアダプティブリアスポイラーや、前方の空気の出入り口で空気の流れや冷却気の流入量を制御するアクティブクーリングフラップ、完全に密閉されたアンダーボディーのフレキシブルカバーなどで構成されているポルシェアクティブエアロダイナミクス(PAA)を採用。ヘッドライトモジュールの下のエアカーテンと低い位置にあるフロントエンドが空気の流れを最適化、後部では、横方向のティアオフエッジとルーバー付きディフューザーにより空力効率が確保されています。このPAAシステムが航続距離と消費電力にプラスの効果をもたらすことによって、新型マカンは市場で最も合理化されたSUVのひとつとなっています。


今回の電動化により、マカンのラゲッジスペースも拡大。モデルと装備に応じて、後部座席ベンチ後ろの容量は最大540リッター(カーゴモード)になり、ボンネットの下には容量84リッターの荷物室「フランク」があります。後部座席の背もたれを完全に倒すと、後部荷室の容量を最大1348リッターまで増やすことができます。

最新技術満載の運転席って?
新型マカンのインテリアは、まぎれもなくポルシェのイメージです。一体化された黒いパネルによってコックピットの幅が強調されており、センターコンソールの切り立ったデザインは、車高が低いパフォーマンス重視の印象を高めると同時に、大きな窓が室内空間に明るさと開放感を与えています。コックピットとドアに組み込まれているLEDライトストリップは、環境照明とコミュニケーションライトの両方として機能していて、運転状況に応じてあいさつをしたり、充電プロセスを教えたり、または運転支援システムと連動して情報や警告を伝えてくれます。

インストゥルメントパネルには、12.6インチの曲面デザインの自立型インストゥルメントクラスターと10.9インチのセンターディスプレイを含む、最大3つのスクリーンを備えたディスプレイが装備されています。ポルシェドライバーエクスペリエンスとしては初めて、拡張現実技術を備えたヘッドアップディスプレイも装備されました。ナビゲーションの矢印などの仮想エレメントは、視覚的にシームレスに現実世界に統合され、87インチのディスプレイに相当する画像がドライバーの10m前方に表示されます。

新世代のインフォテインメントシステムは、アンドロイドオートモーティブOSをベースとしていて、新型マカンに標準搭載されているポルシェコミュニケーションマネージメント(PCM)は、コンピューティングパフォーマンスを新たなレベルに引き上げています。たとえば、「ヘイ、ポルシェ」音声アシスタントは、充電スポットを含むルートを即座に提案。新しいポルシェアプリセンターでは、サードパーティープロバイダーの人気アプリに直接アクセスし、それらを新型マカンに直接インストールすることも可能です。
2014年の発売以来、全世界で80万台以上を販売してきたマカンは、ポルシェのライプツィヒ工場で生産される、このピュア電動モデルに引き継がれていきます。新型ポルシェ・マカンは、2024年下半期から納入が開始される予定です。
Porsche Macan Gallery


















